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3.美少女転校生はヴァンパイア?

美少女転校生は、今日も人気だ。あと、数日間も続くんだろうな。

明るく、可愛く、いい子だから仕方ない。我慢しよう。

隣の席ということもあり、仲良くなったから他の奴らに優越感がある。

でも、男どもと地味子の殺気は何とかして欲しい。


放課後、クラスの男子との罰ゲームで校舎裏にあるエロ本を取りに行くことになった。なんで、学校にエロ本を持ちこんでるんだよ。アイツら、「放課後まで残ってるか興味があったからやってみた」とか言いやがる。取に行く方の身にもなれよ。


呼び出しや制裁の定番、校舎裏に行くと美少女転校生リーシャ・ルーヴェンルージュと都築先生が戦っていた。

当然だが、ルーヴェンルージュが苦戦していてボロボロになっていた。

これ以上見ていられず、二人の間に割って入る。

「なにをしているんですか、先生」

「橘か、どけ!」

「馬鹿なことを言わないでください。女の子を見捨てるなんてできません」

「そいつは化け物だぞ。呑気なことを言ってる場合じゃない!」

都築先生と言い合っている時に、間を通り過ぎるように一つの影がよぎった。

一瞬の出来事だったけど、気づいたら都築先生の顔に三本の引っかき傷ができていた。

「ニャーハッハッハ。今日のオレの爪は、絶・好・調!」

「クッ」

「誇り高い使い魔であるオレが、人間如きに負けると思っているニャか」

ドヤ顔で言ってのけるテンションの高いしゃべる二足歩行の猫。

なぜか季節外れのハロウィンのコスプレをしている。その姿は、やけに似合ってる。

都築先生は攻撃を猫に仕掛けるけど、その猫は華麗にターンをしステップを踏んでダンスを踊るように攻撃を避けている。人間顔負けのダンスのうまさ。何者なんだあの猫。都築先生は、猫に攻撃が当たらずにイライラしている。

「ニャーハッハッハ。キリエが作ったこの衣装をお前が汚せるかニャ?」

「ちょこまか動きやがって、この猫め」

この言葉に反応した猫は、都築先生の顎に向かって目に見えない速さで頭突きをかました。勢い余って突き飛ばされる都築先生。倒れた都築先生の上に猫が乗ると、

「オレは猫ではない!ネコ! そこんとこ、よく覚えとくニャ」

というと、都築先生の顔を引っ掻きだした。そして俺に向かって、

「そこの人間。さっきから猫猫と言ってるニャが、片仮名でネコだニャ。しっかり覚えておくニャ。オレは人間に飼われているペットの猫じゃないニャ」

「ああ。わかった」

ネコが顔の上に乗っかって都築先生が切れて、ネコをどこかに思い切り放り投げた。

焦る俺。なに、ネコを放り投げてんだ、あの教師。

それと同時に、動くことができないほどの威圧感を感じる。なんなんだよ。あの地味子の殺気の比じゃねえ。と思ったら、あの地味子だった。そして、あのネコは地味子の肩に座ってた。

「29の若造の分際で、私の可愛妹の娘に手を出すとはいい度胸ですね」

氷のような冷たい声を出して、都築先生を威圧する地味子。っていうか、妹の娘ってどういうことだよ。意味分かんねーぞ。

「馬鹿じゃねえか。その化け物は、吸血鬼ヴァンパイアだぞ」

「馬鹿はそちらでしょう。吸血鬼ヴァンパイア族に全面戦争を仕掛ける気ですか?それに、魔物ハンター協会に属するために私が出した条件を覚えていません?」

「その化け物に手を出すなだろ。つーか、化け物を守るなんて正気か」

「ニャーハッハッハ。正気じゃないのはお前の方だニャ。人間如きが、吸血鬼ヴァンパイアに勝てると思ってるのかニャ。体力、知性、すべて負けてるお前が言うことじゃないニャ」

「だいたい、その化け物は純...」

と都築先生が言い終わる前に、地味子は先生を完膚なきまでに足蹴りして、気絶させていた。あのネコは、都築先生の上に乗り空気を読まず

「ニャーハッハッハ。ごしゅじんの手柄はオレの物ー! アイ・アム・ウィニャー!」

と言って、高らかに手を挙げていた。

「来るのが遅くなって、ごめんなさい。リーシャ、大丈夫ですか?」

「はい。大丈夫です。リア姉さま」

と言って、ルーヴェンルージュは地味子に抱きつくと安心したように泣き出した。

地味子がルーヴェンルージュの頭を撫でて、彼女が落ち着きだした頃

「橘君、リーシャを保健室まで連れて行って下さい。私はこの馬鹿を理事長室まで引き摺っていきます」

「分かった。...ってか、引き摺る?」

そういうと、都築先生の片足を持ち本当に引き摺っていった。いくら嫌いだからって、容赦がないな。禿げたら、どうするんだよ。

「あー、保健室行くか」

「うん、ありがとう。橘君」

俺は、幼馴染の地味子が都築先生を引き摺っていく姿を思い出してビミョーな気持ちになりながら、ルーヴェンルージュを連れて保健室に向かった。

そして、ルーヴェンルージュと別れた後、あのネコがエロ本を俺に届けてくれた。思いっきり、エロ本のことを忘れてたな。アイツらは帰ってしまったから、持ってきた奴の机の中に突っ込んでおこう。

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