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灰色王子のバラ色観察日記  作者: こさか りね


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8

あれから1週間


私は、なんとか重騎士の訓練に耐えきった。


そんな私に比べて、ゲイルはメキメキと頭角(とうかく)を現し、フル装備でも剣を振れるようになったのだ。


そんな短期間で何があったのかを聞くと、ゲイル(いわ)く『筋力も多少増えたけど、それよりもコツがあるんだよ』と言う。


私は言うまでもないが、ゲイルの言っている事をまるで感じられなかった。

なので、きっと重騎士への配属はないと思う。


さぁ、気を取り直して、今週からは弓の訓練になった。

私が今までで、一番、練習時間を割いてきたので、多分大丈夫だろう。


弓の訓練は重騎士とは別の場所で行う事になる。

訓練場から少し離れた場所に、私の背丈より頭3つ分高い(くい)が、等間隔で打たれており、それに紐を通して厚手の白い布が吊られている。


四角に囲われている布の周りを回ってみると、重なり合った出入口があったので入る事にした。

すると、既に何人か集まっていたのである。


それから徐々に人が集まり、開始時刻となった。


弓は風の影響を受けやすい為、慣れるまでは風除けの中で練習するという。


弓騎士の先輩は重騎士と比べたら小柄な人が多い。

けれど、腕や肩回りの筋力が発達しているのが、服の上からでも見て取れた。


重騎士とは違い弓騎士は軽装備なので、装備の説明は無く、すぐに矢を的に当てる練習になったのだ。


最初は5メートルから始まり、出来ればどんどん距離を伸ばしていく。

横目で辺りを見回したら、初心者は持ち方や射方(うちかた)を教わっていた。


私は、今日の課題の20メートルを(なん)なくこなせたので、休憩するように言われたのだ。


弓場は狭い為、外に行けと指示をされて出てみると、そこにはアルトと数名の新人騎士がいた。


「あれ?アルトも弓だったんだ。全く気が付かなかったよ」


そう言うと、アルトも気付いていなかったみたいで『アレンも居たんだね』と笑みを浮かべて返してくれた。


そして、相変わらず、周りには興味がないようだ。

アルトはそう言うと、何処か遠くを見つめている。


「何か見えるの?」

「あっちに厩舎(きゅうしゃ)があるんだ」


どういう意味か分からなくて『そうなんだ』としか言えなかった。


それから休憩中、アルトはずっと厩舎を見ている。

良く見ると、馬を捜しているようだ。


本当に馬が好きなんだな。

と、そう思い、話し相手も無く、暇を持て余した私は、地面の雑草を抜き始めたのである。


するとその時、背後から視線を感じて、()()と振り返った。

それに気づいたアルトが『どうしたの?』と聞いて来る。


「ああ。

・・・いや、なんか最近、見られているような気がして・・・」


「そうなんだ。アレンの事を好きな子がいるんじゃない?」


・・・え?


予想だにしない返事をされて、目を見開き唖然とする。

だが、そう言われて自意識過剰な発言だったのでは?と思い、すぐに訂正したのだ。


「いやいや、そんな事ないから。多分、私の勘違いだ」


そう言うと、アルトは首を(かし)げて『そうかな?アレンはモテそうだよ』と言ってくれる。


それは嫌みではなく、本気で言ってくれているのが分かった。


本音は、女の子にモテても困るのだが、そう言ってくれるのは単純に嬉しい。

だから、笑顔で『ありがとう』と返したのだ。


気が付けば、先程の視線も感じなくなっていた。


・・・本当に何だったんだろう・・・やっぱり気にし過ぎだったのかな?


私は、頬をポリポリ搔きながら、そう思う事にしたのだった。


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