ローレンス視点
俺は、アレンと一緒に特殊部隊室へと向かっている。
「団長とは、初めて顔を合わせるんです」
と言うアレンに、俺は昔の事を思い出した。
団長、ジェラルドは、小さい頃の俺に武術を教えてくれていた。
俺は、そんな彼を第二の兄のように慕っていたのだ。
マクガディ公爵家は代々、王家の影を務める。
長男は家督を継ぎ、次男以降は特殊部隊へと入るのが慣わしだ。
そして、長男しかいない場合は、家と兼任して務める。
次代のヴィンセルがそうだ。
そして、4.5年前にジェラルドが言ったのだ『すごい逸材を見つけたんだ』と。
当時15.6才だった俺は、一番、人生がどうでも良いと感じていた時だった為『そうか』と、何となく答えた事を覚えている。
特殊部隊室へと着き、椅子を勧められたので、それに腰掛け、アレンと共にジェラルドを待つ。
すると、扉が開きジェラルドが入室して来たのだ。
目をやると、そこには、美丈夫の姿があった。
相変わらず、身なりが変わる奴だな。
今日は、きっちりと整えられた、貴族らしい出立ちをしている。
この前に帰って来た時は、無精髭を蓄えた傭兵の格好だったのにな。
そんな事が頭を過ぎる俺を置いて、ジェラルドは話し始めた。
それから、ヴィンセルとジェラルドは叔父、甥の関係だから、話すのは分かる。
なのに、何故かアレンの前に移動したのだ。
すると、親しそうに話し、アレンの口から『師匠』と聞こえて来た。
・・・まさか?
逸材とは、彼の事なのか?
ジェラルドは逸材を育てる為に、自分のバカンスを使う程に、教え子に入込んでいると思っていたのだ。
だがまさか、それがアレンとは思いもしなかった。
そして見ると、アレンの頭を撫でている。
・・・・・・。
ジェラルドのその姿に、師弟愛とは別のものを感じた。
だが、人の気持ちに疎い俺の事だ。
勘違いかもしれない・・・。
と思った瞬間、ジェラルドが見た事のない笑みを浮かべたのである。
これは、勘違いではないかもしれない。
それが親愛の情か、恋愛感情かは、俺には判別がつかない。
だがジェラルドは、少なからずアレンを想っている。
そう思うと、落ち着かなくなってきた。
ジェラルドの方が、アレンと一緒に居た時間は多い。
それを鑑みても、俺よりも彼を理解しているはずだ。
俺は、考えながら2人をジッと見ていると、ジェラルドがコチラを見たのだ。
そして、近づいて来て貴族らしい臣下の礼をとったのである。
「ローレンス様、ご無沙汰しております。
拝見したところ、ご健勝のようで何よりでございます」
「ああ。そう言うジェラルドも、元気そうだな」
「ええ。お陰様でございます。
して・・・」
ジェラルドは顔を近づけて俺の耳元で話し続けたのだ。
「コイツを何故、専属にした?」
そう言い、すぐに離れたジェラルドは、既に貴族らしい微笑みを浮かべている。
・・・ははっ。
手塩にかけて育てたアレンを取られたのが悔しいのか、はたまた、他の理由かは分からない。
だが、今は俺の専属だ。
何を言われようと、俺が解任しない限りは変わらない。
だから、俺も王族らしい笑みを浮かべて返したのだ。
「今までの任務、ご苦労だったな。
褒めて遣わす」
そうして、お互いに笑みを深めたのであった。




