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あれから1週間
私は、なんとか重騎士の訓練に耐えきった。
そんな私に比べて、ゲイルはメキメキと頭角を現し、フル装備でも剣を振れるようになったのだ。
そんな短期間で何があったのかを聞くと、ゲイル曰く『筋力も多少増えたけど、それよりもコツがあるんだよ』と言う。
私は言うまでもないが、ゲイルの言っている事をまるで感じられなかった。
なので、きっと重騎士への配属はないと思う。
さぁ、気を取り直して、今週からは弓の訓練になった。
私が今までで、一番、練習時間を割いてきたので、多分大丈夫だろう。
弓の訓練は重騎士とは別の場所で行う事になる。
訓練場から少し離れた場所に、私の背丈より頭3つ分高い杭が、等間隔で打たれており、それに紐を通して厚手の白い布が吊られている。
四角に囲われている布の周りを回ってみると、重なり合った出入口があったので入る事にした。
すると、既に何人か集まっていたのである。
それから徐々に人が集まり、開始時刻となった。
弓は風の影響を受けやすい為、慣れるまでは風除けの中で練習するという。
弓騎士の先輩は重騎士と比べたら小柄な人が多い。
けれど、腕や肩回りの筋力が発達しているのが、服の上からでも見て取れた。
重騎士とは違い弓騎士は軽装備なので、装備の説明は無く、すぐに矢を的に当てる練習になったのだ。
最初は5メートルから始まり、出来ればどんどん距離を伸ばしていく。
横目で辺りを見回したら、初心者は持ち方や射方を教わっていた。
私は、今日の課題の20メートルを難なくこなせたので、休憩するように言われたのだ。
弓場は狭い為、外に行けと指示をされて出てみると、そこにはアルトと数名の新人騎士がいた。
「あれ?アルトも弓だったんだ。全く気が付かなかったよ」
そう言うと、アルトも気付いていなかったみたいで『アレンも居たんだね』と笑みを浮かべて返してくれた。
そして、相変わらず、周りには興味がないようだ。
アルトはそう言うと、何処か遠くを見つめている。
「何か見えるの?」
「あっちに厩舎があるんだ」
どういう意味か分からなくて『そうなんだ』としか言えなかった。
それから休憩中、アルトはずっと厩舎を見ている。
良く見ると、馬を捜しているようだ。
本当に馬が好きなんだな。
と、そう思い、話し相手も無く、暇を持て余した私は、地面の雑草を抜き始めたのである。
するとその時、背後から視線を感じて、バッと振り返った。
それに気づいたアルトが『どうしたの?』と聞いて来る。
「ああ。
・・・いや、なんか最近、見られているような気がして・・・」
「そうなんだ。アレンの事を好きな子がいるんじゃない?」
・・・え?
予想だにしない返事をされて、目を見開き唖然とする。
だが、そう言われて自意識過剰な発言だったのでは?と思い、すぐに訂正したのだ。
「いやいや、そんな事ないから。多分、私の勘違いだ」
そう言うと、アルトは首を傾げて『そうかな?アレンはモテそうだよ』と言ってくれる。
それは嫌みではなく、本気で言ってくれているのが分かった。
本音は、女の子にモテても困るのだが、そう言ってくれるのは単純に嬉しい。
だから、笑顔で『ありがとう』と返したのだ。
気が付けば、先程の視線も感じなくなっていた。
・・・本当に何だったんだろう・・・やっぱり気にし過ぎだったのかな?
私は、頬をポリポリ搔きながら、そう思う事にしたのだった。




