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灰色王子のバラ色観察日記  作者: こさか りね


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2

さぁ、新しい自分の始まりだ!


雲一つない青空を部屋の窓から眺めながら、支給された真新しい制服に(そで)を通した。


そろそろ時間かな?身だしなみは大事だし、ちゃんと確認しないと。


そう思い姿見鏡の前に立ったのだ。


鏡には赤い髪に紺色の騎士服を着た青年が映っている。


うん。良く似合ってる。


()()()()としながら、思わず自画自賛してしまうぼどに浮かれてしまった。


そうだ!ピアスって着けていても大丈夫なのだろうか?


私は、外す事が出来ない、左耳にある赤い石が付いたリングピアスを触りながら、考えていたその時、ドアのノック音が響いたのだ。


「アレン起きてるか?そろそろ出る時間だぞ」


隣部屋のビルが声を掛けてくれた。


私は『今行く』と返事をして、急いで部屋の戸締りを始めたのだった。

しっかり確認してから、外に出て部屋のドアのカギを閉める。


階段を下りて一階に行くと、ビル、それにビルの隣部屋のゲイルが待ってくれていた。


「おはよう!」


「やっと来たか。遅いぞ!今日は入隊式なのに遅刻は流石にヤバいからな」


ビルは頭を掻きながら(あき)れ気味に言っている。

そんなビルを横目に、ゲイルは『間に合ってよかったね』と優しく言ってくれたのだった。


騎士寮に入寮してから1週間、みんなの人となりも段々と分かって来た。


口が悪くて(うる)いが、面倒見の良いビル。

細かい事は気にしない、大らかなゲイル。

その他にもいるのだが、先に行ってしまったようだ。


「二人とも待たせてごめんね。それじゃあ行こうか!」


「おいおい。遅れて来たくせに仕切るなよな!」


「まぁまぁ、落ち着いてビル。アレンも悪気はないよ」


「悪気がないから言ってんだよ!」


とまぁ、いつもの調子で寮から訓練場まで歩いて行くのだ。


寮を出て10分くらいだろうか、訓練場は(すで)に大勢の人で埋め尽くされていた。

騎士以外にも、周りには華やかなドレスを着たご令嬢が沢山いる。


なんか、すごい事になっているな。

この中を掻き分けて、訓練場に入らないといけないのか・・・。

それに、色んな香水の匂いが混ざって気持ち悪くなりそうだ。


横を見ると二人とも声には出さないが、眉間に少し(しわ)が寄っていた。


多分、同じ事を感じてるんだろうな。


「早く行かないと間に合わなくなる。二人とも急ごう!」


時間が無いのはもちろんだが、この場所を早く通り過ぎたいので二人に声をかけた。


すると『ったく。余裕がないのは誰のせいだと思ってるんだ?』とビルは文句を言いながらも、一刻も早く、匂いから解放されたいのか、かなりの速さで歩き始めたのだ。


それにゲイルと私が続く。


ほどなくして女性陣という花畑を通り抜け、やっとの事で訓練場へと到達したのであった。


(スーハー)

匂いにやられそうな頭を復活させる為に、ゆっくりと深呼吸をする。


二人を見ると、同じく疲れ果てていた。

ビルなんて、文句を言う気力もないのか、()()()()としている。


香水って混ざると凶器になるんだなぁ・・・。


なんて意味のない事を考えてしまう程に、強烈だったのだ。


・・・いやいや、しっかりしろ。

まだ始まってもないのに、疲れている場合じゃない。


その後、二人に頑張ろうと話し、それぞれ指定された場所へと移動する。


うん、段々と匂いも抜けて頭がスッキリしてきたな。


そして冷静になると、今度は緊張してきてしまった。


・・・他の人はどうなんだろう。


気になり、周りを見回したのだ。


すると皆、それぞれ思う事があるのだろう・・・。

下を向いている人、ソワソワしている人、手のひらに何かを書く真似をしている人。

・・・色んな人がいる。


今、ここにいるみんなが同期になるのだ。


期待と不安が入り交じった感覚に、昔の自分が()()と頭を(よぎ)る。

思わず癖でピアスに触れてしまった。


・・・そう言えば、ピアスの事、何も言われなかったな・・・。


それから、(まぶた)を閉じ、深く深呼吸をする。


失敗は許されない・・・。


今までの努力を無駄にしない為にも、上手くやらなければ。


私はピアスから手を離し、拳を握り締めて、真っ直ぐに前を向いたのである。


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