士魂。
THBF第一世代「トウフ」、第二世代「チハ」の顔面装甲前面部は。
十と一を組み合わせ、『士』と見えるようにデザインされている。
それは微力を尽くし、最後まで戦い抜く意志を示す。
「我が、ロシア軍守備隊の残存戦力は……これだけだ」
……正直、この島に百数人しかいない一般人を逃がすだけで手一杯だろう。
「俺たちが乗ってきた艦艇を使っていいとおもいます」「助かる」
独断だが、非常時だし、いくら維新党でも許してくれるだろう。
「作戦だが」「THBFには高度な土木技術による陣地構築能力と3D映像による欺瞞能力、あと電子戦能力があります」
「……よくも6年以上も我々を騙してくれたものだ」「知らんわ。今はそれどころではないだろ」
俺たちはため息をつく。
「第二世代、無人機となった第三世代とも、THBFは『足』をオミットしています。ゆえに機動性はあがっていますが」
軍事機密なのだが、かつて自衛隊内で行った演習の成果を明かす。
「敵は『人間』や我々の機体と違って、ジャンプやダッシュは出来ません。
もっとも、我々の機体も安全装置がこれらの動きを制限していますが。
……敵には『腕』は残っていますが指や手もオミットされています。腕のある簡易装甲車と思ってください」
我々の機体は僅か48機です。と俺は告げる。47都道府県分と試作機である俺の1機である。
加えて無人重機群が加わる。よくロシアが上陸を許可してくれたものだ。今となってはありがたい。
「敵はそれ以上だ。やれるか?」性能差は覆せない。
敵主力である第三世代無人機である放射能汚染地域無人歩兵(HOMH)、
『猛火』は俺たちTHBFより弐世代も先の機体だ。
ロボットアニメではない現実世界では、試作機が汎用機に勝つことはありえない。
「『猛火』はあらゆる能力で俺たちの機体を越えています」
それが50機以上。加えてロシア軍の電子妖精群をジャミングして操っているとのこと。
「弱点はないのか?」「我々の機体ですら、正面からならば74式戦車の主砲に耐えます」
中の人間は死ぬだろうけど。
だが。「人間の形を模している以上、間接部分は脆いですね」
そこを狙えば行動不能にできる。手っ取り早いのはカタナで切り取ることだ。
奴らは接近戦に対応していない。当たり前だが。
「作戦はこうだ。我々と君たちは電子欺瞞と3D映像による大規模反抗部隊として連中に殴り込みをかけ、撤退に見せかけて奴らをひきつける。そのまま一般住民は北海道に向けて避難。
日本政府も受け入れをしてくれるらしい」
「そして。アサヒ君。君は『みらい』確保に向かって欲しい……頼んだ」
俺は見よう見まねの敬礼を彼にしてみせた。
「……聴こえるかね?」……!!!
「農田??!」「農田さん??!!」「のうたのおじちゃん??!」
「私たちもいる」「大変だったな」
Kさん??!!ルーピー……もといHさん?
「私たちもいる。迷惑をかけたな」自民党のみなさん??!!
「よくわからんのだが、どうなってるんだ?」「すまない」
……細かいことはさておき、THBF新型機の御披露目を兼ねた放射能汚染環境下を想定した『合同訓練』は農田と当時のロシアとで企画されたことなのは知っている。
そのときは『旧型』廃棄を兼ねた演習などの案はなかったけど。
「グリンピースどもは、想像以上に我らやロシアの中に食い込んでいたらしいな」
まぁそうでなければ新型機を乗っ取ったりはしないが。
「維新党にもかい?」「ああ。奴らは憲法を改正して、自衛軍を作るといっているが」その目的は。
「まぁ、ロクなことでもないだろうし、聞きたくも無い。重要なのは『みらい』だろ?」
農田たちは苦笑している。「まぁ。そこらへんは何とかしよう。難しいがな」マジそっちは頼むぞ。
「老人の取り得はもうすぐ死ぬことだ。責任を肩代わりして去ることができる。
全ての責任を若者に代わって請け、墓場でかつての若者が『私の若い頃は』と言っている姿を笑って許せることは老人だけの能力だ」
「なに。ぶっちゃけ、韓国の大統領と違って、逮捕されても殺されはせんし、影響力も残る」おい。
「維新党に代わって、『勝手に暴走』することにした」ハハハと笑う農田。
「……THBF隊に告ぐ。
君たちの戦いは、実質異国での侵略戦争と取られるだろう。
また、日本、ロシアが合同開発した核融合炉の破壊に手を貸したと汚名を受けるかもしれん。
だが。『みらい』は戦前から連綿と続く原子力を使った平和思想の結晶である。
『みらい』を護ることは人類のエネルギー問題を解決し、人類の未来を護ることになる。
だが、君たちは本来、軍人ではない。第三世代機と戦う義務はない。
もはや私は失脚し、君たちに総理直属権限はなく、予定通りTHBFを破棄して逃げ帰って問題はない。
だが。それでも。
赤穂浪士となって、汚名を浴びても戦う意思があれば手を上げて欲しい。
白虎隊となって、未来を護るために剣を振るうものは一歩踏み出して欲しい。
これは日本やロシアだけの問題ではない。……どうだ?」
「我ら、THBF隊、抗魔の剣となり、放射能から日本国民、世界の人を護ることを誓います!」
「我ら、ロシア軍守備隊を舐めるな日本の元総理大臣!老後の不安だけしておけ!」
俺たちは気合を入れなおす。
「……THBFには陣地構築能力があります。
穴を掘れば我らには塹壕になりますが、第三世代には『落とし穴』として機能します」
「撤退をしながら、連中を倒すわけだな」「皮肉ですね。大昔の戦いをなぞることになります」
「行こう」俺たちは腕を組み咆哮をあげた。
「ウラアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!!!」
(次回予告)
次々と斃れる仲間たち。圧倒的な性能差にTHBF隊は滅びていく。
一方、その様子を『きぼう』とTHBFの『ヤマタノオロチ』からの実況映像で見ていた日本国民、世界の人々の願いが。トーフに届く。
次回。すぱ☆ろぼ!!最終章。
祝賀編。巨大ロボよ。スーパーロボットになれ。
「ハッピーエンドまで泣くんじゃない」
お楽しみに。




