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すぱ☆ろぼ!!  作者: 鴉野 兄貴
座学編。巨大ロボに俺の知能が勝てない(読み飛ばし推奨)。

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12/54

命は選択制。

傷ついているから。

 死にそうだから。


 しかし、命は選ばれる。

 「ゾーンニング」はCBRNE災害において重要な考えである。

 また、救急医療の現場においても、軽症患者は後回しになるのは基本だ。


 自らも被災しながらも人命救助に全力を尽くした自衛隊や消防、警察、役所の方々に限らず、

 公務員の皆様は自身が被災者であっても公務を優先せねばならぬ。

 だからといって良心はより大きな良心に支配される……と、俺は思ってない。


「ゾーンニングの概念は理解できたか?」

 御厨がサボタージュしやがったので、彼女の上司が講義を行っている。

 御厨の講義がいかにいい加減だったのか分かる内容だ。最初からこの人が出てくればよかったのに。

 上司と言うが、御厨が曹長程度なのに、この人は無茶苦茶偉い。指揮系統どうなっているんだ?!


「御厨はTHBFの開発者の一人で、正直THBFについては俺も判らんことが多いのだ」

 彼はニコリと笑った。説明されても判らんらしい。そんなので大丈夫か。


「それに、貴様の理解度ではそういうイイカゲンに見える講義にせざるを得んだろう」がくっ!

 彼は爽やかにいってのけた。いってのけた!


「まぁ、御厨の説明は貴様相手には極めて適切だったろうな」そうなのか?

「……薄い桜色」「がぶぅ!!!!!!!!!」


 このイケメン、意外と冗談が冴える。

「アレはそういうのを気にしないからな」アハハと笑う。

「地位も階級も給金も気にしない。アイツが興味を示すのは鉄道とロボット開発の予算と自分が好きに出来る環境だけだ」

 困った奴だなぁ。

「もう少し、男にも興味もって欲しいって思いません?」「……惚れた弱みだな」

 二人してため息をつく。


「夏でも冬でも朝でも夜でも迷彩ズボンと長靴ちょうかと工具と」「タンクトップ」

「やめろと言ったのだが」「俺も陸自の正気を疑いましたよ」二人してため息。

「おかげで私は今でも独身貴族だ」「まったく。同情しますよ」


「アイツは凄いからな」「はい?」

「はじめて遭った時。『この餓鬼は何処から連れてきた』と言ったら」「ええ」

「『何処が餓鬼ですか?』とズボンを脱ぎやがった」「……」


 俺もやられました。死ぬほど驚いた。思わず鼻血だした。

「……ちょっとだけど薄いのが生えてましたね」

「凄い観察力だ。軍人になれるぞ。私は不覚にも昏倒した」

 そんな観察力、いりませんがなっ!!!!!あと、アンタ童貞かっ!!??


「何度プロポーズしても冗談と思われるのだ」「ロリコンと思われてるんじゃねぇっすか?」

 御厨はロリコンは嫌いだと断言している。


「年齢的には大差ないのだが」彼はまたため息をついた。

「ありゃ問題児ですよね」「わかってもらえるか。……私も天才と称えられたが、アレには負ける」

「アイツとちがって常識人です」「……そこが不味いのかもしれんなぁ」


「とりあえず。復唱だ。ハルカナル」


「CBRNE災害において、最重要項目は現場、後方を三段階に分類することが重要である。

 なお、都市におけるCBRNE災害の戦訓の多くは1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件によって得られている」

 意外とあっさりいえた。御厨の薄い桜色効果すげぇ。

 ニコリと笑って続きを促す御厨の上司。


「ホットゾーンは現場。脅威の除去を最優先。

 ここで医療行為を行うことは危険なので即刻搬送を行うべき。防護服必須。現場部隊の支持を仰ぐ」


 ニコリと笑う彼。少々ちがうところは即座に補足部分がボードに書き込まれる。

 無茶苦茶字を書くのがはぇぇ!!しかも超綺麗な字っ!


「ウォームゾーン。危険物は存在しない。が。汚染された人や物が存在する恐れがある区域。

 応急処置を対処部隊が行う地域。防護服はレベルC以上を必要とする。可能な限り被災者を逃すべき」

 だいぶはしょったが、続きを促された。


「最後はコールドゾーン。ここまでくれば何とか安全……でしたっけ」

「まぁ貴様はその程度の理解でよい。個人的に納得できんがな」


「どういうことっすか?」「ビビられたら困る。総理の御言葉だ」

 俺は自分の立場を理解しだした。


「ウォームゾーンには除染装置などが置かれる。被災者は自力で逃げるときもあるのでゾーンニングは重要……でしたっけ」

「そうだ」


「全ての人を護るのが理想だが、現実は違う。

 この世には英雄はいない。超人もいない。勇者もいない。いるのは普通の人間だけだ。

 THBFは優れた装備だが、決して漫画のスーパーロボットではない。操るのはあくまでお前だ。

 可能な限り人を救うのは当然だが、お前は自分の命より他人の命を優先する訓練を受けたプロではない。

 いまからそれを仕込むのも不可能だし、お前はそういう人間ではない」

 頷いた。俺は屑だ。自分でも知っている。

 だが、その屑が無辜の人々の命の選択権を持っている。こんな不合理。許されるはずがない。


 彼の瞳にTHBFの搭乗者(予定)であるクズへの憎悪が垣間見えた。

烏丸カラスマ(本名不明)。年齢32歳(自称)。

陸上自衛隊『ガンダム計画』ことE1部門の実質的責任者で御厨ミクリヤの上司。


本名、階級は非公開。微笑みを絶やさず、冷静沈着な好青年。

ロボット工学や人体の権威ではあるが、彼曰く「そちらは凡才」らしい。

その真価はアクの強いE1部門の研究者どもをまとめる人心掌握術である。


 しかし。恋に一途な所為でいまだ童貞。

御厨ともども男女隊員からとても残念がられている。


(次回予告)

悲しみは消えない。喜びは何処にいった。

人の悲しみを茶化すモノよ。滅びろ。

次回。すぱ☆ろぼ!!新章

始動編。巨大ロボの背中に投石を。手のひらに命を。

「不愉快である。」

ご期待ください。

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