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6.香織の過去 その2 ー香織視点ー

××××年


神殺し一族の転生術には欠陥があります。

生まれてから、何十年もたって前世からの記憶を思い出すと、初めて生まれたその日から持っていた魔力に現在いまの体が耐えられなくなり、魔力が体力を奪ってしまって病弱になります。

死期が日に日に迫ったとある夜のこと、一組の父娘の吸血鬼ヴァンパイアが私の家に来ました。

「珍しいですね。吸血鬼ヴァンパイアの親子が訪ねてくるなんて」

「そうだな。しかし、今はそうはいっていられない。人間族の科学がここ数百年で、発展しすぎたため、吸血鬼ヴァンパイア族とライカン族が争っている場合ではなくなった。そこで、互いを守るため共存しようということになったんだ」

「私が知っている吸血鬼ヴァンパイアの長は、そんなこと許しませんよ」

「それは分かっている。しかし、あの科学の発展は今までの人族を知っている者たちにとっては脅威だし、今後のことを考えれば危険だ。我らは闇の住人。人族よりも優れているとはいえ、それに胡坐をかいているわけにはいかない」

「それほど、脅威だと感じるのですか」

「ああ。我々の存在を知れば、排除するために何かしらの兵器を開発するだろうな」

「それもそうですね。自分たちにとって都合の悪い存在となれば、精神的に追い詰め、今までの功績を逆転し自分たちの都合のいい法に変えて処刑するのが人ですから」

「それは、どの種族でも同じだろう」

「それで、その娘を連れてきたのはどうしてですか?」

「現在、吸血鬼ヴァンパイア族とライカン族の共存派と吸血鬼ヴァンパイア純血主義との対立が酷くなっている。激化する前に、君に預けたい」

「あなた方はは神殺し一族を殺せない縛りがありますし、私自身弱ったとはいえ、それなりに強いですからね」

「我々と対等に戦えるぐらいはな。君のとこなら、あの馬鹿どもが手を出すことができない。だから、娘エリスをお願いしたい」

「ということは、共存派のトップなんですね」

「そうだ。仲間たちからは、弱点になる子を遠ざけておくべきだといわれてな。頼む」

「わかりました。でも、この子は納得していない感じがしますよ」

「パパ。私、ここにいなきゃダメ?置いていかないで」

「すまない。すべてが終わったら、迎えに来る。それまで、いい子にしてなさい」

「うん」

そういうと、エリスは不貞腐れて部屋の奥に言ってしまいました。

「ここは人里から離れすぎているな」

「ここに愚かなる侵略者たちを誘いこむためです。その中の神に私が殺されれば、結界が発動し、奴らを皆殺しにします。餌は、私自身。私を殺すため、奴らは必ずここに来ます。それに、周囲の人たちを巻き込むわけにはいきませんし」

「この周りは、その結界が貼られているのか」

「はい。それに、人が入れないようにしています」

「では、エリスのことをよろしく頼む」

と言って、彼は出ていきました。


「パパは?」

「戻りました。私はリア。よろしく」

「うん」


彼女の機嫌はなかなか治りませんでしたが、暇になってきて私の後についてくるようになりました。

「家の周りを歩いて何しているの、リア」

「結界を強化しているんです」

「ひーまー。この間のトランプして、遊ぼーよー」

「いいですよ」

「ホント?」

「はい」

「結界の強化はもういいの?」

「はい。一気に強化をすると脆くなりますから」

「ふーん」

「それじゃあ、家に戻りましょうか」

「うん」


数十日後の夜、あの吸血鬼ヴァンパイアが戻って来ました。

「決着がついたんですか?」

「ああ。俺たちが勝った」

「そうですか...」

「あ、パパ」

「エリス、うちに帰ろう」

「うん、リアは?」

「ここに残って、今生での決着をつけます。早くここから離れて下さい。奴らが来ます」

「わかった。エリス、行こう」

「ヤダ。リアも一緒がいい」

「ワガママを言うな。帰るぞ」

「ヤダ!」

エリスが泣いて、ここを離れそうになかったので一つの約束をしました。

「エリス、今は帰ってもらえますか?今度は、私からエリスに会いに行きますから」

「いつ?」

「エリスがもう少し大人になったらです」

「ずっと先のこと?」

「はい」

「それじゃあ、リアは私のこと忘れてない?」

「あなたはいつまでたっても私の可愛妹。私より長く生きても、年を重ねても、それは変わりません」

「うん。ちゃんと、私のとこに来てくれる?」

「もちろん」

「仕方ないから帰るけど、ちゃんと来てね。約束だよ」

「わかりました」

エリスたちが帰った直後に奴らが来ました。

そして、私が長年かけて作った結界が発動した。



150年後____


私は、エリスとの約束を守るために吸血鬼ヴァンパイアが住む村に来た。

今生で私は再び生まれ変わらずに済む。愚かなる侵略者たちとこの世界を阻む結界が完成するからだ。その前に奴らのトップを殺す必要がある。最後である今回は、私の死によって私たち一族に能力を与えた神様を引き摺りだせるはずだ。それが、神殺しの一族ととの契約。


私が村の中に入ると、「久しぶり、リア」とエリスが抱きついてきました。

「リア、前と変わらないね。でも、なんか違う」

「深く考えると禿げますよ」

「ええっ?」

「考えない方がいいということです」

「うん。本当に来てくれた。ありがとう」

「お姉ちゃんとしては、可愛い妹との約束は守るものですよ」


エリスについていき、現在の吸血鬼ヴァンパイア族の長に会うことになりました。

ライカン族の長らしきライカンもいます。

「エリス、大事な話だから出ていきなさい」

「わかりました。お父様。リア、後でね」

「はい」

エリスは部屋から出ていきました。

「久しぶりだな。神殺し一族の娘」

「久しぶりです。そちらの方はライカン族の長ですか?」

「ああ。ここの様子を見て分かったと思うが、現在、吸血鬼ヴァンパイア族とライカン族は共存している。君が死んでいる間に、人族の科学が思った以上に発展して、人族に知られないようにしているから現状維持できているようなものだ」

そして、吸血鬼ヴァンパイア族とライカン族の私が死んでいる間についてのことを聞き、愚かなる侵略者のこの世界の侵攻が今回で最後にできることを伝えました。彼らはそれを聞き、何とも言えない表情をしました。

「これ以上、君を引きとめるとエリスの機嫌が悪くなるな。行きなさい」

「では、失礼します」


それから、エリスは私にべったりでした。エリスの頭を撫でていて彼女が嬉しそうに私に寄り添っていた時に、ライカン族の青年が来ました、

「エリス」

「カイル、どうしたの?」

「なんで、人族の少女にべったりなんだ。俺たち、付き合ってるだろ」

「リアは私の姉さまだよ。一緒にいるの」

「やっと、親父たちにも認めてもらえて、俺たちの子どもが生まれるのに」

「だって、リアがいるんだよ」

「子ども?」

カイルは、吸血鬼ヴァンパイア族とライカン族の間に子どもがお腹の中で順調に育つのが稀なこと、できてもその子が両種族の力に耐えきれなく死産が多いことを教えてくれました。

「分かったのは最近なんだ。共存し始めた頃付き合っていた奴らがいるんだが、その夫婦は普通に子どもが生まれた。それ以降はできなかったんだ。久しぶりの両種族の間で生まれる子どもができるんだ。だから、エリスは大切にされている」

「じゃあ、先代は無駄に自分の娘と当時のライカン族の青年を処刑したことになるんですね」

「そうなるな」


五ヶ月後、無事にエリスとカイルの子どもが生まれました。その娘は、リーシャと名付けられました。神殺し一族では、「祝福と幸運を持つ者」という意味です。

エリスはどう接していいか分からず、リーシャの世話は私がすることに。

「悪いな、リア」

「私はいいのですが」

「リーシャばかりずるい」

「そうじゃないだろ、エリス」

と、カイルが帰って来ました。

「後は俺がこの子を見るから休んだらどうだ、リア」

「そうですね」

と言って、私は自分に用意された部屋に戻り一休みしました。

私、カイル、吸血鬼ヴァンパイア族の長、ライカン族の長と妻でリーシャの面倒を見ました。エリスも少しずつですが、リーシャにうまく接することができるようになっていきました。


私が、ここにきてから五年後。とうとうこの日がやって来ました。

一つの部屋には、私と主な吸血鬼ヴァンパイア族とライカン族が集まっています。

「すまない。あの日から愚かなる侵略者の対策を考えてきたのだが、良い案がないまま来てしまった。当初の予定通り、数十人の盾となる者を選ぶしかない」

「今回、奴らは総力戦でここに来ます。私が術を発動させるまで、防いでもらわないと」

「それで、結界は作れたのか」

「はい。二年前にできて、さらに保険をかけています」

「いいか、なぜ吸血鬼ヴァンパイアライカンを愚かなる侵略者は狙うんだ?」

ライカン族ではうまく伝わってなかったんですね」

「いや、俺たちも聞いたことがない」

吸血鬼ヴァンパイア族もなんですか...人族より、身体能力・長年で培った経験・その他があるでしょう。あなた方の血を摂取すると、愚かなる侵略者たちの能力が格段に上がります」

「そんなことでか」

「血は力の源であり、重要な情報源ですから」

次に、私が結界を発動させるための時間稼ぎの人選が始まりました。これにはやはり難航。両種族の長が自分たちが出ることにより、盾となる者を減らそうとしましたが、これには多くが反対しました。なんでも、両種族の共存はこの二人の力が大きいみたいです。そこで、カイルとエリスは自分が出るといっています。

「馬鹿なこと言わないでください。リーシャはどうするつもりなんです。あの子には、父親と母親が必要ですよ」

「確かに、リーシャがいるから外された。でもそれじゃ、不公平だ」

「そうではない。この決定は、あの娘の力が両種族の中で最も強いからそのためだ」

「私は、母親に向いていないわ。お父様みたいに、愛情を与えることができない。でも、あの子を守るためのことはしたい。それしかできない」

この部屋にいる皆で、カイルとエリスも戦いに参加することを反対しましたが、逆に決意を固める結果になりました。


ここ数日の間に、長をはじめとした吸血鬼ヴァンパイア族とライカン族の戦いに参加しない者たちが、新たな居住地へ移動を開始しました。居住地についても、すぐに生活基盤を整え始めずに、そのまま住むように言っています。それは、愚かなる侵略者たちにこちらが侵攻に気づいていることをさとられないようにするためです。奴らは、私が気づいていることすら知りません。

私たちが、結界が発動するための体制を整え終わった二日後に奴らが攻めてきました。

そして、結界が発動した瞬間に私たち一族に能力を与えた神様が地上に降りて来たのです。私は、そこで意識が途切れました。


後からその神様に聞いたのですが、人族やその他の種族の支配を企んだ愚かなる侵略者たちは、それに反対する神様たちが皆殺しをして神様の住む世界に帰り、神様が地上に干渉できない様にしたそうです。

役目を終えた私が再び生まれたのは、自分の人生を生きてみてほしいからだとか。

そんな時に私に魔物を狩る力があることが分かり、「魔物ハンター」になりました。

とりあえず、気に入らない奴らをぶっ飛ばせばいいってことですね。

それじゃ、今までと変わらない!?

リーシャと再会したのは、魔物ハンターとなってすぐのことでした。

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