1日目・ウラ 「処刑人」
登場人物
雨川 瀬奈 (16) ♀
とにかくまわりについていきたがる女の子。
経験者ではあるが、運が良く生き残ったような人間なので
誰かと一緒にいないと気がすまない。
雪村 颯 (17) ♂
脱出ゲームをやりつくしてきたゲーマー。
持ち前のスキルで脱出。今回来た理由は
何か特別な理由があるようだが。
五十嵐 祐太 (18) ♂
一言で言ったところの変態。
飄々(ひょうひょう)としており、非常に自分の流れの展開が激しい。
だが素は知れず、何を考えているのかがわからない。
関西弁が特徴的で、明るいやさしめな態度から一変し
豹変した態度は恐怖すら感じる。
水野 千夏 (16) ♀
1年前にTrap Highschoolを邦麻と脱出した。
学校は違うものの邦麻と付き合っており
自分と同じ手紙が邦麻にも届いていると知り
行くのを止めようとするが、結局
ついてきてしまう。
晴山 凜 (17) ♀
運動神経がよい女の子。動かずにはいられないといった性格で
闇雲に進んでしまうような猪突猛進な一面が多々。
良く言えばまっすぐだが、悪く言えば少しバカ。
かといって頭が悪いわけではない。勘が鋭い。
雨川 ♀:
雪村 ♂:
五十嵐♂:
水野 ♀:
晴山 ♀:
『』は心の声です
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雨川 「みなさん! ここを! 開けてください!」
(バンバンッ)
五十嵐「なんや…? もうすぐ日付変わる言うて、皆寝静まるタイミングに」
雨川 「五十嵐センパイ……赤井センパイ達を助けてください! まだ…まだ帰ってきてないんです!!!」
雪村 「本当か!? おいおい、まずいだろ!」
水野 「どうするの…!?」
晴山 「始まって早々じゃない…!」
五十嵐「マズいなぁ…。このままやと、あいつら皆死んでまうで」
雨川 「私は…私は…体調が悪くなって寝てて…センパイ方は皆行ったって言うのに…!」
水野 「泣かないで瀬奈ちゃん…! 大丈夫、瀬奈ちゃんのせいじゃないよ…!」
晴山 「五十嵐君…! もう……日付が……」
五十嵐「お前ら、個室から早よ出ろ!」
雪村 「えっ!?」
(ものすごい勢いで赤部屋の入口の扉が閉まり)
晴山 「……な…なによこれ…」
五十嵐「0時を迎えたタイミングで、施錠されるっちゅうことやな…? 要するに……今扉のリーチにおった子が万が一どかんかった場合、下手しぃ、死んでたで」
雪村 「冗談じゃねぇぞ……はぁ………これで…朝の7時までは入れないな……」
五十嵐「……とりあえず…赤井らを助けに行かな…かなりヤバいなぁ」
晴山 「…誰が行くの…?」
五十嵐「せやなぁ……逆に誰が来たくないんや…?」
雨川 「私…行きます…! センパイ達が危ない目に遭っているのに…私だけ待っているなんてできません…!」
雪村 「そもそもお前は青部屋だ、どうやって行くんだよ」
五十嵐「……言うててもしゃあない、雪村。お前が来い」
雪村 「えぇっ!? ………はぁ…ったく…わかったよ…」
雨川 「大丈夫…ですか……?」
五十嵐「女の子の君らに怖い思いさせるのは俺も気が引けるだけの話や…? まぁ、チビってしまうくらい怖い言うなら逆に……ええもん見れそうな気もするけどな?」
水野 「五十嵐君!」
五十嵐「ハッハッハッ………ほな、後でな」
(フロアに入り)
雪村 「………中は綺麗なんだな」
五十嵐「せやなぁ…?ここが真っ赤に染まらんとええねんけど」
雪村 「お前…本当に狂ってるんじゃないのか…!?」
五十嵐「狂わな…やってけへんで、ここは」
雪村 「おい……なんだ……この音……」
(ヴィィィィィンとかガシャッガシャッみたいな音が聞こえて)
五十嵐「処刑人…いう奴かもしらんなぁ?」
雪村 「処刑…人…!?」
五十嵐「ルールみたいなのに書いてあったやろ? そいつやないんか…?」
雪村 「見たくもねぇな…そんなロボ……っておい…あれ、なんだ…?」
五十嵐「えらい長い髪の毛やなぁ……曇野の髪の毛かいな?」
雪村 「こっちを通ったって事でよさ………おい……」
五十嵐「……あら…流石にこれは困ったで……どないしよか…」
(明らかに真ん中に人を入れると言わんばかりのスペースを胸に持った気味の悪いロボットが視界に)
雪村 「あきらかにこっち向かってきてるぞ…走れ!」
五十嵐「いや…あかん…! この扉の向こう側にあいつらがおるんや…このまま行かせたら…ホンマに殺されてまうで!」
雪村 「ホイールついてるアイツから走って逃げれるとでも思ってんのかよ!?」
五十嵐「どうしたもんやろか…!? ヤバいで…これは!」
雨川 「大丈夫ですかね……センパイ達……」
水野 「大丈夫……出られるし…きっと助けてくれるよ、五十嵐君達が」
晴山 「千夏ちゃんは…赤井君と一緒の学校から出たんだよね」
水野 「うん…そうだよ…」
雨川 「私は……運が良かったから出られたようなもので…私が生き残って…すごく申し訳なくなります…」
晴山 「きっとそんなことない…。そりゃ…亡くなっていった人たちは戻ってこないけど…今ここで死んじゃったら本当に頑張って出てきた意味がなくなる…」
水野 「そうだよ、だからみんなで一緒に出ないと!」
雨川 「は…はいっ………がんばり…ましょう…」
晴山 「ところで……私たち3人とは少し違うよね、曇野…沙月ちゃんだっけ…?」
水野 「あぁ…うん。確かに……」
晴山 「すごく賢そうだったけど…」
雨川 「…ああいう女の子がやっぱり…いいのかな…男の子って…」
水野 「えぇっ……邦麻君………」
晴山 「…邦麻君…? もしかして…そういう関係なの…? 千夏ちゃんと赤井君って」
水野 「そ…それは…違うよ…いや…違わないけど…えっと…えっと…」
雨川 「真っ赤ですよ、水野センパイ」
水野 「ふぇぇぇぇぇっ!? 恥ずかしい…恥ずかしいよ……」
晴山 「ふふっ……もう…高校2年でしょ…?」
水野 「そ…そうだけど……」
晴山 「ってことは……もう…済んだ?」
雨川 「晴山センパイ!!」
晴山 「興味あるもん、私だって。こんな…普通じゃない学校の中に居たら…そんな話だってしたくなる…」
水野 「……大丈夫だよ……。私たちは…一度卒業したんだから…!」
雪村 「おいおいおいおいおい! マジで追いかけっこしてどうすんだよ!? シャレにならねぇぞ!」
五十嵐「さすがにあの胴体じゃそうスルスル動かれちゃたまったもんとちゃうで!?」
雪村 「こっち行き止まりじゃねぇか!?」
五十嵐「しゃあない……腹くくってかけるで…」
雪村 「はぁ!? かける? 命をか!?」
五十嵐「運も命もや…! あいつの足元には人一人分ぐらいのスペースがある…そこを潜り抜ける」
雪村 「正気かよ…!?」
五十嵐「……ごちゃごちゃうるさいなぁ、ならお前一人死んだらええやないか」
雪村 「畜生……ああああうるせぇな! わかったよ!!!」
五十嵐「ギリギリまで引き寄せて…アイツの左腕の斧がこっちに向かってきた瞬間に飛び込む…ええな?」
雪村 「っしゃ………やってやるよ…来いよ……処刑人がァァァァアッ!!」
終
1日目・ウラ 「処刑人」