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灰色王子のバラ色観察日記  作者: こさか りね


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一言で言うと、ヴィンセルとの研修は大変だった。


一応は話しをしてくれるようにはなったのだが、言葉に棘があるのは相変わらずだったのだ。


いつになったら、普通に話せる日が来るのだろうかと考えているのだが、ずっとこのままな気がしてならない。


だからヴィンセルは、そう言う性格だと思う事にしたのだ。



そして、研修も無事に終わり、今日は専属となる為に第二王子の執務室の前へと来ている。


恐怖で戸を叩く手が震えてしまって、なかなか中に入れない。


既に、5分は経っているだろう。


執務室の前で二の足を踏んでいると、ガチャリと扉が開いたのだ。


すると、執務室から第二王子が現れた。


え?


第二王子がコチラを見ている。

私も目を離せない。


赤い瞳に吸い込まれそうだ。

そう思う程にジッと見つめてくる。


・・・き、気まずい。


取り敢えず、挨拶だ。


「本日から配属しました。

アレン・シルバリーです。よろしくお願い致します」


だが、何の返答もない。

目を逸らさずにずっと見てくる。


これは、どうすればいいのか・・・。


続く沈黙を破ったのは、第二王子の侍従だった。


「ローレンス様?何かあったのですか?」


すると、第二王子が『・・・いや。彼が来たんだ。部屋へ案内してくれ』と言うと、また部屋の中へと戻って行ったのだった。


用があって、外出するのでは?

と思った私は、そのまま侍従に案内された。


侍従ことレノンさんは、私の部屋?へ案内してくれたのだが、そこで、驚くべき事を言われたのだった。


なんと、専属だと、この部屋に住まないといけないらしい。


『レノンさんもここに住んでいるんですか?』と聞くと、王子の部屋では無く、別棟にある従者用の部屋にいると言う。


え?なんで、私だけ?


そう思ったのが伝わったようで、レノンさんが説明してくれた。


特殊部隊の専属は王子の影として動く事が主な仕事であり、護衛も兼ねているので、王子の部屋に一室(たまわ)る事が通常らしい。


それって、24時間、甚振(いたぶ)られるって事!?

冗談じゃない!!


とても()えられそうにないと思い、レノンさんに抗議しようとしたら、第二王子がやって来たのだ。


「部屋はどうだ?

足りない物はあったか?」


先程と違い、普通に話し掛けてくる王子に目が点になった。


だが、ここで負けたら、地獄の始まりだ。

私は勇気を振り絞り、口を開いたのだ。


「第二王子殿下、差し出がましい事は重々承知しております。ですが、質問をさせて頂きたいのです。

どうして私を専属にしたのでしょうか?

私は新人で、あまり使い道はないように思うのですが」


・・・聞いてしまった。


もう後戻りは出来ない。

すると、王子がジッと私を見つめながら話し始めたのであった。


「君と話してみたかったんだ。

だから、影として使うつもりはない。

私の話し相手になってくれ」


予想外の返答に、一瞬固まってしまった。


・・・うん?

という事は、私を甚振(いたぶ)るつもりはないのだろうか・・・。


取り敢えずは、一安心だ。


『ふぅっ』と安堵のため息が漏れてしまう。


それから私は笑顔で『私で宜しければ、よろしくお願い致します』と答えたのだ。


すると、王子から息を呑む音が聞こえたのだが、特に何か言われる事もなく、王子は頷き、自分の部屋へと戻って行ったのであった。


そして、レノンさんに1週間のうちに引っ越してくるように言われたのである。


今の寮は、みんなも居るし、気に入っていたのだが、上からの指示には逆らえない。


だから、家賃がタダになってラッキーと前向きに思う事にしたのであった。



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