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幕末デバッガー ~エナドリで志士をデバッグ、週休4日のホワイト日本が爆誕した件~  作者: さじ


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11/22

第11話:お龍をアイドルにしてモチベをデバッグするぜよ!

「サトウ……志士たちが、みんな暗い顔をしちゅう。これじゃあ、日本の起動ブートの前に、みんな心がサーバーダウンしてしまうぜよ」


 京都の海援隊アジト。坂本龍馬は、試作中の**『リョーマ・エナジー v0.8(喉越し安定版)』**を喉に流し込み、ガチガチと歯を鳴らしながら呟いた。

 今回のv0.8は、サトウが柑橘類の皮から抽出した香料を絶妙にブレンドし、あの『赤い缶』特有の「ケミカルな爽快感」を幕末の素材だけで再現した自信作だ。


「人間の精神メンタルは、過酷なタスク(倒幕)ばかりでは摩耗します。必要なのは、脳をリフレッシュさせる『エンタメ』という名のパッチです」


 サトウは、三味線を手に不満げな顔をしていたお龍を振り返った。


「お龍さん。あなたのその天性の魅力と歌声を、一部の人間だけじゃなく、日本中の『ユーザー』に届けましょう。……プロデュース(最適化)させていただきます」


 サトウがまず着手したのは、**『竹製サイリウム』**の実装だった。

 竹の中に、サトウが調合した「摩擦で発光する化学物質」を封じ込め、振ると怪しくも美しい光を放つ棒。


「坂本さん。この光の点滅を特定の周期リズムで振ることで、群衆の脳内に多幸感を誘発し、組織のエンゲージメント(団結力)を高めます。これを『推し活』と定義します」


「……おまん、また妙なことを。けんど、お龍が光り輝く舞台に立つなら、わし……エナドリをケース買いして最前列センターで応援するぜよ!」


 数日後。京都の河原に特設されたステージ。

 そこには、サトウが設計した「反射鏡によるスポットライト」を浴び、現代的な意匠を加えた着物を纏ったお龍の姿があった。


「――皆様、お待たせしました。幕末の不具合バグを歌で流す、『ORYO』のライブ、開始キックオフです!」


 サトウの拡声器アンプから大音量の三味線ロックが流れ出すと、河原を埋め尽くした志士たちが、一斉に竹製サイリウムを振り始めた。


「「「おーりょー! おーりょー!!」」」


 最前列では、龍馬がv0.8をガブ飲みして目を血走らせながら、誰よりも高く竹を振っている。

「これぜよ! この熱量スループット! 倒幕なんて、これに比べれば小さなデバッグなぜよー!」


 お龍がサトウ直伝の「ウインク(物理的魅了コマンド)」を放つたび、志士たちのストレス値は激減し、代わりに強烈なやる気が充填されていく。

 サトウは舞台袖で、志士たちの表情が「最適化」されていくのを冷静にモニターしていた。


「……よし。これでモチベーションの不具合は解消されました。坂本さん、ライブが終わったらそのまま薩長軍の合同演習ストレステストに移行しますよ」


「おう! 今のわしなら、エナドリと、お龍の笑顔があれば……地球の裏側までデバッグしに行けるぜよ!」


 こうして、幕末に「アイドル」と「ペンライト」が実装された。

 志士たちは皆、お龍の「推し」になることで、死を恐れぬ最強のシステムへとアップデートされたのである。


○○大百科:幕末初アイドル『ORYO』

**ORYOオリョウ**とは、サトウがプロデュースした幕末初のアイドルであり、日本における「推し活」の始祖である。


概要

サトウが「志士のメンタルヘルス改善」を目的に結成。

楽曲は三味線に重低音を加えた「幕末ロック」が中心で、歌詞には「デバッグ」「仕様変更」などのサトウ語が散りばめられていた。


竹製サイリウム

サトウが開発した使い捨て発光デバイス。

ライブ終了後、興奮した志士たちがこれを振り回しながら戦場に突撃したため、敵方からは「光る棒を持つ狂戦士の集団」として恐れられた。


エナドリの進化

v0.8(喉越し安定版)。

味が現代の『リョーマ・エナジー』にほぼ到達。

龍馬はこの時期、ライブのコール(声出し)で喉を枯らすのを防ぐため、この汁でうがいをしていたという。

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