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プロローグ
――早速だが、最初の分岐だ。
夏休みであるにも、か・か・わ・ら・ず!
汗水垂らして十キロもの道のりを自転車こいで学校に来た、さあ、どうする――?
1、幼馴染と話す……。Aへ進んでくれ。
2、クラス1のアイドルと少しでも仲良くなる――。やっぱりAへ。
3、……そんな恋愛シミュレーションゲームをする? ……Aしか……ないんだ。
呆れてため息が出るよな? 俺もさ――。
まあ、人生における分岐ってやつは、現実には星の数ほどある。
星の数ほどあるにもかかわらず、
――実際に選べるのはたった一つだけ。やり直しなんて効かない――。
一学期の終業式の後、
「ねえ、佐倉君……って、パソコン持ってるの?」
クラスで一番背の低い地味な女子。木南鵙美に声を掛けられたんだ……。
二度と戻らない夏休みが……こうして始まった……。