№ 恋(ラブ)
『宣戦布告? え? なんで? えええええええええ!? もしかして、塁くんの彼女だってことばれたから? ……いや、いくら片思いだからと言っても兄妹だし、待って、異母兄妹だからあんな事やこんな事も法律上まったく問題無いわけだし、いやいやいや、問題よ! 大問題よ! これはモラル(常識)の問題よ! ああああ駄目よ! 兄妹でそんなことしちゃいけません! でもでも、もし栞ちゃんがその気になれば一つ屋根の下に暮らしてるから絶対に勝ち目なんて無いじゃない! ていうか、そもそも塁しっかりしなさいよ! 私の彼氏でしょ! ネトゲばっかやってると、私誰かに持っていかれちゃうわよ! って』
「はぁはぁはぁ、……な、なんで私こんな事考えてるんだろ」
実際には、他人の恋なんて誰にも止められない。 それは、止める権利もない。
それは、私が経験豊富なわけでもなければ、私自身そこまで魅力があるわけでもない。 この10年の間ずっと塁くんを捜し続けた、捜すことだけに必死だった。 でも、それは恋とは違う気がする……。
私に宣戦布告して去って行った栞ちゃん。 例えば私に無敵の武器があるとすれば、それは塁くんが、誰にでも真似出来ない私だけの”Donor”であることくらい。
「愛羽音ちゃーーーん」
私の名前を呼びながら校舎からこちらに向かって走ってきたのは、塁くんだった。
「はぁはぁはぁはぁ」
「塁くん」
「はぁはぁ、もしかして僕のこと待っててくれたとか?」
少し照れ笑いを浮かべながら、彼はそう言った。 塁くんはたぶん本当は私が待ってることなんか期待してたわけじゃない。 だから、私はにこりと笑い、少し意地悪を言ってみることにする。
「もしかしてじゃなくて、塁くんを待ってたんだよ」
その言葉に、不慮と言うべきか、眼帯をしててもわかるくらいに些か塁くんは驚きの表情を浮かべた。 ――確信した。 『塁くんは、今の私は見てくれてないんだ』
暫しの沈黙から私が俯くと、頬を掻きながら困った様子で彼はこう言った。
「いやぁ、正直言うと、自惚れた台詞かなって思ったけど、”彼女”に待ってたとか言われたら、やっぱ嬉しいね」
―――え。 今、彼女って言った。
「塁くん……」
「さ、帰ろ、愛羽音ちゃん」
塁くんは、ダサい眼帯のその無邪気な表情で私に手を差し伸べる。 そして、私はその手に触れる。
「うん。 ……さっき、栞ちゃんに逢ったよ」
「え!? 栞に! なんか変なこと言ってなかった?」
「んー 教えない『ここは、苦笑いするしかないよね』」
「え! ……ふっ、しかたない、君の心にスキルポリグラフ(意見解析)を使うしかないか」
「なにそれ、意味わかんない」
帰り道、私は塁くんとたくさん話した。 八割はネトゲの話しだったが残りの二割は塁くんの好きな物の話しと異世界の話し。 やっと、出会えた私のDonor(命の恩人)は少し中二病は入っているけれど、この想い、温かい手、あなたにだけの想い。 特別な感情が私の中で生まれてくる。 今それが、はっきりと心の中でわかった。
これが恋なんだって――。
―今の私を好きになってくれるかな―
あとがき☆
今回、かなり短いです。スミマセン
次回から展開がかわってくるので、きりのいいとこでシャットアウトしました。
塁「愛羽音ちゃん、今回どえらい台詞長いねw」
愛羽音「そうそう、噛まずに言えるかもう心配で心配で><」
塁「危機迫る勢いだよね。この台詞w 後半、僕の悪口だけどww」
愛羽音「つい、本音がポロリって感じですw」
塁「さてさて、次回から話の展開がぐっと進むって書いてるけど」
愛羽音「え? そうなの? この話に展開とかあった? 作者の道楽って感じしかしないんだけども……」
塁「新キャラも募集してたしねw 少しくらい期待してもいいんじゃない?」
愛羽音「じゃあ、あまり期待しないで待ってまーすw」
塁 愛羽音「それでは、次回またねぇ」