追走の夏
ご覧いただきありがとうございます。
本作は、実話をもとに再構成した「叩き上げ公務員」の半生を描くサクセスストーリーです。
学歴もコネもなく、定時制高校からスタートした主人公。
決して順風満帆ではなかった彼が、どのような葛藤や壁を乗り越え、霞ヶ関の本省、そして幹部へと駆け上がっていったのか。
実際の官僚機構や他省庁でのリアルな泥臭さ、そして人生後半での新たな挑戦までを丁寧に描いていきます。
働くすべての人、そして逆境から這い上がりたい人に届く作品になれば幸いです。
ぜひ最後までお付き合いください!
7月になり、期末テストを迎えていた。
中間テストでクラス3位だった浩一は、さらに勉強してクラストップを狙いたいところだったが、首位に君臨する桐通の壁は高く、容易ではない。
「川野、試験どうやった?」
「う〜ん、まぁまあやったと思うけど、『出来た!』って手応えはなかったわ。桐通に追いつかんとな」
「進学希望やったな。どこあたりを狙ってるん?」
「出来れば、地元の国立大学」
「K大学か」
「そうやねん。出来れば、推薦で行きたいけど」
「お前やったら、可能性あるんちゃう?」
「その前に、桐通を抜かんとな」
「まぁ、お互い頑張ろう」
迎えた期末テスト結果。
順位表に記されていたのは「クラス5位」という数字だった。
そして、桐通は、今回もクラストップだった。
期末テストは、学年の上位50位まで順位が廊下に貼り出されるので、確認をすると、桐通は7位、浩一は25位であった。
「桐通、凄いなぁ〜トップ10入りやん。俺らの学年400人ぐらいおったんちゃう?」
「たまたまやでぇ〜。川野も頑張ったやん。このまま、キープいや上位を目指せば推薦勝ち取れるわ」
「桐通ぐらいの実力があればええのになぁ」
「俺は、就職希望やから」
「勿体ないなあ」
「家庭の事情ってやつやわ」
「そっか〜」
期末テスト結果を受けて、夏休みを返上して勉強したいところだったが、少しでも叔母を助け、家計を支えたいという思いから、浩一はすでに夏休みのアルバイトを決めていた。
勤務先は、叔母の家の近くにある全国展開の焼肉店だ。
そこを選んだのは、募集要項に「まかない有り」と記載されていたからだ。夏休み中の食費や、叔母の食事作りの負担を少しでも減らせればと考えてのことだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
クラス5位(学年25位)という好成績を残しながらも、さらに上を目指して夏休みのアルバイトへと足を踏み出す浩一。
「まかない有り」を選んだ健気な理由に、彼の優しさと置かれた現実が滲み出ます。
初めての焼肉店でのアルバイト、そして訪れる夏休みの出来事とは——?




