8 舞台裏
「ヨミ。そっちに1人送ったぞ」
『あいあーい。いやぁ……ほんと、君は心理操作が上手いねぇ』
「黙って仕事してろ」
『ほいほい。りょーかい致しやしたー!』
そういって俺は、階段を下りる。
中庭へ向かう途中で、死体愛好家のマナにあった。
「あれ、お前、さっきまで上の方にいなかったっけ」
「君と話したくて降りてきたんだ。まぁ、一番は彼女なんだけどね!」
「はいはい……。ってかお前、途中で横取りしようとして、ウラノに喋れなくされてただろ。それに、人間にも、お前にはやらないって言われてたし」
「ほんと、僕ってダメダメだよね……。あの子、彼女にちょっと、ほんの、本当にすこーしだけ彼女に似てたから、剥製にしたかったのに……。まぁ、一番は彼女なんだけどね!」
「……じゃあ、俺ちょっと中庭行くから、じゃあな」
「うん!じゃあね!」
そういって手をブンブンと振り回してちぎれたマナに手を振ってから、中庭へと向かう。
そこには、巨大な桜の木と、その隣に立っているトコヨがいた。
「おいトコヨ。ちょっといいか?」
「ながれる川のせせらぎも。
んぎゃあと響く産声も。
でんしゃの通る音も。
すべてがすべて。
かれらの過ごす、大切な日常の音」
「……ほんと、面倒な喋り方するよな。言葉の最初を覚えとかなきゃいけないこっちの身にもなってくれよ……。まぁ、要件としては、さっき降ってきたやつ、まだ食べないでくれ。まだ生きてるだろうし、ちょっと話したいことがあるから」
「わかながすくすくと育つ春。
かいすいよくを楽しむ声が聞こえる夏。
りんりんと鳴く鈴虫の音を楽しむ秋。
まるまってこたつに篭る冬。
しゅんかしゅうとう、季節は巡る。
ただ日々だけが、過ぎていく」
トコヨとの面倒な会話を終え、彼が落ちているであろう場所へと行く。
そこには、今にも死にそうな彼……良介がいた。
「……扉を開けたら、屋上だった絶望感、どうだった?……あ、さっきの話し、嘘は1つもついてないからな。ただ、お前に生き残って欲しいってところだけを除いて」
ヒューヒューと息を漏らす良介は、目で何かを訴えてくるが、生憎とそういうのを読み取るすべは持っていない。
……まぁ、持ってても答える気なんてないけど。
「あーあ。先に帰っててって、言ったのにさ」
そういって立ち去ろうとしたとき、あることを思い出して足を止める。
「あー……そういや、そんときお前、聞いてないか。……まぁ、運が悪かったってことで」
そういって俺は、振り向いて、笑顔を浮かべた。
「ご愁傷様でした!」
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!




