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きみとずっと  作者: すずかけあおい


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3/10

きみとずっと③

 声をかけていいかな、と窺っていると、椅子を立った水沢と目が合った。

「なに?」

「いや、一緒に帰ろうよって声かけてみようかなあ、なんて」

 見ていたのがばれて少し恥ずかしいが勇気を出してみると、水沢は苦笑してから頷いてくれた。

 ふたりで学校を出て、駅まで歩く。

「ごめん」

「え?」

 突然の謝罪に驚く。隣の水沢に視線を向けると、困惑を表情にたたえている。

「俺、人が苦手で、仲村の友だちとちゃんと話さなかったから」

「そんなの謝らなくていいよ」

 仲村が慌てて首を横に振ると、水沢はほっとしたように口もとを綻ばせた。もしかして、昼からずっと気にしていたのだろうか。

「あれ。じゃあなんで水沢は俺と話してくれるの?」

「あ……」

 水沢は言われてはじめて気がついたようで、首をひねりながら「なんでだろう」と呟いている。

「仲村がいいやつだから?」

 疑問形なのがおかしいけれど、仲村は自分で自分をいいやつだとは言い切れないので、曖昧に笑っておいた。水沢はまた首をかしげている。

「俺の友だちもいいやつだよ」

 みんな優しくて気のいいやつだ。水沢も話してみたらきっと仲良くなれる。みんなも水沢がこんなふうに話しやすいのだと知ったら、仲村と同様に驚くに違いない。想像してみると少し楽しい。

「ふうん。でも俺は仲村だけでいい」

「じゃあ俺は水沢にとって特別かな?」

 そう言ってもらえるのも嬉しくて、調子に乗ってみた。水沢は予想に反して神妙な顔で頷く。

「ああ、それがしっくりくる」

「え?」

「他の誰かに話しかけられてもこんなふうに話してるとは思えないから、たぶん俺は仲村を特別に感じてるんだ」

 自分で言って自分で納得している水沢に、若干の照れくささを覚える。今日はじめて話したのに、いきなりそんなことを言ってくれるなんて思わなかった。言った水沢もわずかに頬を赤らめて、照れているようだ。

「深い意味はないからな」

「あったら困るよ」

 ふたりで笑い合い、駅に向かって足を進めた。

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