表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

脳出血後のリハビリ習作・400字詰め原稿用紙1枚で何が書けるか(44)

作者: 樹カナタ

脳出血後の失語症状リハビリとして、400字詰め原稿用紙(+α)に手書きしていたものです。

恥ずかしいミスがあってもそのままテキスト化しているので、誤字脱字やオチ不明等はご容赦を。

なお、リハビリは現在も継続中です。 

一月六日

※三題:ネズミ、幼稚園、十五夜


『王様はロバ』

 寒い日も寒い日も、晴れの日も雨の日も微笑んでいた。そんなネズミの像が公園にあった。像を見に来る人が殆どいなくても、ネズミの像は微笑んでいた。

 そんな像がなくなったのは、寒くも暑くもない、秋の十五夜のことだった。微笑んだネズミの像は、いつの間にか泣いた馬の像に変わっていた。

「コレは、困ったな」

 いつ頃までネズミの像があって、いつ頃から馬の像に変わっていたのか。そもそも馬の像に取り換えたのは誰か。自治会長は首を傾げた。それを知っていたのは、近所に住む幼稚園児たちだけだった。

「ネズミのおばあちゃん、おまつりからずっとこないね」

「まつりのあとにね、ネズミさんといっしょに、かえったって」

 子供たちの話を聞いて、自治会長はその近所に住んでいた老婆のことを思い出した。

 老夫婦が陶芸家あったことも、公園の像を造ってくれたことも、お金を払わなったことを思い出した。

「引っ越す際に新しい像をくれるなんて、ありがたいな」

 だが自治会長は、秋祭りで泥酔したあげくネズミの像を潰したのが自分だと忘れていた。

 粘土で作られた馬がロバのように変わったころ、高価な請求書と慰謝料の書類が送られてくることも、想像出来るはずがなかった。


(終わり)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ