0日目・ハジマリ 「再び」
登場人物
赤井 邦麻 (18) ♂
1年前にTrap Highschoolに入学し、そして脱出した。
今回、デジャヴに感じた手紙の真相を確かめるべく
またも地獄に来てしまった。
水野 千夏 (16) ♀
1年前にTrap Highschoolを邦麻と脱出した。
学校は違うものの邦麻と付き合っており
自分と同じ手紙が邦麻にも届いていると知り
行くのを止めようとするが、結局
ついてきてしまう。
五十嵐 祐太 (18) ♂
一言で言ったところの変態。
飄々(ひょうひょう)としており、非常に自分の流れの展開が激しい。
だが素は知れず、何を考えているのかがわからない。
関西弁が特徴的で、明るいやさしめな態度から一変し
豹変した態度は恐怖すら感じる。
晴山 凜 (17) ♀
運動神経がよい女の子。動かずにはいられないといった性格で
闇雲に進んでしまうような猪突猛進な一面が多々。
良く言えばまっすぐだが、悪く言えば少しバカ。
かといって頭が悪いわけではない。勘が鋭い。
曇野 沙月 (18) ♀
気高さを感じられる女の子。
頭がずば抜けて良いのだが、人を見下すような態度が特徴的。
委員長をつとめていたのもあり、みんなをまとめようとするが
祐太と対立することが多々見られる。
雪村 颯 (17) ♂
脱出ゲームをやりつくしてきたゲーマー。
持ち前のスキルで脱出。今回来た理由は
何か特別な理由があるようだが。
雨川 瀬奈 (16) ♀
とにかくまわりについていきたがる女の子。
経験者ではあるが、運が良く生き残ったような人間なので
誰かと一緒にいないと気がすまない。
紫城 奏 (18) ♂
紫城 舜の兄。舜が死んでしまった学校というのがどんなものか、
また仇を討ってやりたいという気持ちからやってきた。
舜と同じく探偵的な考えに長けており、
俺は簡単には死ぬつもりはないと言っている。
赤井:
水野:
五十嵐:
晴山:
曇野:
雪村:
雨川:
紫城:
『』は心の声です
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赤井 「……なん…だよ…これ……同窓会…って…? そもそも…俺と千夏しか…生き残った人間はいないはずだろ……?」
水野 『邦麻君にも届いていた1通の手紙。それはあの地獄の様な学校の同窓会の誘いだった』
五十嵐 『Trap Highschoolの卒業、おめでとうございます。今回、あなたは卒業生たちの同窓会に出席していただくことができます』
赤井 「同窓会だ…? 舐めやがって……!」
水野 「行くの…? 邦麻君」
赤井 「あぁ……あの学校の真相を知るチャンスだろ…? 俺達は生き残ったんだ……真相を知る権利があるだろ……!」
水野 「やめたほうがいいと思う…私は……また…あんなことになったら…」
赤井 「なら、お前は来るな。千夏」
水野 「邦麻君も行かないで! 危ないのはもう……嫌だよ……」
赤井 「千夏………わかった……やめとく……」
水野 「うん……そうしよう…?」
赤井 『そうは言っても俺は真相がやはり知りたかった。だから千夏には内緒で指定されたバス停に向かったんだ』
水野 「邦麻君! やっぱり…来てたんだ」
赤井 「悪ぃ……千夏…嘘ついて」
水野 「ううん…いいよ…。ただ、私も行く…! 黄嶺君達に…真相を伝えないとだもんね」
赤井 「あぁ……そうだ」
五十嵐 「えらい集まって来たやないか?」
晴山 「ここにいる人は…みんな手紙が届いた…ってことでいいのかな?」
曇野 「そういうことになるだろうな。つまり、私たちはあの忌々しい学校の卒業生の集まり、と」
雪村 「でも、僕たちは互いの顔を知ってるわけじゃない。それぞれ違うタイミングで脱出したか、それとも…?」
雨川 「そもそも各々が脱出した学校が違う、という事でしょうか?」
紫城 「……バスが来たぞ」
赤井 「もう…すでに人が集まってるのか…なんだ、あの建物……洋館…? 小さいな」
水野 「ねぇ…邦麻君……あの…ね」
赤井 「後だ。降りるぞ、千夏」
水野 「あっ………うん……」
五十嵐 「自分らで最後かいな?」
赤井 「あ…あぁ……。……!? 紫城…! どうして…お前ここに…!?」
紫城 「どうして俺の名前を知ってる?」
水野 「だって……紫城君は……」
曇野 「3人で勝手に話を展開するな、人数が揃い次第入れと書かれている。お前たちで最後だ、入るぞ」
雪村 「とりあえずさ、自己紹介だけでもしとかないか?」
雨川 「そ…そうですよ! みんな名前も知りませんし…」
晴山 「じゃ…じゃあ…私から…。晴山凜、2年です」
雪村 「雪村颯。同じく2年だ」
曇野 「3年、曇野沙月」
雨川 「あっ…はっ…はい! 雨川瀬奈です! に、2年です!」
紫城 「紫城奏。3年」
赤井 「あ…赤井…邦麻、3年。よ…よろしく……」
五十嵐 「俺は、五十嵐祐太や。よろしくやでぇ、仲良ぅしてな」
水野 「水野、千夏です。2年生です、よろしく…ね」
曇野 「これで全員終わっただろう。中に入るぞ」
赤井 「ちょ…ちょっと待ってくれ。気になってることがあるんだ」
五十嵐 「紫城君、やろ? さっきも不思議そうな感じしとったしなぁ?」
紫城 「赤井といったか。舜は俺の弟だ、お前たちが思っている紫城はお前たちが見た通り、もうこの世にはいない」
水野 「そう…だったんですか……。すこし…雰囲気が違うなって…思いました」
赤井 「……そう…か。すまねぇ……俺達が生き延びて……あいつは……」
紫城 「お前たちを責めるつもりはない。全国で発生している高校生の失踪事件はここに繋がる。俺はそう感じているんだ、弟を失ってしまったとは言え、大きな問題になっている事件に関われることを俺は嬉しく思っている」
雪村 「詳しい事は中で話せばいいだろ、外もだいぶ冷え込んできてる」
雨川 「そうですね…! 入ってみましょう」
晴山 「暗いよ…? 玄関の電気とか無いのかな……同窓会らしいのに…」
曇野 「私で最後だ」
雪村 「おっ、ここについてるぞ。ほら」
五十嵐 「水野ちゃん、やっけ?」
水野 「は…はい…。水野 千夏です」
五十嵐 「君、すごい可愛らしいよなぁ。胸、いくつなん?」
水野 「ふぇっ!? な、なんですかいきなり…で…Dくらいは……」
赤井 「おい五十嵐! なに馬鹿な事言ってるんだ!」
五十嵐 「せやで、君らも今のうちに馬鹿言うときぃ?」(態度が豹変し、威圧するような感じで)
紫城 「どういう意味だ、五十嵐」
雨川 「そ…そうですよ……! 五十嵐センパイ、どうしたんですか?」
五十嵐 「気づいてないわけちゃうやろ? 感じてるやろ、デジャヴを」
雪村 「あぁ…感じてるよ」
曇野 「説明しろ、五十嵐」
五十嵐 「人数が揃い次第入れという看板、見覚えあるやろ…? 君ら。ええ加減現実見ぃや。同窓会でも何でもない、俺らはまた来てもうたんや」
晴山 「遠まわしに言わないで…はっきり言ってよ…五十嵐君!」
五十嵐 「まだ説明させる気かいな? いつまでも呆けてたら。【死ぬで】」(【】だけ強く)
赤井 「……おい……入ってきた玄関は…!?」
曇野 「くっ…! 開かないぞ……!」
雪村 「おいおい…こりゃマジでヤベーって……!」
紫城 「ここは玄関だと言うのに入って、10mの廊下が前に続いているだけの行き止まり、か」
晴山 「外から見た感じ、小さかったけどこんな……玄関だけの内装なんておかしいよ…」
水野 「ほ…邦麻君…! あ…ああああ…あれって……」
赤井 「っ? 壁に……血……? って…は!?」
雨川 「か…壁が…両側から迫ってきてますよ………!?」
曇野 「まさか……潰そう…というのか……!?」
紫城 「あの壁の迫り具合だとこの部屋が俺達を潰すまで残り3分ぐらいだろう」
雪村 「玄関が開かねぇってのにどうすんだよ!?」
五十嵐 「行き止まりの壁の下の所、すこし床の色と違う様や。邦麻、手伝え」
赤井 「あ…あぁ。 せーのっ!」
紫城 「ハッチか、なるほどな。底はどうなってる?」
晴山 「針の山…みたいだよ……絵本で見る地獄の……」
雨川 「こ、こんなところに入っても結局死んじゃうよ…!?」
曇野 「他に隠し扉か何かは無いのか!?」
五十嵐 「俺が行こう、君らもあとから続くんや」
水野 「五十嵐さん! だって底は…」
紫城 「……なるほどな」
赤井 「おい! 降りても足場は無いんだぞ!」
五十嵐 「やかましいなぁ、なら君ら纏めてそこで潰れ死ねや」
雪村 「こんなとこで死ぬのはゴメンだぜ……?」
晴山 「だ……大丈夫なの本当に……?」
五十嵐 「やっぱりな。おーい、君らも降りてきぃ」
曇野 「!? 五十嵐…!? 針の上に立っているだと……?」
紫城 「時間が無い、降りるぞ」
赤井 「…千夏、降りろ」
水野 「あ…うん……!」
雨川 「こ…これは…!」
雪村 「そういうオチかよ…」
五十嵐 「俺らが見てた針の山、っちゅうんは、立体絵やったようやな。見たことあるやろ? 外国で絵描きが描いた、トリックアートを」
紫城 「見事一本取られたって感じだな」
晴山 「ここは…地下一階ってことになるのかな…?」
雨川 「だと…思います……」
赤井 『…五十嵐……何者なんだ…あいつは』
曇野 「おい、左右に扉が2つ。そして真ん中に1つあるぞ。どこに入る?」
五十嵐 「ここに1枚紙があった、どうやら右の扉左の扉の奥にさらに扉があって、俺達8人の個室があるそうや」
水野 「個室……か……」
五十嵐 「右を赤部屋と呼んで、左を青部屋と呼ぶ見たいやな。赤部屋は、晴山、雪村、俺、水野。青部屋は邦麻、雨川、紫城、曇野や」
赤井 「千夏……」
雪村 「その赤部屋と青部屋ってのは何が違うんだ…?」
雨川 「男女わけってわけでも学年わけってわけでもなさそうですし……」
晴山 「血液型……でもないか…」
紫城 「恐らく、赤部屋と青部屋の人間で活動できる内容が違うんだろう」
五十嵐 「そういう事や、詳しいことは個室に置いてある封筒に書いてあるらしい。みんなとりあえず個室に行こか」
赤井 『そう言って俺達はひとまず赤部屋と青部屋にわかれ、各々の個室へと向かった』
雪村 「マジかよ……冗談じゃねぇ……」
雨川 「うそ………」
晴山 「………また……」
曇野 「五十嵐の、言うとおりだったか」
五十嵐 「卒業生の皆さん、同窓会は無事に楽しめたでしょうか? それとも、誰か欠けてしまいましたか?」
赤井 「皆様はめでたく第1回Trap Highschoolを卒業し」
雨川 「そして、新たに2回生となったのです。おめでとうございます」
紫城 「皆様には朗報な事に、今回脱出期限はありません」
晴山 「好きなだけ徘徊し、好きなだけ逃げ回り、好きなだけ血を流していただくことが可能です」
水野 「赤部屋と青部屋に別れていただいたと思います。皆様が訪れた今日は0日目とし、本日の0時を回ったタイミングで1日目となりますが」
雪村 「奇数日にエリアを徘徊できる人間は青部屋のみ、偶数日に徘徊できるのは赤部屋のみとなっております」
曇野 「皆様のロッカーにそれぞれ名前の刻まれた腕輪があるかと思います。それを装着することで、ホールの真ん中の扉を通ることができます」
五十嵐 「腕輪にももちろん赤と青がわかれていますので、奇数日に赤部屋腕輪を装着した人間が正面扉を通ろうとしても通ることはできません」
赤井 「ですのでくれぐれも日付のカウントを間違えないようお気を付けくださいませ。校内に入れる日の色部屋の個室の開錠は午前7時、入れない色部屋は午前10時に開錠となっております」
雨川 「また、日付が変わり、入れない日数の時に対応の色の腕輪をしていなかった場合は」
紫城 「腕輪に仕掛けられた装置が電波を発し、校内を徘徊している処刑人に居場所を知らせます」
晴山 「処刑人は視界にみなさまを捕らえ次第見失うまで永遠に追い続けますので、どうぞお気を付けください」
水野 「それでは、楽しい学校生活をお送りください」
雪村 「おい! なんだよこれ!」
赤井 「落ち着け雪村!」
曇野 「……まんまと私たちはハメられてここに来てしまった様だな」
晴山 「どう…するの…? これから…」
紫城 「紙に書かれていた内容だと、次の0時から24時間青部屋の人間が活動できる。その間赤部屋の人間はホール、個室で待機って事になるな」
雨川 「そ…それに…な…なんですか…? 処刑人って……」
水野 「私たちのほかに……人間が誰かいるって事…?」
五十嵐 「……わからへん、どうにも言えんで。これは」
赤井 「どうすんだよ、これから……」
曇野 「食糧を確保する必要がある」
晴山 「ってことは…青部屋の人が明日…行かないと………」
雨川 「わ…私だ……どう…どうしよう…う…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
紫城 「落ち着け雨川、そう簡単に死なせやしない」
五十嵐 「前回俺達が経験したように大したルールが無かったみたいや、怪しいで」
雪村 「俺達に明かしてないだけで、いろんなルールがあって…違反したら即……殺すってな……」
水野 「邦麻君……怪我しないでね…死なないで…ね…」
五十嵐 「明日の1日目は君ら青部屋の管轄や、協力してなんとか生きて帰ってくるんやで」
曇野 「お前たちはどうするんだ」
雪村 「どうするも何も、正面扉を出れないんだ…待ってるしかない」
晴山 「………どう…するの……? 今から」
五十嵐 「俺ら赤部屋組は何もでけへん、待つしかできひんねや。この通りケータイも使えへんからな」
紫城 「とりあえず、明日は俺達が7時を迎え次第校内に入る」
赤井 「そう…だ…。やるしかない、今度こそ…誰も死なせやしない」
曇野 「それでは…今夜は皆寝るとしよう。赤部屋のお前たち、また明日の夜」
赤井 『また、始まってしまった。また、誰か死ぬのか。そんな考えばかりが脳内を駆け巡る。だけど、くじけていられない。何としてでもみんなで脱出するんだ』
終
Trap Highschool Ⅱ
0日目 「再び」