さあ、やろう!
白熱?した会議が終わり、まずはヤレンさんとディグレンさんは今度こそ体力回復の為に睡眠と休養をとって貰う事になったわけだけど……
「コウ!凄いな!あのベッドは!」
「こんなにぐっすり眠れたのは久しぶりだ!」
夕食の報告会で起きて来たヤレンさんとディグレンさんに、思いっきり感謝されまくっている俺。
そうだろ、そうだろ!なんたってウチの家族全員がその良さを体感済みなんだから!
なんて、ふふんと得意気になっていると、俺の頭に誰かがポンと手を置いた。ん?誰だ?
「コウ、俺達にもやったアレか?」
お。ジャンさんも、今訓練終わったとこか。
「そ。ベッドに回復魔法付与してみた。ジャンさんもアレ初使用の時こんな感じだったよな」
「ああ、本当にスッキリするということを体感したよ。……でもそれだけじゃなさそうだな?」
どうやらジャンさんにはバレているらしい。
「……もしかして、夢か?」
「ディグレンさん正解!どうせなら良い夢見れるように快眠付与もかけたんだ。ど?良い夢見れた?」
「久しぶりに穏やかなみんなの顔が見れたよ」
「そうか、ディグレンもか。俺もうなされずに済んだのはありがたかった」
……やっぱりなぁ。夢見が悪ければ、気力が持っていかれるのは俺もわかるし。って言ってもこれのアドバイスは———
「やはりうなされていたか。例え身体的に強かろうと夢で回復が遅くなる事はあるからなぁ」
そう、爺ちゃんが俺に快眠魔法も付与してくれって頼んできたんだ。辛い出来事があった人は夢でも自分を責めて休めないからって。
そんな優しい爺ちゃんは、源を連れて周囲の魔物狩りを率先してやってくれたんだよ。
「爺ちゃん、お疲れ!今日の成果は?」
「おお!そうだった。洸、これは良いな!この魔石持っていると、使用魔力が二分の一だった!スキル使いまくっても、まだまだイケるぞ!」
「おっし!これは成功!で、源の方はどうだった?」
「それがなぁ……源の奴全く痛くないのがわかったのか、魔物見つけたら突進して行ってなぁ。俺がついて行くのがやっとだったぞ」
あちゃー、源にはおもちゃ与えたようなもんか……
「でもお兄ちゃん、凄いね!源ちゃんの首輪に攻撃無効の付与かけられるんだもん!おかげで安心だよ!」
「いや、凛。そもそも親父がついているんだ。基本大丈夫だぞ」
おお、凛と父さんも帰って来たか。因みに二人が何をしていたかというと、凛はゴムの木と綿花と小麦の量産、父さんは改造型バイクの量産をしていたんだ。
で……今更だけど、ここは俺達坂木家拠点のリビング。
あの会議で、毎日の夕食はウチの拠点で食べようって事に決まったんだ。まあ、一日の報告会みたいなものだな。
俺は何やってたかって?へへ、俺は細々とした物作りをしてたんだ。
「洸ー!そろそろ夕食並べるから、テーブルの上片付けてー」
「うわっ、ちょっと待って!今片付ける!」
マジックリュックを取りに俺が席を立つと、気になっていたんだろうなぁ。ディグレンさんが興味深そうに俺が作った物の一つ手に取ったんだ。
「コレは……!一体何種類の付与魔法がかかっているんだ……!?」
「あれ?ディグレンさんわかるの?」
「ああ。俺は鑑定スキル持ちなんだ。とはいえ、まだ中級だからな。そんなに読めるものはないんだが……」
「それはね……とその前に、凛!この魔石をほっそい蔦で囲ってくれるか?出来たらペンダントトップもつけて」
「ん?お兄ちゃん、片付けないのー?」
なんて言いながらも、凛は俺がやりたいのがわかったのか魔石を綺麗に囲ってペンダントトップもつけてくれた。流石我が妹よ!
「やっぱ凛はセンスあるな!で、家から持ってきたコレの登場!」
「なんだ?洸、そんなオシャレだったか?」
「父さん、一応俺だってアクセくらいあるよ!……すっげえ安物だけど……」
そう、服のおまけでついてきたネックレスだったり、百均で見つけた安い物だけどさ。でもそれで良いんだ。
「それで、この長めのネックレスチェーンを付けて……完成!はい、ディグレンさん」
「え?俺のなのか?」
「そ!気配遮断/身体強化/透明化の付与かけているんだ。使い方は簡単、その魔石をつけて思うだけでいいよ。ただし、効果は1時間だね」
「……なんだ、その国宝級のものは……!」
「あ、凛。ついでにこっちも同じようにやってくれるか?」
「良いよ」
「サンキュー!……で、こっちもチェーンを通して完成!そんで、これはヤレンさん!」
「は?俺も?」
「勿論!ヤレンさんは、回復魔法強化/気配遮断/透明化だ!遠見はそのままで大丈夫だろうから強化つけなかったけど」
「……こんな高価な魔導具つけるのか?俺が?」
どうやら、二人共まだ坂木家の力に慣れてないみたいだなぁ。
受け取ってはくれたけど、二人共なんか恐る恐る触っている。でも他のみんなは持ってるからなぁ。慣れてくれ、としか言いようがないな。
「ところで、洸。このフラフープどうした?遊んでいたのか?」
そんな俺達を横目に、爺ちゃんが懐かしいものをみたと壁にかけてあったフラフープに手を伸ばしていたんだ。
「お!爺ちゃん、丁度いい。それに魔力流してみて」
爺ちゃんが懐かしんで腰で回そうとしていたから、俺はちょっとしたイタズラを思いついた。
「ほぅ?どれ———」
爺ちゃんは俺が何か企んでいるのはわかったけど、好奇心が勝ったんだろうな。言われるままに魔力を流したら……フラフープごとシュッと消えたんだ。
「「「「は!?」」」」「あれ?」
父さんや獣人の三人は何が起こったのかわかってない様子だけど、凛は俺が何をしたのかわかったみたいだ。
「お兄ちゃん。フラフープに転移魔法付与した?」
「正解!でもって爺ちゃんは……」
「あら?お義父さんも洸の実験に巻き込まれたんですか?」
「ん?ここはキッチンか?」
やっぱりコレも成功だな!実はこのフラフープ、死んだ婆ちゃんが俺達にプレゼントしてくれたもんなんだ。勿体ないからって母さんがずっと取って置いたのを知ってた俺は、これも持ってきていたんだ。
で、俺達にって事は、もう一つ凛用のフラフープもあるって事で————
「洸!凄いな!これ転移装置だったか!婆さんの贈り物が生き返ったな!」
豪快に笑いながらリビングに戻ってきた爺ちゃんの手には2本のフラフープがあったんだ。
「だろ?折角2本あるんだし、転移魔法の入り口地点と到着地点に設定して付与してみたら上手くいったんだ!今は距離がどれくらい移動可能なのか確認中だけどさ」
「キッチンに置いたのは俺達を驚かすつもりだったからか?」
「いいや。爺ちゃんのは思いついただけ。それは、母さんが自分でも確かめてみるって言って、キッチンに持って行ってたんだ。母さんも納得の出来だよ!」
「でも今日はお終いにして、片付けて頂戴。ご飯にしましょう?」
爺ちゃんも上手く行った事で、俺は興奮して話していたんだけど……なんだかんだで片付けられていないテーブルの上をみて、ため息を吐く母さん。ウッ……ごめん。
結局みんなに手伝って貰って、なんとか夕食にはありつけたけどさ。気がついたら結構作ってたんだなぁって、自分でも思った。
そして始まったの夕食の話題は、俺が作った魔導具のことばかり。だって一人一人に役立つ魔導具作ってたからなぁ。
でも、その中でも意外だったのは、ケイトさんが靴を作れた事。これで、靴底がゴムで作られた現代に似た靴が作れたんだ!
ケイトさん、実は【縫合】スキルの持ち主。なんでも縫えるんだぜ!しかも早い!
母さん曰く……
「これまで捨てていた魔物の皮が使えるなんてねぇ……」
としみじみ感想を言ったら、ケイトさんが「なんて勿体ない!」って母さんにどんな皮があったか聞いてたんだけど。
「ビックキラースネークの皮が……!!」
なんて、1番勿体ないと言っていた皮が父さんの苦手な蛇の皮だったんだよ。
何気に父さんがホッとため息吐いたのには笑ったよ。そんな父さんが食事の終わりに全員に向けてまとめた言葉がコレ。
「この獣人解放作戦には、万全を期していきたいと考えているんだ。だから、焦る気持ちや急ぎたい気持ちを多少我慢して貰うと思う。
だけど、坂木家全員が力になると約束しよう。頼りになる我が家族に頼って、コレからも計画を詰めて行こう。
主軸になるのは洸だな!アイディアを思いっきり出して行け!父さんが許す!」
なんて父さんに言われたら、俺も俄然やる気が出てきたんだけどさ。
「コウ〜?おしっこ……」
……まあ、決まらないのが俺達って感じだな。
俺の膝に乗っていたトーニャを慌ててトイレに連れて行く俺の姿にみんなが笑い出す。
でもさ。ジャンさんを始め、獣人側全員が笑ってくれているんだよなぁ。
この笑ってくれる雰囲気をもっと作るために、いっちょ頑張るかって気合いが入ったんだ。
「コー!」
あ、はいはい。悪い悪い。
「さ、行こうな」
俺達の隣人さんを助けるために。
アクセスありがとうございます!これにて第一部完結です。明日から第二部始まります。




