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4月7日 最初のLHR

久しぶりの投稿です。

そして、案の定私は現在テスト期間中です。

何でこうにもテスト期間中は執筆が進むのですかね(現実逃避)。


 1-A組に入り席を探すと俺は六列の内、三列目の一番前だった。前世では最後の席が四列目の一番前だったのだがこれは何とも言えない偶然かな。それにしても、流石は新設校。設備が良すぎる。なんだよこの机、天板にディスプレイ付いてるじゃねぇか。おそらく、静電式のタッチパネルが付いているんだろうな。コレ、授業で使うのか……。というか、黒板が黒板じゃなくて完全に電子黒板じゃないですか。しかも、机の右上にはコネクター付きのスタンドもあるんだな。形状からしてみると、PDAのコネクター兼スタンドなのだろうな。つまり、授業中はPDAを出して置けと言うことか。まあ、PDAには録音機能や恐らく、電子黒板とのリンク機能もあるからそのためなのだろう。


 ほとんどの生徒が自分の席に着いた中、俺の横の席は空席のままのことに気が付いた。初日から遅刻か?とも思ったが教室の扉が開き、一人の女子が入ってきた。その女子は俺の隣の席に座りふぅと小さく息を吐いた。恐らくよほど疲れたのだろう。というか、その女子は先ほど新入生総代表挨拶をしていた俺が駅で出会った少女だった。少女というからには小柄だと思うだろうが。その少女、たしか秩父宮だったかな。彼女は小柄というより全体的に見てもミニマムや幼いといった風な容姿だ。そんな彼女をみて、男子は「新入生総代表じゃん」や「あの子可愛いな

」や「合法ロリキターー(゜∀゜)」や「お兄さまって言わせたい……」などと色めき立っていた。というか最後の二人は後で校舎裏に呼び出そうかな……。理由はわからんがムカムカしてきた。それに反して色めき立つ男子とは逆に女子は「可愛い」や「お人形さんみたい」や「同学年の妹キャラきたーー(o゜▽゜)o」や「お姉さまと言わせたい」とかあった。おい、だから最後のやつ。この学園って、かなりの偏差値もつ進学校のはずだよな……。大丈夫なのか心配になってきたんだが……。


 そんななか、その当人は聞こえていませんよ。という表情をしていた。いや、あれはどう考えても聞き耳立ててるじゃないか。しかも、お人形という言葉を聞いて体を軽く見回してため息ついてるし。気にしてるんですね。


 そんな、クラス観察をしているとひとりの男性が教室に入ってきた。顔は渋いという感じなのだが、スーツを着込んでいるものの若干シワがあり髪がボサッとしていて何というか、くたびれたサラリーマンといった風貌だった。その男性が「そろそろHR始めますよ」と言い話していた生徒たちが自分の席に着いていった。そして全員が座り終えたところで、


「皆さん、入学おめでとうございます。これから一年間皆さんの担任を勤める、日本史担当の天野あまの 早雲そううんです。よろしくお願いします」


 くたびれたサラリーマン、もとい我らの担任である天野先生はぺこりと会釈した。どう見ても教師とは思えられないような人である。あとで知ったことなのだが、天野先生は有名大学の准教授であり日本史を専攻にしていたらしい。見た目がかなりくたびれた感じなので見た目よりも年をとってそうなのだが、これでもまだ二十代らしい。なお、本人は気にしてない模様。


「では、早速ですが皆さんに自己紹介をしていただきましょう。出席番号が一番の方からよろしくおねがいします」


 それからは淡々と自己紹介が始まっていき、俺の番になった。どう自己紹介しようか悩んだのだがここはシンプルにすまそうと思い起立して後ろを向いて、


「富士見ヶ原中学校出身の熊谷くまがい れんです。趣味は読書と料理。好きなものはお茶と茶菓子です。一年間よろしくおねがいします」


 最後に礼をするのを忘れずに爽やかかつ親しみのあるような印象を与えられるような自己紹介をする。まあ、これぐらいなら及第点だろう。と、思ってたのだが。


「では、熊谷君に質問のある人は挙手してください」


 悲報・唐突に質問タイムになったでござる。


 アイェェェェ!!シツモンタイムナンデ!!ちょっ!!おまっ!?何でいきなり質問タイムになるんだ!?この昼行灯風教師!!


 罵詈雑言を頭の中で叩いていたら、天野先生はふと思い出したように、


「えー、では相澤さんから順に質問していってください。私は所要で少し職員室へ行くので。一通り質問が終わったら自己紹介を進めておいてください」


 と言い残して、教室から出て行った。おい!いいかげん過ぎないかこれは……。


 ともあれ、いまの俺は質問という渦中の中だどんな質問が来るのか。一体どんな質問がくるのか不安なんだが。


「熊谷さんはどんな料理が得意なんですか?」

「主に和食が得意です」


「得意なスポーツはなんですか?」

「スポーツより弓道や剣道が得意です」


「愛読書は何ですか?」

「新渡戸稲造の武士道です」


「好きなお茶の名産地は?」

「狭山です」


 ふう。こんなところかなと思っていたが、最後にとんでもない質問が来たのだった。


「熊谷さんは理事の熊谷さんとご親戚なのですか?」


そう質問したのは、俺の席の隣に座っている新入生総代表の秩父宮 桔梗。彼女だった。


「ええ。不本意ながら私の祖父の熊谷紫檀です」


「そうなのですか。ありがとうございます」


 何か納得したように頷くと彼女は目線を再び黒板(黒板は黒板でも電子黒板だが)に向けたままになった。


 それからまた、しばらくの質問に答えていると天野先生が戻ってきてつつがなく自己紹介が進んでいった。

 そして、そうこうしてる間に一限目の終わりを告げるチャイムが鳴った。

 

「えー。二限目には各委員会や担当を決めます。さらに三限目には部活動創立のための説明があるので皆さん、ぜひ様々な活動を行うようにしてください。では一限目は終わりです」


 そう、天野先生はいいのこし再び教室から去っていった。


 先生が去っていったのを確認してクラスは様々な会話があふれ始める。


 その中で、俺の隣に座る彼女は静かに電子黒板を見つめているだけなのが気になった。

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