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灰色王子のバラ色観察日記  作者: こさか りね


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19

今日は久々の休みだ。


と言っても、部屋はローレンス様の一室に住んでいるので、さっきも顔を合わせてきたのである。


そして先日、師匠と会った後に、妙な事を聞かれたのだ。


「ジェラルドをどう思っている?」


・・・どう、とは?


と思った私は『剣術を教えていただいた師と思っておりますが・・・』とそれ以外に思い浮かばず、分かりきっている事を伝えた。


すると『なんだ、そうか。気にし過ぎたみたいだ』と『ははっ』と笑ったのだ。


あの時のローレンス様は一体、何の確認をしたかったのだろうか・・・。


そして私は、外へ出ようと廊下を歩いていると、騎士達が何人か前から歩いて来た。


ガッチリとしたムキムキの体躯から、重騎士だろうと思い、道を譲ると『アレンじゃないか。久しぶりだね』と目の前に壁のようなムキムキな人が立っている。


え?

・・・誰だ?


見ると、茶色い髪と薄茶色の瞳に親近感が湧いた。


「・・・ゲイルか?」


すると、にっこりと笑い『アレンも元気そうで良かったよ。今日これから時間ある?』と聞かれたので、休みだと伝えると『仕事終わりにみんなで飲みに行くんだけど、行かない?』と誘われた。


みんなとは、5ヶ月ぶりになるのだろうか。

私は『もちろん、行くよ』と伝え、一先(ひとま)ず別れたのであった。


そして、昼はぶらぶらと街を巡り、夕方。


待ち合わせの店へと入り見回すと、ゲイルが手を上げて、こっちこっちと振っている。

早く終わったのだろう。

既に三人揃っていた。


「みんな久しぶりだね。元気そうで何よりだ」


するとビルが『アレンも変わらず元気そうだな!

にしても、この5ヶ月、何処にいたんだ?一回も会わないって、ちゃんと城の見回りをしてるのかよ?』と早速、話せない内容をつっこまれた。


「見回りだけじゃ無く、雑用もしているんだ。文官が出来ない力仕事とかもしているんだよ」


そう話すと、文官棟に行く事がない騎士だからだろう。すぐに信じてくれたのである。


「ねぇ、アレン立って?」


・・・うん?


いきなりアルトから言われて立つと、アルトも立ち上がり、私の隣に来た。


すると、ビックリ!


すごく大きくなっている。

ビルやゲイル程ではないが、私と比べると、歴然とした差を感じた。


え!?

まだ5ヶ月だよね?

男子って、こんな短期間で大きくなるのか?


唖然とアルトを見上げると『アレンは相変わらず可愛いね』と言い放ったのである。


!!!


「おい!アルト!!それは言っちゃダメだ。アレンだって、気にしているかもしれないだろ?」


とビルが気遣ってくれたのだが。

今言われるまで、全く気にしていなかった自分にも絶句した。


身近にいる人が、ヴィンセルしかいないからだろう。

そして実は言うと、ヴィンセルは学園を飛級したらしく、私より2歳も年下なのだ。


体格が私と変わらない事に安心感があったのだが、元々、比べる土俵が違ったのである。


それと同時に不安になった。


もしかして、ローレンス様は気付いているのか?

と。けど、すぐに違うと考えが行き着いた。


男の私が好きなローレンス様だ。

女と分かれば、態度が変わるはずである。


と思案していた私を見て、二人は、余程傷付いたと思ったのだろう。


すると、アルトがおずおずと口を開いたのだ。


「アレン?ごめんね。

そんなに傷付くとは思わなかったんだ」

とシュンとしている。


「・・・あ?

いや、ごめん。少し考え事をしていただけだ。

大丈夫だよ」


アルトに悪気が無いのは知っている。


そして、話は変わるが、気付いたのだ。

・・・今まで、一言も話さないゲイルに。



まさか?

・・・また?


と思い隣を見ると、酒は飲んでいないようで、モリモリとご飯を食べていた。


静かに素早い動きで、カトラリーが行ったり来たりを繰り返している。


音を立てずに食べる仕草に、やはり貴族だなと感心して見ていると『やっと落ち着いたよ』とゲイルから聞こえた。


皿に目を遣ると、すごい枚数が積み重なっている。

昔のゲイルでは考えられない程の量に、重騎士のパワーを感じた。


そしてビルもアルトもだが、たった5ヶ月で逞しくなっている。


ビル以外は、希望の部署に配属されていないのに、自分のやるべき事に向き合っているのだ。


・・・みんな、頑張っているんだな。


そう思っていると、ゲイルが手紙の束を渡して来た。


「いつか、会えるかなって思って持ち歩いていたんだ」


受け取った手紙を見ると、おっちゃんから二通、家からは、なんと四通も来ている。


・・・そうだった。


引っ越した事を伝えていなかったのだ。

けど、宛名はシルバリーのみで出してって手紙に書いておいて良かった。不幸中の幸いである。


そして、今後も王宮にいるとは言えない。


「あの、みんな?

手紙なんだけど、特殊部隊とは家族に言えないから、もし、また手紙が来たら渡してくれないかな?」


そう言う私に、三人が気まずそうな目を向けている。

そして沈黙の中、アルトが口火を切った。


「分かった。来たら渡すよ」


「うん、ありがとう」


そうして私は、久々にみんなと楽しく過ごしたのであった。


そして、体格の件は、もう考えたってどうしようもない。

ここが私の限界だろう。

これ以上、劇的に大きくなれるとは思えない。


でも、幸いな事に身近な人がヴィンセルだけなので、最低でも2年はいけそうだ。


予定である4年は難しそうなので、この2年の間にマイケルの学費を稼げるだけ稼ごうと思ったのであった。



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