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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

エサ当番

作者: 華城渚

「よ~し席に着け~。」私の担任の遠藤先生が今日も元気に教室に入ってきました。

私の学校は六学年まであって、私は三年生になったばかりです。

遠藤先生は一年生の頃からの担任なので、すごく仲がいいんですよ!


「それじゃあ、授業を始める前に相田さん。」突然先生は私の名前を呼びました。


「先生どうしましたか?」


「二年生の時も飼育係だったろ、三年生になったし別の係をやってみないか?」


私の学校では一人一人に係が与えられます。

でも、一クラス三十人もいるので適当な係ばっかりです。 元気づけ係とか盛り上げ係とか。

そんな中私はまともだけど忙しい飼育係でした。


「いえ先生。私は飼育係のまま頑張りたいです!」


「お、おおそうか。 そこまで言うなら頑張ってもらおうかな...」


「はい!」

何とか今年度も飼育係になることができました。

他の係ってやりたくないんですよね......絶対飼育係のほうが楽しいってわかってるので!



一~三時間目が終わってお昼休みになりました。

動物たちにエサをあげないといけません。

お昼ご飯を急いで食べた後にすぐに飼育小屋へ向かいます。



さて飼育小屋に着きました。

様子を見ますが、みんな元気に遊んでいます。

朝ご飯も登校したときにあげましたし、それのおかげですかね。


「ほら、葉山君エサですよ~。」


「はい、優斗君にもあげますからね~。」

エサをあげるとみんな大喜びで食べています。

やっぱり元気な動物を見ると、自分も元気になりますね!



「みんな集まったな。」お昼休みが終わって、次は体育の授業です。

体育は高橋先生が教えてくれます。

強面でちょっと怖いですけど、丁寧に教えてくれる優しい先生なんですよ!


「それじゃあ各自準備運動からだ。 相田ちょっと来い。」


「はい。」高橋先生に呼ばれました。何か用があるんでしょうか。


「お前、飼育係やるんだってな。」


「はい。そうですよ? それがどうかしました?」


「いや......もっとほかの係に興味を持ってもいいと思ってな。」


「う~ん......飼育係が一番楽しいので大丈夫です!」


「そ、そうか......」

先生は少し困惑していたみたいですが、それ以上に何も言ってこないみたいでした。

そのまま私はみんなと準備運動をしに、戻っていきました。



体育の授業の後、五時間目の授業も終わって下校の時間です。

みんな遊ぶ約束をしているのか、素早く帰っていきます。

でも私にはやることがあるんです。


そう動物たちにエサをあげないといけません。

エサをあげれば私も帰れるので、足早に飼育小屋に向かいます。



飼育小屋に着くとみんな私を覚えてくれてるのか元気に出迎えてくれました。

でも、今日はすごく大切な日なんです。


「今日は葉山君と優斗君が卒業しないといけません。なので二人にはいつもよりも美味しい食事を持ってきました!」

そう卒業の日なんです。

この二人は旅立って行ってしまいます。とても悲しいけど仕方ないんです。


「葉山君は牧草で優斗君は玄米を持ってきました~。」

二人にエサをあげると葉山君と優斗君はいつもよりも激しく食事しています。

この姿を見ると持ってきてよかったって安心しますね。


あ、ちなみに葉山君はウサギで優斗君はニワトリですからね。

私の悪い癖で、動物に人の名前をあげちゃうんですよね~。

それに人と同じように接しちゃうときがあるから気を付けたいとも思ってます。


「うんうん。元気があってよかった。」

そう言って私は” もう一つの飼育小屋 “に目を向けました。


「ねぇ......二人とも準備できてるよね?」

私は二人に話しかけながら、エサを食べ終わった葉山君と優斗君を手に掛けました。

話しかけられた二人はどっちも黙っています。


「ほら、どっちを食べたいか選びなよ。」

二人の前に息絶えた葉山君と優斗君を置きます。


「も、もうやめませんか......」


「あ? なんつった” 遠藤 “。てめぇが食べなきゃ二人が報われねぇだろうがよ!」

ペットの分際で遠藤が歯向かってきました。


「お、おれもよくない......と思うぞ......」


「おいおい” 高橋 “。てめぇまで何言ってんだ?状況がまだ理解できねぇのか?」

今度は高橋も口答えです。

これだから言葉がしゃべれるペットはめんどくさいんですよね。


「今日は卒業の日だ。 この日はお前らがしっかりと卒業した子の命をいただかなきゃいけねぇんだぞ? ちゃんと食えよ。 今すぐ!」


「本当に勘弁してください......」


「はっ(笑)遠藤......お前の人生ももう終わりだなぁ......」


「......え?」


「ばらされたいんだろぉ? 教師辞めたいんだろぉ?」


「そ、それは......」


「あ?」


「やめてください......」


「ならいただきますしねぇとなぁ! おら! さっさと食えよ!」

遠藤はこの学校に来る前、小学生を襲っていたゴミです。 高橋も同類です。

こいつらは繋がっており、次はどこを襲うかこの学校の空き教室で相談していました。


偶然それを私が聞いたというわけです。

誰かが襲われる前にこいつらを調教しないといけない。

だから今の現状があるわけです。


「おっ、おぇ...」


「高橋何やってんだ! 優斗君に対する感謝が足りねぇみたいだなぁ? 吐いたのもちゃんと残すなよ!」


「遠藤お前もだ! ありがたく葉山君を残さず食べろ! わかったな!」


「はい......」


「ちゃんと食べたら、さっさと帰れよ。 明日もよろしくな。 先生?」


「「......はい」」


二人の声を聞き、私はその場を後にしました。

いつまでもあいつらのげろまみれの姿を見たくはありません。


「今日も疲れたし、帰って早く寝よっと。」


「焦る必要はないもんね。あと三年もあるんだから。」


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