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Donor  作者: 鈴呂
3/7

№ 栞(しおり)

 ―君のことが、好きだ。 だから、あの時の続きをしよう―

 

 って、あの時、勢いで”うん”とか言ってしまった私……机に座って今にも幸福が逃げていきそうなくらいの溜息して、今、猛烈に後悔してます。 

 それは、昨日の出来事―――。 

 彼氏彼女になってしまった私こと若草愛羽音と山田塁、そして、私の左目に光をくれた山田塁くん。 感謝はしてる、とても、とても……でも……。 いつものように、校内のベンチにて昼食を二人で食べていた私達なのだが、山田塁くんの話はいつも、ネットゲームのお誘いばかり、他、あまりに解釈のできない中二病な言葉。 

「愛羽音ちゃんも、やってみれば? ネトゲ。 それこそ騎士とかになればいいじゃん」 

「絶対、やらない。 そもそもうちにPCとかないし『本当はありますけど』」 

「そっかぁ 残念だな一緒に冒険とか、あと愛羽音ちゃんのIDも考えてたのになぁ……聞きたい?」 

「結構です。 それよりも、その眼帯で隠している右目、どうなってるの?」 

「え? あ、ああ……それは、えと……そういえば、隣のクラスの高橋が呼んでたの忘れてた。 今宵の月は紅く、殺戮に満ちている、気をつけるんだぞラブウイン(愛羽音)」 

 そういって、彼は逃げるように去っていった。 とても、不自然なくらい焦って……。 

『……らぶういん?』

 

「若草さん」


 私を呼んだのは、同じクラスで少し派手目の女子二名。 ギャルとまではいかないけれども学生の分際でメイクをしており、どことなく見下ろされてる感じの口調で話しかけてきた。 その話しといえば、山田塁くんのこと、普段一緒にいることについての情報収集。 

 文字数勿体ないので、省略したいとこだが”もしかして、山田のキモヲタとつきあってるの?”だった。 

 当然、私の出した答えは睨みつけるように”NO”、すると彼女達は、不服そうに教室へと戻って行く。

 

「あの……若草さん」

 

 私の座っているベンチは、校内でも有名なスポットなのかと勘違いしてしまいそうなくらいの来訪。 

「今度は、何?」 

 振り向いた、先にはそれはアニメからできてそうなくらい、絵に描いたような優等生、メガネ姿に栗色の髪の毛(おそらく地毛)、制服もきちっとしており、突っ込みどころない女子生徒。 それはまさに間違いなくラスボス。 A final showdown(最終決戦) 

「あの、失礼ですが、絶対図書委員ですよね?」 

「いえ、違いますですよ。 ……あの、若草愛羽音さんは、山田塁くんとつきあっているのですか?」 

 この質問をする限り、彼女は山田くんに好意をよせているのかと推測される。 そして、それは同時に冷やかしではないという彼女を見てからの勝手な思い込みで、私の出した答えは”いいえ”だ。 

 その言葉に、ビンゴと言わぬばかりに彼女はホッとし、私の隣に座りため息をする。

 

「どうして、そう思ったの?」 

「……彼のこと、ずっと、見ていたからわかるですよ」 

「もしかして、山田くんのこと……」 

 そういうと、彼女はあからさまに頬を赤く染め俯いた。  

「も……もう、8年間も、か、か、片思い中なのですよ」 

『えええええ、付き合ってるって言わなくてよかった私! ナイス!』 

「は、8年も……てか、それに気づかない山田くんってどうなの……」

 

 勿論、山田塁に非はないのは、彼女が滾々と8年間という片思い期間の彼を説明してくれた。 予想通りというべきか中二病っぷりは、凄まじいものだが反面、彼山田塁の優しさも知った。 それは転校生だった彼女が、あまりの真面目っぷりにいじめを受けていたところを、この中二病の山田塁に助けてもらった事がきっかけとなった。 少し同感する。 Donor提供というだいそれた行為ではないが、彼に助けてもらった事は事実、そして、8年という歳月は私には真似できない。

 

「ねぇ、名前教えて」

 

あかつき しおり」  

「……そ、それ本名?」

 

「はいですよ」

 

 

 


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