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すぱ☆ろぼ!!  作者: 鴉野 兄貴
祝賀編。巨大ロボよ。スーパーロボットになれ。(最終章)

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斗夫(とうふ)

エコテロリズムとは。

エコテロリズム(Eco-terrorism)は、「環境保護」「動物の権利擁護」などを目的とした団体を自称しながら、非合法の破壊、脅迫、暴行、強姦などのテロリズム行為を実行する組織、及び、それら組織とその活動家の行動・主張を正当化・支持する思想のこと。

エコテロリズムに基づくテロ活動を実践する者を、アメリカ連邦捜査局(FBI)のテロリスト分類ではエコテロリスト(Eco-terrorist)と呼称している。


環境テロリズム との違い。

エコテロリズム/テロリストと同様の表現に「環境テロリズム/テロリスト」がある。

だが、こちらは意味合いとしては大きく異なり、具体的には環境保護が目的ではなく、目的達成の手段として環境を人質にとるテロリズムを指すように区別して使われている。


 今回の事案は「鯨を殺傷する人間は滅ぶべき」という思想の元、

新型無人THBF群をジャミング、日露共同開発中の核融合炉『みらい』を襲撃し、ロシア軍守備隊と交戦。之を殲滅し、『みらい』を破壊しようとしている。

実際の現場では、環境テロとエコテロリズムが同居することがある。

かつて日本の一部の人間が主張した「ソ連の原爆は綺麗な放射能」と同じ発想ではないだろうか。

最も、「正義」の為に行動しているため、2011年に日本国政府が隠蔽していた海洋汚染の調査を行うなど、功績面も無視するわけにはいかないのも事実ではある。


 其の問題点。

「善」の思想の元に行うこれらの行為には、

本来人間が持つべき「良心」に基づく歯止めがまったく無い。

彼らの中では、強姦や殺人すら「正義」として認識される。

2008年に日本国内で起きたグリンピースが強奪した鯨肉を「もったいないから」「証拠として」食べていたなど常識的見地からみれば不可思議な事例があることからも理解できる。

他にも自作自演の政治的パフォーマンス、内ゲバ、自国の主要人物を「環境保護を重視しない逆賊」などと指名しての電話やツイッター攻勢などの社会的機能への影響。

「ロシアの捕鯨は攻撃しないが日本は攻撃する」など、

現在は表立って公言できないレイシズムや社会主義、共産主義思想のはけ口となっている点が挙げられる。


 余りの被害の大きさから、器物破損罪、強姦罪、拉致監禁罪などで間接的に逮捕することでは対応できず、

英国などでは既に「反エコテロ法」が制定され、成果を挙げている。

 

 本作の世界では無人兵器が導入されつつある。

座学編でも触れたが、無人兵器にはロボット三原則は適用されない。

読者の皆さんをはじめとする人類が自らの意思でロボット三原則を思い出し、

「自分の良心を基に」運用することが重要なのである。


尤も。その「良心」の運用次第で、本作のように世界の破滅も起こりうるのだが。

 「頑張って。あさひおにいちゃん」

「そんな具合では娘はやらんぞ」「使命を果たすまでハルカナルは死なん」


 三人は自宅にてメッセージを打ち込む。

「ヤマタノオロチ」は強力なシステムだ。政府が情報を隠蔽しようとしても通じない。まさに諸刃の剣である。

 日本国民は、世界の人々は現状を正確に知った。

 即座に各国のグリンピースは急進派の仕業であり、自らの関与を否定するという声明をだしたが、

 たちまちのうちに証拠を掴まれて公開されてしまった。『ダーナ・オシー』こと福田の反撃開始である。


 ……。

「あとはジャミングされた無人THBFを奪回することなんだけど」福田は微笑んでいるが汗を流している。

「おい。まだか」「……厳しいね。同等かそれ以上のシステムを使われている。

 ……『ヒュドラ』とでも名づけようかな」

 複数の仮想人格に擬似的な感情情報を持たせ、

 それを基に構成された鉄壁のシステムだと福田が苦笑いする。


「それに、情報戦を行いながら無人THBF群を奪回するのは難しいね」

 なんとかしろと御厨は叫んだが、福田に出来ないことは彼女にも出来ない。専門が違いすぎるのだ。


「まぁ。現場に期待しましょう」福田は暢気に笑った。

 内心、笑うことしか出来ない自分が恨めしかった。


「トウフたあああああああん!!!!!!!!!!」「あああああっ!!またっ??!」

「いやああああああああ!!!!!」「だめえええええええ!!!!!」


 次々と破壊されていくトーフに御厨は歯噛みした。判ってはいたが、性能差を見せ付けられた。

「演習」なら彼らは戻ってくる。だが、これは「実戦」なのだ。


「ええいっ!!!維新党はなにをしている!!!」

 若手議員が主力の維新党は清濁併せ持つ人材に乏しい。

 実質ロシアの領土である占守島に自衛隊が向かうのは政治的にも軍事的にも危険だ。


 其のとき、一本の電話が官邸に鳴り響いたことを御厨は知らない。

「何をしている!人類の危機だぞっ!!!!!!!」ロシア語と日本語で叫ぶ男性の声。

 それを受け取った一人の女性は決意した。


 現・維新党党首。30歳を越えてなお輝く美貌で水着グラビアは国内外でバカ売れ中。

 国内外からは「最も美しい国家元首」として2位以下をトリプルスコアで離している存在。

 急死した大昔の総理大臣の忘れ形見。御飾りとされてきた其の娘の名前は。


「自衛隊。海上保安庁!占守島に向かってください!向こうの言質はとってあります!ロシア軍に遅れるなっ!!」

「官房長官でも誰でもいい!周辺諸国に連絡と、応援をっ!!!!!!!!」「はいっ!!!」

「責任は全て私が取りますっ!あと、農田さんたち民主党と自民党の皆さんをっ!!」


 悠里美里ゆうりみさと。現・内閣総理大臣。


「うわああああああああああああああああああああっっ!!!」

 朝日は走った。走って走って走った。走馬灯のように仲間たちとの記憶が蘇る。

 仲間たちは無人兵器を引きつけて戦っている。今すぐとってかえしたい。そして仲間と共に。

 だが、それは許されない。彼は。「隊長」だから。


「隊長!!『みらい』を護って!」「隊長!!すまねぇ!」

「いけっ!隊長!指揮車を破壊してくれっ!!!!!!!!!!!」


 彼に今出来ることは。走ることだけだ。よたよたと、転びそうになりながら。

 THBFの人口筋肉とそれを支える外部装甲が限界を迎えている。行動を補助するコンピュータも振動で何処が壊れたのか判らない。

 ましてや指揮車両が戦闘能力を持っていない保障はまったく無い。その状態で指揮車両を破壊できるのか。

 彼自身も激しい揺れによって意識が時々飛びかけている。


「頑張ってトーフたん」「『みらい』を守って」

「幸運を祈る」「幸運を祈る」「幸運を祈る」

「幸運を祈る」「幸運を祈る」「幸運を祈る」

「幸運を祈る」「幸運を祈る」「幸運を祈る」


「うおおおおおおおっ!!!!!!!」


「射線、合わせっ!!」「おうっ!」「リンク完了!015式突貫銃!!!」

 音声認識による武器管制システムに合わせ、三つの射線が交差して『猛火』を屠る。

「015式刀剣!!!!!!」熱しきって動かなくなった銃を捨てた其のトーフは、一気に其の剣を抜く。

 操縦者の視線が『敵』である『猛火』をロックオン。

「一刀流奥義!仏捨刀ウチオロシ!!!!!」まるで弾丸のように跳ねるトーフ。

 ヤマタノオロチの蓄積データに残る剣豪の技。

 一瞬で距離をつめたトーフは、『猛火』を一撃で屠った。

 今も昔も戦いは遠隔攻撃を行うのが基本である。『猛火』は当然、近接戦闘を想定していない。


「おおおおおおおおっ!!」「トーフたん!がんばれっえええええ!!!!」


 その応援が届いたのかはわからない。

 だが、背後から射撃する『猛火』の攻撃をかわしたトーフの一機は一瞬で剣を振りぬき、

 目にも見えぬほどの抜刀を見せてまた『猛火』を屠った。


「バカな」御厨はその大きな黒い瞳を見開いた。

「運動性能があがっている? そんな筈は……ありえない」烏丸も震えている。


「THBFにあんな動きは出来ないっ??!出来るはずがないっ!!

 内部のコンピュータが人口筋肉の動きに、振動に!耐えられるはずがないっ!!」

 御厨は絶叫して、机を叩いた。手の平から血が出るのも気にせずに。


 彼らは『きぼう』の実況映像から、0号機。最も性能に劣るはずの試作機。

 一型一号機、「トーフ一号」の動きを見て黙った。


「走っている……」右手と右足、左手と左足を振りぬき、地面を縫うように。

 さながら一陣の風のように。朝日の機体は走っていた。


「バカな。人口筋肉を外部装甲が補助、補強してはいるが……。あんな動きは機体が」

 持たない。といいかけた。

「でも、理論上は可能な動きなんでしょ?」福田がケタケタと笑っている。


「イイヨイイヨー♪最終決戦で皆の祈りを受けて性能向上とか、ツボ抑えてるよねぇ♪」

 楽しそうに福田はキィボードを叩く。「とりあえず、行動阻害する」

 福田のジャミングを受けて、『猛火』の動きが鈍くなっていく。


 THBFが。『跳んだ』その射撃が、高空から『猛火』を捕らえる。

 炎上する『猛火』に地面を縫うように一瞬で接近したトーフが。抜刀。

 振り上げた剣が。両断する。爆発を避けてまた飛び上がるTHBF。上空と大地からの連携。


「ありえないっ!機体がっ!中の人間が持つわけが無いっ!!!」

 御厨は叫んだ。嬉しい状況であるはずだが、彼女の常識を超えている光景だった。


「がんばって。トーフたん」「まもって。トウフたん」「いけ。トウフたん!!!」

「いけ。トウフたん!!!」「いけ。トウフたん!!!」「いけ。トウフたん!!!」

「いけ。トウフたん!!!」「いけ。トウフたん!!!」「いけ。トウフたん!!!」

「いけ。トウフたん!!!」「いけ。トウフたん!!!」「いけ。トウフたん!!!」

 実況動画に溢れるコメントの渦。


「実は」福田は楽しそうに笑った。

「御厨に渡されたコンピュータって脆すぎて困ってたんだよねぇ♪」

「……それが?」御厨は振り返り、福田を睨んだ。


「そしたらさ。降ってきたんだよ」「?」「?」

 何が。と御厨が言いかけると福田は楽しそうに答えた。

「ぼくの家の庭に『ナノマシンで構成されたバイクのエンジンみたいな形の量子コンピュータ』が」

「……」「……」御厨夫妻は唖然としている。


「どうも、生体部品とナノマシン部分が上手いことマッチングして、あの動きをなしてるっぽいねぇ」

「……」「……」


「そ、そんなものを組み込んだのかっ!!??」

 掴みかかる御厨に楽しそうに微笑む福田。「オリジナルは朝日君の機体に。あとはコピー♪」


「宇宙人が作ったかも知れないものを組み込んだのかっ!!」

「ばかだなぁ。烏丸。宇宙人なんかいるわけないじゃん♪」血相を変える烏丸に手をひらひらさせて答える福田。


「『1万2000年程前に人類が作った、ちゃんとした量子コンピュータ』だよ♪」

「なっ???!!」「人類がいるわけがないっ!!??」二人の様子に福田は楽しそうに笑う。


「それが不思議不思議♪摩訶不思議♪……日本語で持ち主の名前が書いてあるし、間違いないよ♪」


「あと、『アレ』は♪」福田が続ける。

「『人の喜怒哀楽を理解する』みたい♪」

「すっごく、『あの子たち』はやる気を出してくれているんだよ。世界中の皆に応援されて♪」

 福田は嬉しそうに笑った。

 そう話している間、朝日のTHBFが大地を駆け、地を蹴り、空を切る。


 福田がニヤリと笑い。「あとは、任せた。遥朝日ハルカナルアサヒ!」……絶叫する。

「……いけ。俺たちのTHBF」御厨の夫が続ける。言葉少なに。


「……豆腐でも。ポンコツでもない。作った私が言う」

 ……御厨は。万感の思いを込めて。つぶやいた。そして。叫ぶ。

「行けっ!!!!! 私のっ! みんなのっ!! 『斗夫トウフ』!!!!!!!!!」


(続く)

(次回予告)

圧倒的な戦闘力を持つ、第四世代THBF試作機、

放射能汚染環境下特別歩兵(HOKTH)「咆哮」の前になぶり殺しにされていくトウフ。

ヤマタノオロチシステムの支援を自ら切って戦闘に挑む朝日。

エネルギー切れ。システムダウン。マニュアル操作の反応速度の不利。

『みらい』は破壊され、放射線が地球を滅ぼそうとする中、

HOKTHのカッターで破壊されていくトーフ。


「反省なんていらないの」


「死んだ人たちの物語に意味を作るのが贖罪なの」


「『私』があさひおにいちゃんを護ってあげるから」


「……勝てええええええええぇぇぇっっ!!!」


次回。すぱ☆ろぼ!!最終章。

祝賀編。巨大ロボよ。スーパーロボットになれ。

「最後の切札」

ヒーローは。あなただ。

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