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やさしい

「おーい、おーい、起きやがれ」


 男の人の声がする。低い声が眠気を誘ってくるんだけど。もうちょっと寝ていい?


「おっ! やっと目を覚ましたな」


 目開けちゃった。よし、起きよう。

 体は起こさず目だけを開け、布団から手を出しぎゅーっと上に伸ばす。窓から強い日が差していて眩しい。いい目覚めかな。


「こんにちは。すみません、ここはどこでしょうか」


「その前に、あんた、自分の名前わかるか?」


「エーシャです。」


「意識は正常かな、よし。おれはイシュ。ここはトリルトン診療所だ。外傷も見当たらねえし、中身の方も問題無し。気絶したって聞いてるが、調子はどうだ?」


 気絶してたわけじゃないんだけど。体の方は元気かな? 多分。


「体の方は全然問題ないです。旅の疲れが溜まっていて、倒れ込んでたみたいです」


 あ、嘘ついちゃった。なんで嘘が出てきたんだろう? でもこの人に関係ないからいっか。本当のこと話出してもこの人が困っちゃうだろうし。


「へー、旅人だったのか。休憩ぐらいちゃんと取れよ。で、どっから来たんだ? 旅の話聞きてえな」


 食い気味にそう言われたが、まず聞きたいことが。 あとで旅の話することになりそうだけど、どう誤魔化そう。


「あの、ここってトシですか?」


「そうだぜ。来たことあったか?」


 そうだよね。あそこから近い街っていったらここになるよね。また後で散策しよっと。街並み変わってるかな、楽しみ。


「昔ここから北にある山に住んでいて、よく買い物しにきたり、ご飯を食べにきてました。」


「へーそうかそうか。じゃあここら辺の美味い店も知ってるかもしれねえな。ここら辺の美味い店は昔と変わってねえんだ。あんたがよかったらあとで一緒に食いに行かねえか?」


 やった! 1日空いてるからいっぱい食べよう。


「嬉しいです! 私お腹空いてるので……あれ? やっぱりあんまりお腹空いてないかもです」


 嬉しさのあまり、ベッドから身を乗り出そうとするとお腹が少し重い。お腹いっぱいの時と同じ感じがする。1日何も食べてないんだけど。なんでだろう?


「胃に直接食べ物を放り込んでやったんだ。栄養補給はバッチリだぜ。入れたのが昼ぐらいだからな。夜に食いに行くか」


 自慢げにそう答えられても、淡々と進んでいく話に私は困惑中。どうやって放り込んだの? そういった説明はしてくれないのかな? 

 尋ねてみても答える様子は無くて、ずっと「話さない」の一点張りでした。答えたくない理由があるんだろうから、無理に聞き出す必要もないか。

 あ、ちょっと記憶から飛んでたけど私を運んでくれたあの人はどこだろう? たまたま私を見つけただけならここに顔を出すことはないのかな。


「あの、私をここまで運んでくれた方に会いたいのですが、どこにいるかご存知ですか?」 


「シロネのことだよな? あいつは今仕事中だよ。ここ2日みてねえが、仕事が終わったらここに顔を出すだろうよ」


 シロネさんっていう人なのね。お礼しないといけないわ。ここに運んで行ってくれたのと楽しませてくれたこと(このことは言わないけど)を込めて。

 ん? 待って、2日みてないって言った? 私が運ばれてからその仕事に行って2日経ってるとしたら、私どれだけ寝てたの? そんなに時間経ってたの?


「あんたはしばらく横になっときな。腹が減ったら言ってくれ。いい店に連れて行ってやるよ」


 そう言いながら部屋を出ようとするイシュさんを私は全力で止める。


「待って! 待って! 聞きたい話があるの」


「なんだ? どこか痛いとこでもあるか?」


 心配そうな顔をしてイシュさんが私のベッドのそばに戻ってきてくれた。優しい。


「違います。私2日間ずっと寝てたんですか? ずっと、夜に運ばれて昼過ぎの今起きたと思ってました」


 窓から入ってくる日差しを指差してそう言った。

 あの出来事は夜10時ぐらいの事だったはず。この日差しはあれから1日も経っていない、次の日の昼過ぎだと思っていた。


「いや、そんなに短くねえし、2日じゃねえぞ。結構長い時間寝てたぞ」


「どれくらいですか?」


「1週間になるかならないかぐらいじゃないか? あぁ、あと、シロ――」


「え!? じゃあ、私1週間も寝てたんですか!?」


「ああそうだよ! 声がでけえ!」


「すみません……」


 驚きで体が少し宙に浮いた気がした。

 私そんなに寝てたの!? よく寝られたな私。

 でも、その割に体が痛くないな。普通の睡眠と変わらないぐらい、お腹がいっぱいなこと以外は。


「あ、すみません、さっき何か言いかけてましたか?」


「あぁ、シロネがあんたの見舞いにきてたぜって話だ。あんたがここに来てから5日目ぐらいにひょこっと顔を出したんだ。あんたの見舞いに来たってね」


えぇ、シロネさんそこまでしてくれてたなんて。運んでくれただけでもありがたかったのにお見舞いにきてくれるなんて、なんて面倒見のいい人なんだろう。


 にしても、私とイシュさんの話し声大きすぎる気がする。周りの人の迷惑になってないかな?


「うるさくしてて、ごめんなさい」


 イシュさんにそう謝った声はさっきの声より少し小さめ。

 そんな私の言葉を聞いた後にイシュさんは部屋全体を見渡してこういった。


「声なんて気にすんな。周りみてみろよ。あんた以外に人なんていねえだろ」


 そう言われて辺りを見渡すと、この診療所にはベッドが十数個あった。全部空だったけど。

 人がいないことに全然気づかなかった。なんでだろうと考えてみて思ったのが一つ。窓が全て開いてるからだ。外の喧騒が全部入ってきているから。たぶんこの診療所は大通りに面しているんだ。おかげで人の気配がたくさんだと勘違いしていた。たくさんなのは外だったっていうね。


「あの……なんでここには人がいないんですか?」


「おれに人望が無かっただけだ」


 スパッとそう言われたが、人望が無い? こんなに手厚いくしてくれるのに? 技術が無かったのか、尊敬されてなかったのかはたまた別の理由が? 

 流石にこんなこと聞くのは失礼だよね。でも気になる。


「そういうのをあんたに話す気はない」


「心読みました?」


「ふふん、すげえだろ」


 魔法使える人かな? それともただの特技だったりして。

 そんなにぽんぽんといるものじゃないと思うんだけど。


「よし、少し席をはずさしてもらうぜ。あんたは夜まで寝ときな」


 じぁなと手を振ってイシュさんは部屋を出た。

 

 イシュさんいい人だったな。

 夜ご飯が楽しみになってきた。

 ここがトシのどこら辺かわからないけど北側だといいな。北門の近くに美味しいお店があったんだよね。

 シロネさんの仕事ってなんだろう? 私を1人で運べる力があったから大工さんだったりして。それとも他の?

 元気になったらここの診療所のお手伝いしたいな。余計なお世話かもしれないけど。断られたら、それはその時に考えよう。

 二人のお手伝いができるといいな。

 そんな後ろ向きなのか前向きなのかわからないことを考えながら布団に身を埋め眠りにつきました。


 

 もうちょっとしたら悲惨なことを知らされて、前向きになるんだけどね。

誰かおらに語彙力を分けてくれーーーー!!!!

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