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「外に出る前に腹ごしらえしよう。お腹空いちゃったよ」


 食材と料理どちらにしようか考えて、疲労回復効果があったはずのサンドウィッチとオレンジジュースを取り出しながら階段に近づいた。


「ゲームで見たまんまだ」


 見覚えのある階段、階段を上った通路の天上部分には人が一人通るのがやっとの大きさの扉が付いている。


「出る前に腹ごしらえ」


 階段に座るのは躊躇われたから立ったまま食べる事にして、恐る恐るジュースを飲んでみた。


「あ、凄い本当にオレンジジュースの味がする」


 ポーションと同じ瓶に入っているのかと思っていたら普通にグラスで出てきたオレンジジュースを一口飲むと爽やかなオレンジの香りと酸味が口の中に広がった。


「サンドウィッチはワックスペーパーに包まれているのか」


 ワックスペーパーを開きサンドウィッチを一口齧る。


「あ、チキンとレタスだ。美味しいじゃないの。良かったあ」


 料理スキルで作るサンドウィッチの材料は、確か小麦粉と卵とチキンとレタスだった。

 卵は塗ってあるマヨネーズに使われているのだろうか、酸味が効いてて美味しい。

 これで暫く食料に困ることが無くなった。


「私の無駄にため込む癖がこういうところで役にたつとはねえ」


 どんなアイテムでも買える時はギリギリまで買うのが私のゲームのやり方だった。

一つのアイテムを腕輪に入れられる数は999個まで。腕輪のランクによって収納できるアイテム数は違うけど、私が持っている腕輪は最高ランクだから無限大にアイテムが収納できる。レベルがカンストする位ゲームをやりこんでいた私は金銭的な余裕もあったから、どのアイテムも常に950個まで収納していた。お蔭で食料もアイテムもかなりの数がある。

なんで950個なのかと言えば、ダンジョンに入った時にドロップアイテムの拾い漏れを無くすためだった。これだけアイテムを持っていても、魔獣と戦って得られるドロップアイテムも残さず拾いたいんだから私ってたいがいだと思う。


「食べ物も大丈夫、ポーションが大丈夫なんだから他の薬関係もきっと大丈夫。お金は街に出てみないとなんとも言えないけど……。最悪アイテムを売ればいいや」


 パーティで組んでいた仲間用にとって置いた装備もかなりあるし、低ランクの装備でも個数を売ればなんとかなるでしょう。

 そんなに使えない装備やアイテムでもレアとついていると取っておきたくなる性格がこんなところで幸いするとは思わなかった。

 

「あとは出口がゲームと同じ事を祈るばかりだわね」


 サンドウィッチを食べ終えるとワックスペーパーとグラスはどこかに消えた……と思ったらアイテムウィンドウにワックスペーパー×1グラス×1と出た。

 ゲームではポーションの空き瓶以外は腕輪に入らなかったから、この世界仕様なのかもしれない。


「色々違うとこあるのかなあ。どうしよ、お金使えますようにっ!」


 階段を上り、念じながら扉を少しだけ押し上げる。


「……明るい?」


 扉の隙間から漏れてきた明かりに首を傾げた。

まだ夜は明けていない筈。

 まさか誰かが住んでいるのだろうか。


「誰もいませんよね」


 ゲームでは出口は無人の教会だった。

 聖女を助けた後、パーティはここで一夜を過ごすんだから間違いない。


「その声梢ちゃん?」


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