Y 本当に死ぬつもりだったのか――
幼馴染が引っ越し、クラスのアイドルが入院してしまう現実に……ヒロは焦りと苛立ちを感じ……最後の分岐を誤ってしまう――!?
「なんなんだよこのゲームは――! 本当の目的は――一体何だったんだ!」
補習が終わると、そう言って鵙美に詰め寄った。詰め寄ってしまった――。
少し考えればその行動が――どういう結末を招くのか、容易に分かったはずなのに――。
「俺の幼馴染が本当に引っ越してしまうし、――九条は入院する? これじゃまるでゲームと同じじゃないか! こんな現実があってたまるか!」
俺がやってたのは――ホラーゲームにしか思えない!
「わたしはヒロ君が言う通りにゲームを作っただけよ」
怯えた瞳……夏休み最初の時と同じだ――。
――あの時とまったく同じだ――
「俺の言う通りだと?」
確かにゲーム作りのアドバイスはしたさ――。だが俺が鵙美に追加させようとした分岐は全部グッドエンドだっただろ――!
最初からあったバッドエンドばかりに現実が傾いているじゃないか――!
「それに、私たちがしていたのは……恋愛シミュレーション……ゲームなんかじゃない……。ヒロ君にも気付いて欲しかったのに――」
「なにをだよ! ホラーゲームだったってことにか――!」
それとも俺の腐った性根か!
ひねくれた性格か! ――よけいなお世話なんだよ!
「気付いて欲しかったのは、
――私の気持ちよ! もう知らないっ!」
鵙美は鞄を置いたまま、走って教室を出て行った――。
また泣かせてしまった……。
そして――ハッとした……。
――もしゲーム通りに現実が進むというのなら、――三人目は確実にバッドエンドしかない――
恐ろしくグロい、あの交通事故のシーンが脳裏に映る――。この日、これから起こる惨劇までも……、最初から鵙美は予想していたとでもいうのか――?
鵙美がゲーム作りをしていた本当の目標……。ゲーム通りに――自殺することだったのか――
――そんなバカな事、あるわけねー! いったい鵙美はなにを考えてやがる――!
「――まて! 鵙美!」
ゲームと同じシーンだ! 同じセリフを言っている――。
俺が考えたセリフだ――。
――このままじゃ駄目だ――!
ゲームと同じ結末になっちまう――




