2.転校生は超絶美少女
俺は、橘陸。この春から、高校二年になった。
朝、教室に入るとクラスの男どもが騒いでいた。
「よう、橋本、月原。なんで、騒いでんだ?」
「今日、転校生が来るそうですよ」
「知らないのか? ものすっごく美少女だってさ」
真面目な方が、橋本駿。風紀委員長だ。
爽やか系の美形は、月原響。
高校入ってから、友人になった。
「月原、橘が興味なかったのは当り前じゃないですか。如月さんという幼馴染がいるのですから」
「アイツ、ものすごく地味だぞ」
「馬鹿だな、橘は。今は、無口系毒舌少女の時代だぞ。『昔は魔女っ子で、今は魔法少女』とか『ものすっごくLOVE』の美少女アニメを見ないのか?その点、如月さんは完璧だ。アレで、貧乳だったら文句なしなんだがな」
「そうですね。貧乳だったら完璧でした。彼女は出てるとこは出てますし、引っこんでるところは引っこんでますしね。幼馴染ながら如月さんの良さを分からないとは同情を禁じえません」
「顔はいいくせに残念な奴だな」
「俺の幼馴染なら、西原真冬だろ。巨乳美少女だぞ」
そういうと、二人は溜息を吐き呆れたように俺を見た。こいつらの趣味は本当に分らん。なんなんだよ、無口系毒舌少女って。
「あの胸の大きさはナシだな」
「そうですね。大きすぎはよくありません。本人にあった胸の大きさでないと」
「大きすぎは、正直言って気持ち悪い」
「どこぞのゲームの奇乳になりますよ」
お前らもてるのに、本当に残念だぞ。
そうこうしているうちに都築先生が教室に入ってきて、朝のHRの時間になった。
都築明。俺のクラスの担任だ。
なんでか知らんが、幼馴染の地味子・如月香織とものすごく仲が悪い。険悪と言っていいほどだ。下手すると、殺し合いをするんじゃないかと思ってる。
「喜べ、男ども。知ってると思うが、転校生は女の子だ。ルーヴェンルージュ、入って来なさい」
先生が転校生を呼ぶと、ものすごい美少女が入ってきた。思わず、見惚れてしまった。
「自己紹介をしなさい」
「リーシャ・ルーヴェンルージュです。リーシャって呼んでくださいね。日本には久しぶりに来たので、不慣れなことがありますがよろしくお願いします」
「じゃあ、ルーヴェンルージュ。橘の隣の席が空いてるから、そこに座りなさい」
「はい」
彼女が隣に席に来て、「よろしくね」と言って微笑むと男どもより、後ろの方の席の地味子からものすごい殺気を感じた。
なので、HRが終わると地味子の席まで行って、
「さっき、俺の方を見てただろ? 俺のことが好きなのか」
とからかい交じりに言うと、地味子は思いっきり蔑んだ目で見て、
「好きじゃありません。人として男として、全く興味がありません。持てません。一ミリたりとも。もう一時限目が始まりますよ。早く、席に戻りやがって下さい」
俺の繊細なハートは思いっきり傷ついたぞ。おい、橋本に月原。羨ましそうに見るんじゃない。羨ましいなら今すぐ変われ。
男主人公が、如月香織のことを地味子と連発していますが、眼鏡をしてみつあみおさげをして容姿をわざと下げているためです。眼鏡を外せしておさげを梳けば、どこか冷たい印象のある美人。
ちなみに、如月香織が女主人公です。