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さぁ、ここからだ!ここから私の青春が始まるのだ!きっと毎日ドキドキワクワクして、辛く悲しんだり、苦虫を噛み潰すような悔しい事もあるだろう。だけど、きっと最後には幸せなハッピーエンドが待っている。大人になってから家族や友人と思い出して語り合えるようなキラキラした素晴らしい青春が!
そして憧れの彼と——
の、筈だったのだ。
『卒業証書授与。代表、潮崎湊』
「はぁ〜」
半分開いた窓から柔らかな風が滑り込み、頬を伝って髪を揺らし教室に染み渡っていく。
「ではここを三船。三船!聞いてるのか三船!!」
「は、はい!えっと・・・
「あなたは本当に真面目なんですか」
と先生が念を押した。
「私は過去の因果で、人を疑りつけている。
だから実はあなたも疑っている。
しかしどうもあなただけは疑りたくない。
あなたは疑るにはあまりに単純すぎるようだ。私は死ぬ前にたった一人で好いから、他を信用して死にたいと思っている。
あなたはそのたった一人になれますか。
なってくれますか。
あなたは腹の底から真面目ですか」」
「はい、結構です。今は理科の授業中です。1限はとっくに終わっていますよ」
顔が火を吹く程熱い。消え入りそうな声で、はいと呟き席に座ると教室に笑い声が鳴った。
もうこんなのたくさんだ。神様は良い事と悪い事を半々で与えると聞くが、丁度中間の私には悪い事が無ければ良い事も与えては貰えないというのか。それではあまりにも・・・
その先は考えない事にした。
あぁ、どうか神様。悪い事も受け入れます。耐え忍んでみせますから、私にも良い事を恵んでください。どうか——。どうか——。
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不知火美月