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鏡花のいっきゅうさん  作者: くらむず
1/1

いっきゅうさんは突然に

宝樹市に住む水津鏡花は元彼の旅立ちの日を思い出し呆けていた。

そこに非通知の電話がかかる。その電話で平凡だった日々が変わる

あの日、彼が投げてくれたボール。とても温かった。

6年経った今でも忘れてない。最後に交わした言葉。


「ごめんね、今までありがとう。」


彼の寂しそうな顔をして言った言葉をまだ後悔してる。

何もできなかったって。

水津鏡花は昔のアルバムを見ながら感傷に浸っていた。

そこに、現実に引き戻すかのように電話のベルが鳴った。


「こんな時間に家電に誰だろう? あれ、非通知だ」


普段、母親か大家さんからしか掛かってこない家の電話の画面に非通知と表示されていた。


「はい、もしもし。 水津ですがどちら様でしょうか?」


「あっ・・すいません!! 番号間違えました。失礼します!!」


急ぎ足で切られてしまったが、その声の持ち主には覚えがあった。


(あれ、いっちゃんの声に似てたな・・ けど、うちの電話知ってるはずないもんね・・)


旧友、いや元カレの声に似ていた。

鏡花は残念そうにベットに潜る。


~10分後~


ピピピピピ!!

眠気に誘われていた鏡花は電話のベルで起こされた。


「もー。 明日は早いっていうのに、また非通知・・・ はい、もしもし? 水津ですが夜中に何か御用ですか?」


鏡花は眠気を覚まされた苛立ちを電話の主にぶつけた。


「もしもし、俺、奥秋だけど。 水津鏡花さんの電話で間違いないですか?」


「え・・いっちゃんなの・・? どうして・・」


そう、電話の主は鏡花が想像していた元彼の奥秋一球。

まさしく、彼だった。

鏡花は一球は海外にいて自分も引っ越していたから電話なんて来るはずないと思っていたのだ。


「さっきはごめんね。 鏡花の声聞いたら緊張して、一回切っちゃって・・・・」


懐かしい声。

青春時代を学友より長く共に過ごした彼の声をまた聴けて唖然としている。


「鏡花? なにかあった?」


「何かって・・・だっていっちゃん海外に行ってるんじゃないの? ケガさせちゃったから・・」



ケガをさせちゃった。この鏡花の言葉は震えていた。それには訳があった。

それは遡ること6年前の18歳の夏。甲子園球場へ行く途中で鏡花は事故に巻き込まれた。

飲酒運転のバスに引かれかけたのだ。それを一球が庇い、それによって片腕が麻痺してしまった。



「ケガは治してきたよ。 んで、鏡花のせいじゃないし、そう重く持たないでよ。 前にも言っただろ?」


鏡花はまだ戸惑いつつも、一球が電話を掛けてきた事に思い出した。


「けど・・・・。 うん、それでどうしたの?」


「ああ、そうだったね。 今週の日曜って空いてたりする?まだ家が片付いてないから日曜しか空けれなくてさ。」


家が片付いていない? 鏡花は疑問に思った。


「うん、空いてるよ。 けど、片付いてないって言うけど実家にいるの?」


「いや、宝樹(たからぎ)に居るよ。」


宝樹市。そこは鏡花が今現在住んでいる所である。

彼女は高校卒業後、一球にケガをさせてしまった事によりメディカルトレーナーになる為に有名な大学がある宝樹市に進学したのである。


「そうなんだ。 わかった、その日は午前中から空けとくね


「ありがと、日曜にまた。 それじゃあおやすみ」


鏡花は、そう言った彼の声を懐かしく思いながら眠りについたのだった。



~日曜の朝~

鏡花はアイロンをかけながら呟いた。


「はぁ・・・・最悪。 髪の毛全然戻んないよ・・・ これなら昨日無理して髪切らなきゃよかったなぁ」


久しぶりに一球に会う為、昨日少しボサついた髪を整えていた。

ブーブーブー・・・・・・スマホのアラームの音だ。彼との待ち合わせ場所まで少し時間がかかるからと昨日寝る前にかけておいたのだ。


「うわっ!もうこんな時間。 須萱(すがや) 駅の南口に居るって言ってたから早く行かなきゃ」


バタバタしながら鏡花は駆け出して行った。


初めての作品で単発物にしようかと思いましたが、どんどんお話のネタが出てきてシリーズ物に致しました。拙い言葉の言い回しや誤字脱字がありましたら、コメント等でお伝えください。

更新頻度はなるべく1週間に1話として進めていきますが、多忙な身であり更新が落ちる可能性がありますが何卒宜しくお願い致します。

この作品の更新時間といたしましては21~22時を予定しております。

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