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呪いの指輪  作者: 山目 広介
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悪魔


悪魔は呪い、縛り付ける。

世にはそのような悪魔に満たされている。

契約をし、その魂を、身体を縫い留める。

それにより悪魔の欲望は充たされている。

神にのみ許される命すら作り出す。

約定により、そう決められている。


一人の女性の前に立ち塞がりし、悪魔が手に持つ物。

悪魔はその呪われた指輪を差し出す。

次いで咽喉を振るわせ、意志を奮わせ、呪いの言葉が発せられる。

震えるかの如くかぶりを振る女性。

それは婚約を破棄する。婚約の申し込み自体を破棄するかの行為。

頬を伝う雫は拒絶の表れか。

朱に染まる顔は赫怒のごとく。

痙攣のような、全身を細かい漣が拡散する。

その緊張は世界を覆い、周りは静寂が支配する。

悪魔の鼓膜に伝わるは激しい己の鼓動のみ。

悪魔の瞳に宿るのは宇宙にも等しいただ一人。

捧げ持つ呪いの指輪の重さに腕が悲鳴を上げる。

崖の上の死線を分かつ境界に、悪魔の足元は不安定。

胃は自身すら溶かし、悪魔を苦痛に苛む。

腸は雷雲を呼ぶように悪魔を締めあげる。

皮膚には玉のような滴が完膚なく覆い、濡らしている。

運命の風が悪魔の命運を楽し気に揺らす。

判決の鐘は女性の唇から鈴のように響き渡る。


悪魔の瞳に映るは蒼天に輝く天使の微笑みだった。


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