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「不人気者の先輩」と「人気者の後輩」  作者: pierrot854
第一章 先輩と後輩の馴初め
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第十一話 ステイルメイト

 体育館のスピーカーを切っていたせいで、昼休み終了のチャイムが聞こえなかったらしい。時計を見れば、当の昔に五時限目の授業が始まってしまっていた。

 その後、体育館のスピーカーを復帰させての呼び出し放送だったと想定する。


 そんな事を考えながら、俺は姫川と二人で職員室に向かう。


「先輩、呼び出しにちゃんと従うんですね。ちょっと意外です」


「まあ、無視しても良かったんだが。姫川も呼ばれてるとなると、俺だけ逃げる訳にもいかないしな」


 姫川は、携帯電話以外の荷物を全て教室に置いたままだったので、職員室からの呼び出しを無視して帰る訳にもいかなかった。


「先輩が主犯格で、私は、先輩に暴力で強制労働させられた。と言うシナリオで良いですか?」


「俺の立場が悪くなる一方だから、良くない」


「冗談です。やっぱり、事情聴取ですよね。何か喋らない方がいい事とかありますか?」


「放送室の鍵は、俺が職員室から盗んだ事にしていい。それは最初からの申し合わせ通りだ。それ以外は正直に話して構わない。嘘をつく必要もないからな」


「結局、先輩が悪者になっちゃうんですね……」


 不満げな姫川。

 これは、姫川を守るために、打ち合わせの段階で決めていた事項だった。


「実際、鍵を盗んだり、勝手に校内放送したり、悪い事はやってるからな。まあ、情状酌量がどこまで認められるか……。ああ、そう言えば、マスターキーはどの鍵と入れ替えたんだ?」


「ふふっ。空手部の部室の鍵とすり替えました。洒落しゃれがきいてるでしょう」


 悪戯を成功させた子供のように笑う姫川。

 確かに、洒落はきいているが、悪意を感じる。


「……姫川だけは敵に回したくないな」


「先輩は、私とずっと一緒に居たいんですから、心配要りませんよ」


 軽口を叩きながら、授業中で静かな廊下に靴音を響かせ、職員室の前に着く。

 姫川と顔を見合わせ、


「じゃあ、行くか」


「はい。私が付いてますから、先輩は大船に乗ったつもりで居ていいです」


 頼りになる後輩で助かる。緊張している自分が阿保らしく思える。

 職員室のドアをノックし、中に入る。


「八王子です。呼び出されたので来ました」


 授業を担当している教師が出払っているため、職員室は閑散としていた。残っていた数人が、好奇の目を光らせて来るのが鬱陶しい。

 無駄な抵抗とは知りながら、姫川を背中に隠し、職員室をぐるりと見回す。放送の声が誰のものか分からなかったので、誰に声を掛ければいいのか迷っていると、職員室の奥から大柄の男が接近してきた。


「八王子、姫川、来たか」


 身長百九十センチの極道顔の教頭だった。名前は確か、兵藤だったと記憶している。

 兵藤教頭は、俺と姫川を確認すると、


「校長室に来なさい。今回の件で、話がある」


 言葉少なに、職員室の奥にある校長室へ先導した。兵藤教頭が、校長室へ続く扉をノックし、返事を待たずに開けてしまう。


「二人とも、入りなさい」


 兵藤教頭の指示に従い、姫川と二人で校長室へ入る。


 校長室に入る機会なんて無かったので、どんな部屋かと思ったが、思っていたよりも手狭な印象を受けた。

 右には、廊下へ続く扉がある。廊下側の入り口横には大きな棚が並んでいて、歴代の卒業文集や、学校や町の歴史に関する本が収蔵されている。天井近くには、過去から現在まで校長職に就いた人物の木製の名札が並んでいた。

 部屋の中央には、革張りのソファが、ガラステーブルを囲んで設置されている。

 そして、廊下から見て一番奥。俺から見て左側に、木製の大きな机と革張りの大きな椅子のセットがあり、入学式や全校集会で顔を見慣れている人物が鎮座している。


 天井近くの木製の名札の一番最後。現在の校長職に就いている人物の名前を確認する。

 冠木かぶらぎ惣一そういち

 身長が低く、その分横方向に伸びたのかと思うほど、丸々と太っている。その風貌が、信楽焼の狸に似ている事から、生徒の間では「古狸ふるだぬき」というニックネームで呼ばれている。

 入学式で、長身の兵藤教頭と並んで居て、余計に小さく見えたのを覚えている。


 この部屋には、冠木校長の他に、三人の人物が居た。

 二年一組、俺の担任教師、きさき和枝かずえ

 一年一組、姫川の担任教師、体育教師兼柔道部顧問で熊のような、僧根そね健吾けんご

 そして、三年一組担任で空手部顧問、高城圭一。


 妃先生と僧根先生は、俺から見て、応接セットを挟んで部屋の反対側で、腹痛でも我慢しているような顔をして立っている。

 高城顧問は、二人の先生の前の椅子に座り、深く深く項垂れている。俺からは、白髪の目立つ頭の天辺しか見えないため、どんな顔をしているのか分からない。


 背後で、兵藤教頭が部屋に入り、扉を閉めた。

 それが合図だったかのように、冠木校長が口を開く。


「やあやあ、急に呼び出して済まなかったね、二人とも。妃君と僧根君に教室まで迎えに行ってもらったのだけれど、二人とも教室に居なかったものだから、校内放送で呼び出すほか無かったのだよ。さあさあ、そんな所に立っていないで、椅子に掛けなさい。なあに、獲って食おうという訳ではないから、心配しなくていい」


 三人掛けのソファを冠木校長に勧められるが、担任教師が立っている状態で、更には高城顧問の正面に座るのが嫌だった。

 姫川の顔を盗み見るが、同じことを考えている様子だった。

 しかし、俺達が座らない事には話が進まないのだろう。


「姫川、せっかくだから、座ろう」


「……は、はい」


 ついさっきまでの威勢は見る影もなく、姫川は場の空気に畏縮いしゅくしてしまっている。

 姫川を連れて、三人掛けのソファに並んで座ると、兵藤教頭が背後に立つ気配を感じた。


「兵藤君、君も座ったらいいじゃないか。私は、こっちで座って居るから。ほら、そこの椅子が空いているだろう」


「いえ、私はこちらで」


 冠木校長が、応接セットの上座の椅子に座る様に勧めるが、兵藤教頭は強い口調で断った。


「そうかい。まあ、兵藤君がそれで良いと言うのであれば、その自主性は尊重しようじゃないか。ああ、八王子君と姫川君、私はこの場所から話をするが構わないかな?」


「……はい、俺は構いません」


 俺は辛うじて返事をして、姫川は黙って頷いた。

 その様子に満足した冠木校長は、椅子に深々と座りながら、気の抜けた口調で話し始めた。


「いやいや、しかし、昼休みの放送には驚いた。八王子君の噂話は、私も小耳に挟んでいたがね。大体の事情は、兵藤君と二人で、高城君から聞いたよ。

 事の発端は、高城君の部活動の運営方針に、八王子君が意見した事だったらしいね。下世話な言い方をすれば、高城君の大人気ない八つ当たりだった様子じゃないか。まあ、度が過ぎていたとは思うがねえ」


 冠木校長の目が、一瞬、高城顧問に向く。その視線を受けた高城顧問が、身震いしたように見えた。


「いやいや、しかし、高城君が空手部の運営方針について、精神的に追い詰められる原因を作ってしまったのは、私や兵藤君の改善要求だったらしいから、高城君の非行の責任の一端は、私にもあると考えているのだよ。

 だから、まず、八王子君には謝りたいと思ってね。済まなかった」


 冠木校長が、肉付きのいい首を引っ込める。頭を下げたのだと理解するのに、少し時間が掛かった。


「……あぁ。いや、俺は、学校内の悪い噂が解消されれば、それで構いません」


「そうだねえ。そればかりは、個人の気持ちの問題だから、私としても如何いかんともしがたい問題だ。まあ、しかし、何も恐れる事はない。八王子君が、これから真面目に学業や部活動に励む姿を見せれば、事実ではない悪い噂話など、雲散霧消することだろう」


 やけに芝居掛かった調子の冠木校長。

 最初から、信用はしていないが、名状し難い不信感が、じわりと湧く。


「いやいや、私はね、八王子君。高城君や、妃君から、ここ一年間の八王子君の状況を聞いて、酷く心が痛んだよ。何故、もっと早く、八王子君の大変な状況に気付いてあげられなかたのか、とね。

 八王子君の噂話を聞いた時に、何故、真摯に対応しなかったのかと、後悔した。いやいや、私の認識の甘さを痛感した。

 今後は、今回の反省を活かして、八王子君のような思いをする生徒を出さない事は勿論だが、仮に、同じような境遇に追いやられてしまった生徒が居た場合、早期に発見して、然るべき対応を可及的速やかに実施しようと心に誓ったよ。いやはや、この年になっても、まだまだ学ぶことが多いものだ」


 冠木校長の、芝居掛かった言動に、不信の色が濃くなっていく。黒い、暗い印象の色。絵の具のような、水っぽい黒ではなく、タールのような粘着質な不快感を伴う黒だ。


「ところで、」


 冠木校長が、机に両肘を着き、手を組むと、その上に肉付きの良い顎を乗せた。

 姫川も、何かしらの嫌な気配を感じたらしく、冠木校長から見えない位置で、俺の肘辺りの袖を握る。


「実は、八王子君達をここに呼んだ理由なのだがね。いやいや、校長である私がこんなに情けない話をするのも如何いかがなものか、とは思っているのだけれども。少々、困った状況にあってね。八王子君達には、どうか、私の相談に乗って欲しいと考えたのだよ。

 いや、何、それ程難しい話ではなくてね。ちょっとした人助けだと思って、忌憚きたんのない意見を聞かせて貰えれば、それで構わんのだよ」


 前置きが終わり、本題が始まる。気の抜けた雰囲気から、ゆっくりと、油断ならない雰囲気へと変貌していく。


「まず、高城君の今後の処遇についてなのだがね。これは、高城君の了解を得ているので、八王子君達にも話をするのだが、どうかこの場限りの話としてくれるかな。プライバシーに関わる話だからね」


「……分かりました」


 高城顧問に目を向けるが、相変わらずその表情はうかがえない。


「うんうん。八王子君は、しっかりと受け答えをしてくれて助かるね。姫川君も、意見がある時は、遠慮なく発言してくれて構わないからね。

 さてさて、それで、高城君の今後の処遇なのだがね。まあ、薄々は勘付いているとは思うけれど、正式な手順を踏めば、教育委員会へ報告した上で、懲戒免職、まあ、平たく言えばクビだね。退職金は当然支給されず、今後の生活は、今までの貯蓄の中から捻出していくことになるだろう。

 まあ、仕方がないね。教育者として、生徒の規範たるべき者が、あろうことか個人的な感情に任せて、生徒をおとしいれるような事をしてしまった。相応の責任は果たさなければならないだろうね」


 冠木校長の言う通り、高城顧問の懲戒処分は想定していた。免職になるのか、減給程度で済むのかは分からなかったが、今の話の通りであれば、一番重い処分になるのだろう。

 一つ、気になった点があった。


「冠木校長」


「何かな、八王子君」


「正式な手順を踏めば、と言いましたけど、冠木校長は、別な手順を考えているという意味ですか?」


 俺の発言に、冠木校長は、悪意を隠さない笑みを浮かべる。


「いやいや、本当に、八王子君はさといねえ。まあ、順を追って話をするから待ちたまえ。高城君の責任の重さについては、今述べた通りだよ。私も、校長として、苦渋の決断をしなければならないとは思っている。

 ところで、高城君の奥様は専業主婦でね、高城家の収入は、高城君の給与だけなのだ。それから、高城君には二人お子さんが居てね。上の子は、社会人になって二年目。下の子は、今、大学三年生なのだそうだよ。それから、高城君にはまだ住宅ローンが残っていてね。退職まで返済を続けて、退職金を充ててようやく完済する計画らしい。今の貯蓄は、今後の生活費に使わないといけなから、収入が無くなると返済の方法が無くなるそうじゃないか。

 それを聞いて、私は、とても苦しい気持ちになった。

 もし、高城君が懲戒免職になれば、大学生のお子さんは、大学を辞めざるを得ないだろう。学費を払うことが出来なくなるからね。それから、住宅ローンが払えなくなれば、当然、高城君の家族は自宅を手放さなければならない。銀行が、高城君の家を売却して、住宅ローンの返済に充てるからね。しかも、家を売った金額が、住宅ローンに足りなければ、不足分は高城君がお金を工面して支払わなければならない。

 するとどうだろう、高城君の家族は、正に人生の崩壊と言える状況になってしまうねえ」


 冠木校長は、話の内容とは相反する、薄笑いを浮かべながら語り続ける。


「私はね、八王子君。どうにも情に流されやすい性格をしていてね。高城君の将来を考えると、杓子定規に、高城君を責め立てていいものかと、とても悩んでしまうのだよ。それが、本当に正しい事なのかと、判断に迷ってしまうのだよ。

 今回の件についてもね、こう考えられるのではないかと思うのだよ。

 教師と生徒とは言え、余計な事情を削ぎ落して考えれば、人と人の関わり合いの中で起きた、些細な気持ちの擦れ違いではないかと。これから、お互いを知っていくことで、十分に人間関係の修復は可能であるし、いがみ合ったまま決別してしまうのではなく、一度仲違いをしてしまった者同士でも、ゆっくり時間を掛ければ相互理解が生まれることを知ってこそ、成長に繋がるのではないかとね」


 仰々しく両腕を広げ、それが世界の真理であるかのように述べる冠木校長。

 馴染みは無いが、宗教の勧誘を連想させる。自分勝手なイメージではあるが。


「それから、あまりこんな話をしたくはないのだがね」


 広げた両腕を机の上に戻し、冠木校長が声の調子を低くする。先程までの薄笑いは消え、俺に鋭い眼光を向ける。


「学業成績は維持しているし、事情があったとは言え、八王子君のここ一年間の素行は、お世辞にも良かったとは言えないね。授業を正当な理由もなく欠席する、部活動に参加しない、正当防衛になるとは言え校外で暴力沙汰、遅刻に早退は数知れず。また、今日は学校設備の無断使用まで行っている。

 八王子君は、奨学金で本校に通っている身分なのだよ。このような目に余る素行不良があると、最悪の場合、退学処分を言い渡さなければならない恐れもあるのだよ。

 八王子君は、卒業後は就職希望だったね。失礼ながら、八王子君の家庭事情も妃君から聞いている。今般の社会情勢では、高校を退学させられた若者が、まともな就職口に在り付けるとは思わない事だ。奨学金の返済も、退学して半年後には始まるのだよ。現在の八王子君の家庭状況では、お母様への負担は計り知れないと思うのだがね。

 そうは言っても、私は先程言ったように情に流されやすい性格なのだよ。八王子君の事情にも、大いに配慮したいと考えている。

 それから、姫川君」


 冠木校長の眼光が、姫川へ向く。

 姫川が、俺の肘を握る力を強くする。


「姫川君は、入学して未だ二カ月だと言うのに、八王子君の悪影響を受けて、授業の無断欠席が数回あるね。そして、今日は八王子君の計画に積極的に加担し、全校生徒に大きな混乱をもたらした」


「それは、だって――――!」


「八王子君を助けるためだった、という理由があっても、果たして姫川君のお父様は納得してくれるだろうかね」


「…………」


 反論しようとする姫川の言葉を遮った冠木校長に、姫川は黙り込んでしまう。


「姫川君は、お父様の意向に反して、本校に入学したと聞いているよ。当然の事だが、今日の件も含めて、学校から親御様へ連絡する事になるだろうね。姫川君の素行不良を聞いたお父様が、お家柄に傷を付けるような真似を行ったと判断した場合、本校としては非常に残念な事ではあるが、姫川君の他校への編入手続きも考えられるのではないかね。

 姫川君は、流石と言うべきだろうね。入学の成績も良好で、他の生徒とも良好な関係を築いていると僧根君から聞いている。入部したばかりにも関わらず、部活動でも有望な選手であることも聞いている。

 私の個人的な意見になってしまうが、姫川君のような生徒を手放すのは、望むところではないのだよ。姫川君のような生徒が、本校に通ってくれているだけでも、本校の株が上がるのでね」


 冠木校長は、また薄ら笑いを浮かべる。

 姫川が、俺の腕を強く握り直す。悔しそうに下唇を噛んで、うつむいている。


 ようやく、俺は冠木校長の意図を理解した。冠木校長は、今回の件を、教育委員会などの外部に漏らさずに、内々で処理してしまう腹積もりなのだ。

 そのために、当事者である俺と姫川、高城顧問をこの場に集めた。俺達の立場を認識させた上で、形式上は俺達に選択権を与え、実質は冠木校長の思惑通りになるように仕向けている。


 高城顧問の家庭事情を俺達に聞かせたのは、俺達の選択次第で、高城顧問の家族を不幸にするのだと知らせることで同情を誘い、罪悪感を持たせるため。

 そして俺には、学校側は退学処分を考えており、それが俺にとってどれだけ望ましくない状況を作るのかと言う脅迫をするため。

 姫川にも何かしらの家庭の事情がある様子だが、それが姫川にとってどの程度のものなのかは、今の俺には知る由もない。少なくとも、無視出来ない程の影響があるのだろう。


 ここで、冠木校長に反旗を翻し、高城顧問を懲戒免職に追いやる事に固執する理由は無い。

 俺の今回の目的は、校内に広まった悪評の払拭であり、その目的は達成出来た。高城顧問が学校に残ろうが、残るまいが、どちらでも良かった。

 冠木校長の口車に乗るのはしゃくに障る上に、先程聞いた高城顧問の家庭事情がどこまで真実か分からないが、一部でも真実なのであれば同情する気持ちはある。

 高城顧問を恨んでいない事は無いが、報復したい訳ではない。高城顧問やその家族を不幸にしようとは思わない。


 冠木校長の思惑に乗って、少なくとも、俺達にとって不利益は生じないと考える。

 反抗したところで、得られるものはない。それどころか、俺にとっては深刻な問題が発生する。

 百害あって一利なし。


 俺は、静かに深呼吸した。

 古狸、とは言い得て妙なニックネームを付けた奴が居たものだ。


 俺の深呼吸を合図ととらえた冠木校長が言う。


「さてさて、八王子君。少し余計な話をしてしまったかも知れないが、本題に入ろうか。私が八王子君達に話した内容を検討したところで、忌憚きたんのない意見を述べてほしい。まあ、くれぐれもおかしな反骨精神は持たない方が賢明だと、付け加えさせてもらうがね」


 俺はこの古狸を、生涯忘れないだろう。


「分かりました。俺の意見を言わせてもらいます」

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