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「リアルに見ると怖いな」
光の石を指輪にはめて出口に向かって歩きながら思いついて武器を取り出した。
当たり前の様に手の中に現れた武器に動揺して涙がぽろりと落ちた。
何度も何度もゲームの中で使った武器。それは左手の金の腕輪の中に仕舞ってあったものだ。
「オープンウィンドウ」
ステータスが見たいと考えた途端頭に浮かんだ単語を暗い通路の中で呟くと、ふわりと頭上に光小さなウィンドウにアイテム一覧と自分のステータスが見えた。
「アイテムオープン」
さっきは欲しいアイテムの名前を考えただけで手の中にアイテムが出てきたけど、アイテム全部見たい時はどうするんだろう? 疑問に思った途端また単語が頭に浮かび、再び呟くと今度は二重に見えていたウィンドウの一つが消えアイテム一覧がクリアになる。
「炎の舞扇、氷の扇子。旅人のマント。……闇夜の鬼灯これの方がいいか。アイテムちゃんと全部ありそう。お金もあるな、これ使えるのかな」
試しに数個アイテムを取り出して、感触を確かめる。
ゲームの中で見ていた武器やアイテムが実際に触れられる現実に眩暈を感じながら、今度はステータスウィンドウをオープンにした。
「レベルは99。この間上げたときのレベルのまま。使えるスキルも覚えているのは全部ある。着ているのは多分最後に装備していた奴だよね。確かまた取れていないスキルの為に安い装備にチェンジしていた筈」
装備をチェンジする為にもう一度アイテムウィンドウをオープンにする。
ゲームの設定通りなら少しでも防御力の強い装備の方が良いけどそうすると今の装備よりも露出が多くなる。露出している箇所が多いのに防御力が上がるって納得いかない。
「悩んでる時間が勿体ないから、もうこれとマントでいいや。流石にリアルでこの恰好は痛いわ」
防御力は今の装備より若干上だけど、装備している間は体力が少しずつ上がり続け、水と土の魔力防御が強い装備に変更した。
スカート丈は相変わらず短いけど、今度のはワンピースタイプだ。
「スカート短すぎだけど、さっきのよりはマシよね」
鏡が無いから分からないけど、髪の色と長さからいって体と顔はゲームで使っていたのじゃない現実の私の様だ。
つまり、ゲームのキャラの服装を現実の自分がしているということで、コスプレな恰好なわけだ。なんだかちょっとへこむ。
スタイルも顔もそんなに悪くはないと思うけど、露出過多な装備が似合うと言い切る自信は無い。
「アイテムも取り出せる。レベルも見える。装備も念じただけでチェンジ出来る」
本当にゲームのままだ。
これじゃ、私はゲームのキャラクターの一人だ。
「ここ、本当にレイラインの世界なの?」