Artificial Intelligence of the world 2
( 厂˙ω˙ )厂つかれちゃ
『お帰りなさいませ、ご主人様!』
声高らかに、私がログインした時に読み上げるように設定されいた構文を、部屋の管理をしてくれるという設定のメイドのNPCが読み上げる。
本来ならば課金しなければ部屋に配置できないこのメイドNPCだけれど、私はアルファ版から協力しているという特権と、ソロでしか活動することがないということで、内密にこの部屋に彼女を配置してもらった。
同じパーティーやギルドに属していない限りその人間の部屋には入ることが出来ないというシステムだからね、当たり前。
『本日のクエスト内容はこちらです』
視界にお知らせと同じタイミングでデイリーミッションの画面が表示される。
「あー、今日は全部パスチケット使って終わらせるかな」
これまた課金者御用達の機能で、金を払うとデイリーミッションをすべてクリアしたことにしてくれるチケットを買うことが出来る。
これに関してはちゃんと課金してる私、偉い。
「うーん、体力値、攻撃値、防御値、回避値、会心値、命中値は全部カンストしちゃったし、装備も現段階では最強装備だからなぁ」
正直バベル攻略には物足りないと言えなくもないけれど、全装備のランクは最高でさらに言えばLvもMAX、自分自身のLvも150(MAX)、ステ値はカンストしていて魔法もスキルも全ての職業のものをGETしているとなればステータスの上げどころがない。
「やっぱり復活石砕いて復活しまくるしかないのかなぁ……」
その場で復活ができるとはいえ、貴重な課金アイテムをそうホイホイ使いたくはない。確かに金は有り余って入るんだけれども。
「とりあえずバベルのセーブ地点までワープしてから考えるか」
ステータス表示を開き、最近のセーブ地点を選択してワープを選択する。『ワープまで残り3秒』というアナウンスと共に表示が目の前に大きく現れ、数字がゼロになった次の瞬間、私の目は大理石で覆われた白亜の壁にを写していた。
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―天高く伸びる神域の塔―
このゲームの世界観は一貫してシンプルなものだ。神は神界への人類の到達を歓迎した。故にバベルの塔を壊すことなく、人類と神々の交流が始まった後の世界。というのがこのゲームの世界観だ。
しかし、あまりに神界への距離が遠すぎたために、バベルを登りきって神々と交流ができたのは塔の建設者たちのみであり、ほかの人類はまだ見ぬ神との交流を目指して今も尚この党を登り続けている、というありがちな設定が付与されている。
長年塔が放置されていたこともあり、神々が人類に再び試練を与えると、塔の中に数千数万規模の神獣を放っていてそれを倒さないと上階に進めないという。
「ただでさえ攻略要素が他にもふたつあるって言うのに、この塔は一体いつになったら終わるんだかね……」
現在、私が登ってきた階層までで659層目なのだが、未だに頂上に到達する気配はない。
そもそもこれだけのプログラムを階層が上がるごとに脳に投射して、サーバーの負荷がとんでもないことになっていると思うのだけれどその辺は大丈夫なのだろうか。
まぁ、いちいちそんなことを考えていても埒が明かないか。
「さぁ、いつも通りボス狩りと行きますかね!」
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「ふぅ、まだ先があるのね……」
665層目のボスモンスターであるクラゲ型の巨大生物をフルボッコにして、部屋の奥に現れた扉を開ける。先に現れた階段を見て、私はまだこの塔をら登らなければいけないのかと、内心塔ごと破壊したい衝動に駆られた。
600層を超えたところからはボスモンスターしか湧くことがなくなり、一体一体を倒すのにかなりの時間を要するようになっていった。
「444層目のときと同じように、今回も期待していきますかね」
いちいち期待してたら疲れるだろうけど、これだけやってきたんだからそろそろ塔の最上階であってもいいと思うんだよね。
「ああもう、考えちゃダメだ、とりあえずぶっ飛ばす!」
気合を入れるために思い切り両手で頬をパシリと叩き、階段を駆け上がる。両手に備えた小銃剣のガチャガチャという音が、とても心地がよかった。
「お、なんかラスボスっぽくない!? この扉、重厚感あって、それっぽいよ!」
半ばヤケになって声大きく叫び、自分自身を鼓舞するようにして扉を押し開ける。
「これで最後、これで最後!」
こんな長いダンジョンが終わったあとの達成感なんて、とんでもないに違いない、私は早くそれを味わいたい! ゲーマーとしての欲望が、ここまでずっと押さえつけられていたのだ。そろそろ報われてもいいじゃないか。
というか、2日ぶりにログインしてもまだ他にこの階層にたどり着いたというプレイヤーがいないのだ。この世界で最初にこのダンジョンを攻略する。どんなゲーマーたちだって、自分が1番になることを渇望するはずだ。それが今目の前にあるのだから、興奮せずにはいられない。
「さぁ、こい、最終階層!」
興奮と不安を胸に私は666層のボスへと挑むべく、ドアの向こうへと駆け出したのだった。
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