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プロローグ

油谷です。以前はにじファンでISの二次創作を書いていました。

今回は、ミリタリー風味の転生物を書かせていただきます。


ちくしょう。


この職に就いたときから分かっていたはずなのに、自責と後悔をすることが止められない。

これはそういう職業なんだ。PMC(民間軍事会社)ってのは……


乗っていた車とロケットの爆風を受けたこの身体はもうピクリともしない。

動かせるのは首とまぶただけ。全身不随だ。


その首を上に動かしてみれば、そこにあるのはーーーー横転して燃えている車の上に死体、

同僚だったライコネルの無残な姿。アイツはちょうどロケットがぶち当たった辺りにいた。

運が無かったな……

もっとも俺自身も生きているのが不思議なくらいだ。全身に違和感があるのになんの痛みも

ないのが良い証拠だ。


……どうしてこんなに冷静なんだ?もう瀕死の身体で、後数分で死ぬかもしれないのに……


会社で上司を殴ってクビになり、妙なところからの誘いで故郷日本を離れて中東に来て、

PMCに入ってバカな仲間と毎日警備をやって……その報酬がコレだ。ざまぁないな。


ちくしょう。実家から取り寄せた秘蔵の酒、飲んでおくんだったな……体中が痛い。

火傷で顔がひりひりする。

死ぬにしたって、こんな酷いカッコのままで死ねるかってんだ。せめて……ん?

火傷が痛い、体中痛い?さっきまでは何も感じちゃいなかったってのにな。


気がついたら、俺はいつの間にか地面の胡坐をかいていた。


……なんだ、大した怪我じゃないってことか。少なくともうつ伏せから自力で胡坐を

掛けるんなら、両手両足は二本とも付いてるってことだ。

痛みがなかったのはショックか何かだったのか……そう思っていると、全身が痛くなってきた。


目が覚めたのは地面だったから、俺はロケットを食らった後車から放り出されたに

違いない。スピードは出てなかったから、軽い打撲だな…でも痛いなこれは!


……とりあえず、状況を整理しよう。俺はいつものルートを同僚とパトロールしていた。

この町で一番広い道路をのんびりと走っていると、急にロケットが飛んできて俺たちの

乗っていた車に直撃。俺は車から放り出され、同僚の一人ライコネルは死んだ。


…やっぱり俺はどこか変になったみたいだ。昨日まで酒を飲み交わしてた友達が死んだのに、

こんなに冷静でいられるなんて。


まぁ、やることは決まった。ライコネルの遺体を車から降ろしてやろう。

このままだと車の燃える炎に呑まれてしまうし、コイツの故郷には火葬の

風習は無いはずだからな。

そう思って、立ち上がったとき。



広場に銃声が二発、鳴り響いた。



俺は反射的に車の陰に飛び込んだ。今の音はドラグノフだ。俺たちのPMCはドラグノフを

使っちゃいない。ということは……


どさり、ドサリ。何かが倒れる音が二つ。

俺の思考をある感情が支配した。音のしたほうを見たくない。

しかし、首はその感情に背き、倒れた音のしたほうに顔を向ける。


そこにあったのは、頭に銃弾を浴びて即死している同僚二人だった。


俺は声にならない悲鳴を上げそうになり、それを押し殺した。

ちくしょう!よくもやりやがったな!


言いようのない怒りが込み上がってきた。こいつらには前から日本酒を飲ませてやる

はずだったんだ。それが今日!仕事上がりに飲ませてやるはずだったんだ!!


俺は太ももに入れておいた拳銃、M1991A1を取り出し、セーフティーを解除した。

ドラグノフに拳銃で挑もうなんて愚の骨頂、そんなことは分かりきっていた。


しかしこのまま逃げるなんてことは出来ん!ヤツ等のドタマをカチ割らなけりゃ気が済まない!



しかし、このとき既に俺はジ・エンド、だった。俺がセイフティを解除したその時、

二発目のロケットが車に驀進していた。そうだと知ったのはドラグノフの射手を探そうとして

車の陰から頭を出したときだった。奥の建物の屋上から、”ソレ”の発砲炎が見えたから。


次の瞬間、俺はロケットの直撃を受けた。


……このとき、わたし永島 優ながしまゆうは死んだ……元の世界では。

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