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4月7日 「俺が転生した経緯」

 校門から第一体育館までは距離があるので、このうちに俺のことについて話そう。


 俺には前世の記憶がある。別に、厨二病ってわけではなく本当に前世の記憶があるのだ。

 

 前世の俺は普通の公立高校で生徒会長をやっていた。ある日学校の帰り道で轢かれそうになったおじいさんを助けた結果、事故にあって死んだ。


 死んだ後に、天国みたいなところで神とかいう痛い奴にはなしを聞いたら、うっかりデスノートに間違って書いちゃった。てへぺろ☆(・ω<)とかいったのでボコボコにしてやった。良い年したようなおっさんがてへぺろとかすんな、気持ち悪い。


 殴ったら、「殴ったね! オヤジにも殴られたことないのに……」とかほざいたのでさらにボコボコにしてやった。どこのモビルスーツ操縦者だよ。


 そうしたら、頭のネジがはずれたように真面目に話を始めた。


「さてと、お主がこちらの手違いで死んでしまった事については謝罪はする。それと、今後のことだがお主は転生というのに興味はないかな?」


「転生? あれか。 事故で亡くなったら別世界のキャラクターになってたっていうやつか」


「お主の世界ではそういう風に捉えられておるのじゃろうな。だがそうではない。パラレルワールドというのは知っているだろう。そこでお主の出番なのだよ」


「どういうことだ。なぜそこで俺になる。俺は自称ぼっちでただのしがない生徒会長だったものだぞ。特技なんて速読位のものだ」


 あと、射的。俺は某猫型ロボットの主人のヘタレ少年かよ。


「まあ、聞きたまえ。我ら神々は様々な世界を司っておってのう、お主のいた世界は我らが基準としている世界なのだよ。そして、その世界において不必要な死はパラレルワールドに悪影響を与えるのだよ。」


「あれか。 バタフライエフェクトとかいうやつか?」


 内容はたしか、「北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークで嵐が起こる」や、「アマゾンを舞う1匹の蝶の羽ばたきが、遠く離れたシカゴに大雨を降らせる」とかだったはずだ。北アメリカ涙目な話だな。


「正確には間違いだが、まあ概ねそのようなものだ。お主のいた基準の世界での不必要な死、特に生徒会長というある意味重要な役に就いていたお主は多かれ少なかれの影響を引き起こすと予測されたのだよ。」


「生徒会長だからと言ってそこまで影響が出るとは思えんがな。それで、どうするんだ?現に俺は今死んでいるわけなのだが。」


「そこじゃよ。お主は死んでしまった。だが、魂とでもいうべきものはここにあるわけじゃろう」


「まあ、確かにそうだな。魂という存在自体には疑問的だが現に感情や記憶があるということは完全に死んだ訳ではないみたいだな」


「理解が早くて助かるよ。そこでお主は死んでしまったお主の影響を受ける世界に転生してはもらえないかの?」


 ふぅむ。と、少し考えてみるとしよう。


 今こうして、訳の分からない状況だが一つだけ確かなことは俺が確実に死んでしまったということだ。

 で、神とかいう痛い奴の話によれば俺の無駄な死(失礼だが)によってバタフライエフェクトもどきがおこるというのか。


 俺の影響というなら俺に過失があるというわけだが、そんなの生前に知るわけでもないから情状酌量の余地があるだろう。


 しかし、一度死んだ身だ。おそらく断れば安らかに眠れることだろう。つまり、俺という存在は完全に亡くなるという事だ。


 死んではいても、死にたくはないなぁ。と思ってしまうあたり、人間の業とでも言うのかとおもってしまった。ならば、結論は一つだ。


「分かった。いいだろう。転生なんてそうそう経験できるものじゃあないしな。それにもう俺は一度死んでいる身だ。何もしないで死ぬのはごめん被る」


「ほっほっほ。そうか、そうか。生前みたくひねくれたことを言うがやはりそうか」


「うるせぇ。俺がひねくれているのは生まれつきだ。で、俺がいく世界はどんな感じなんだ? 戦争が起こってるとか、魔法が使えるとか、戦国時代だとか言わないよな?いったら、しばくぞ」


「まさか。お主が行く世界は元々お主の世界を模倣した世界じゃ。何ら変わりはない。ただ、お主の知っている世界とは少々異なるがの」


「俺の知っているう世界とは異なる?どういうことだ」


「お主はこれから、お主のもともと生きていた世界――現存世界とでも言うのかの。その現存世界を模した世界――模擬世界とでも言う世界に転生する。模擬世界はさきも言うた通りに、現存世界を模しとる。だが、世界は全く同じ通りには進まないことのほうが多いのじゃ。実際、模擬世界では現存世界で起きたいくつかの自称が起こっておらんのじゃ。例えば、お主の国を襲ったあの大震災での被害もずいぶんと変わっておる」


「あの大震災の被害が変わっているだって?まさか、あれよりひどくなってるとでも言うのか?」


「いや、逆なのじゃよ。現存世界で起きたイレギュラーは模擬世界では釣り合いが取れるように働くのじゃ。つまり、現存世界で起きた不運な出来事は模擬世界に置いては軽くなったり、逆に重くなったりもする。お主の行く模擬世界は軽減されることがメインの世界なので、お主が思っているよりもはるかに良い世界じゃ」


「そうか。ところで、俺の死でおこる現存世界の影響とは一体どういうものなんだ?たかだか、一人の高校生が死ぬことで起こることなんていくらなんでもおかしいだろう」


「それはじゃな……」


 神が何かを言おうとした矢先に、


 ジリリンンッ!


「うん?すまんが電話に出さしておらうぞ」


「あ、ああ。構わないが」


 スマンの、断ってから神が電話(今時では歴史資料館位でしか見られない黒電話だった)にでると、


「もしもし、はい。こ、これは大臣!は、はい。わ、わかりました可及的速やかにですね。はい、はい。ええ、はい。分かりました。すみやかに行います。はい。では失礼致します。」ピッ


 大臣?神の世界でも役職とかあるのか。と、どうでもいいことを考えながら聞いてみた。


「どうしたんだ、なにか急ぎのようでもできたのか?」


「ああ、すまん。君がここに長くいたせいなのかは知らんが現存世界で異変が起きているらしい。なので、今からすぐに模擬世界に行ってもらうぞ」


「はぁっ!?」


「模擬世界での記憶は予めインストールさせておくから君が目を覚ませば模擬世界の自室で寝ているでの」


「おい、ちょっと待て!俺はまだ……」


「転送っと!」


「この、糞神ぃぃぃぃぃ!!!!!」


 神がどこからか取り出したボタンを押した瞬間に俺の意識は暗転した。そして、気がついたらこの世界での自室にいた俺はこの世界での記憶――熊谷 蓮の記憶を受け継いだ。


 そして、せめての罪滅ぼしなのかは知らないが、神から『GodPhone5G』とかいう謎のデバイスと相当優秀なスペックを与えられていることに気がついた。


 『GodPhone5G』は見た目はどう見ても『iPh○ne5s』なのだが、備わっている機能に驚いた。


 まず、通信機能がなく代わりに通神機能とかいう謎の機能が備わっている。


 最初はダジャレかと思っていたが、どうやらこの機能は神との世界と通信できるらしい。


 しかし、こちらからは一切連絡ができず一方的に連絡されるみたいだ。


 その代わりのつもりなのかはしらないが、某国の機密情報を始めありとあらゆる情報にあっさりとアクセスできるという謎スペックを持ってる。


 この機能、下手すると俺がお尋ね者になりそうで怖いんだが……。


 まあ、当時はその使い方は前世のスマートフォンと同じだったのでいじくれないことはないのだが転生したときにはガラケーの時代だったので結局その「Godphone5G(打ち込むのがめんどくさいので以下ゴッフォン)」は小学校にあがるときにかってもらった机に付いてた鍵のかかる引き出しに封印しておいた。


 次に俺自身のスペックだ。


 こちらは抑えるのにかなり苦労した。なので一つルールを設定した。それは、あまり目立たないようにかつ努力を惜しまないでスペック向上に取り組むこと。完全に矛盾してるがそれはしょうがないね。


 しかし、前世の記憶がある上に自身の高いスペックを活かせないのにはいささかもったいないと感じてできることと与えられたことには全力を尽くした。


 その結果、小学校では常に学級委員、さらには児童会までつとめた。その後の中学ではここでも変わらずに学級委員になり一年で生徒会に推薦されて入り、副会長を勤めた。流石に会長職は俺の設定したルール的にはアウトだ。本当に副会長は仕事が楽だよな。前世で馬車馬のように働いていたのが懐かしく感じるよ。


 そんなこんなでスペックを隠すように生活してきたつもりがすでにもう手遅れなことになってそうなことに気が付いた。


 ここで、開き直ってもよかったのだが、でる杭は打たれるという前世で学んだことを俺は忘れていなかったので高校ではならべく穏便に過ごせるように努力しようと決めた。


 改めて決めた決意を思い出しているところに前の方を歩いていた見知った後ろ姿の二人に気がついた。


「あいつらは……」

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