sono3 がーる みーつ せくはら
「えっ、ごめんなさい。
…………いえっ、そんな嘘には騙されないわっ!!」
「というか、竜種もどきな爬虫類なら美味しそうに食べるよね君達も。」
そうなのだ。大蜥蜴は美味しい美味しいと食ってしまう癖に、
同族食いは御法度なのだ。まあ、そのルールもそんなに古くもないらしい、
というか僕達へのあてつけルールなのだけど。
全く、実にイライラする。
「ええ、と。その……それはそうかもしれないけれど…。
ってそういうことねっ!! 許せない。」
「なんでさ…。」
どうしてそれが僕を許せない発言になるのかわからない。
発想が障害物競走している気がする。
「しらばっくれるつもりっ!?
要するに、―――――天竜に非ずんば竜に非ず。そういう態度は噂通りだったのね。
聞いている通りだわ。
お前たち如き竜種とも呼べず。よって餌だ。
そう思っているんでしょう。絶対に赦せない。」
発想というか風評が走り幅跳びしていた。
全てアレの仕業だ。許すまじ。
「いや、そういうつもりじゃなくて、
そもそも僕は何も食べないし。」
「そんなので生きられるわけないでしょう。
嘘をつくのならもっと考えなさい。
それすら面倒くさいなんて、私達を竜扱いしていない証拠ね。」
まあ、異界の魂を定期的に食べていますなんて説明する時間が終わる前に戦いが始まってしまいそうだ。
既に彼女の戦意はクライマックス寸前だ。
仕方ない。これは話すつもりはなかったけど。
「竜種を喰らう竜種。
それは間違ってはいないけど意味が違うんだ。
例えば僕の曽祖父の正妻が君達が王だと崇めているアレの元婚約者で、
その他にも目ぼしい同年代の美竜は根こそぎ手を出していたプレイボーイだったんだ。
僕の曽祖父は。
圧倒的な力と見た目を売りにして婚約者や竜妻も関係なく手を出して多くの権力者に恨みを持たれて、
そこに、あの戦役で連合で弱者が集まって寄ってたかって攻撃する大義名分を手に入れたアレ達に追放された。」
「えっ?―――――――――それって…。」
「竜を喰らう竜って言うのは、
――――――――――――――――元は性的な意味だったんだ。」
僕の一族の恥部だ。