頭がぱー
ローダさんはどこかへ行ったみたいだ。もう会うことはないんだろうな。あれからローダさんは、頭が真っ白でお先真っ暗な私にいくらかお金を置いていってくれたみたいだ。いらないと突っぱねたいけど、そんなことできる余裕がない。金銭的に、精神的に。
これからどうしよう。今日のためだけに生きてきた私には、今日以降の見通しがなかった。
何時間か経ったであろう時に私のお腹ぎゅるると音を立てた。お腹すいたな。ここはどこら辺だったかな。あぁそうだ、昔住んでた山の麓か。もう少し先の街に美味しいお店があるんだ。行こうかな。行きたいな。父の死の真実を受けて私はどんな気持ちでご飯を食べるのだろう。行きたくないな。気持ちの入れ替わりがさらに自分を追い詰めてる気がする。少しだけ身を動かしてみようか。そう思っても体が動かない。魔法でもかけられたかな。
徐々に体の緊張がほぐれてきた。足の無駄な力が抜けていくのがわかる。ついでに立つのに必要な力も一緒に抜く。立ち続けるの疲れたな。脚を地面に落とす。痛いなぁ。空が沈みかけてる。寒くなるな。お父さん殺されたわけじゃなかったんだ。よかったな。時間無駄になっちゃったな。本当はお父さんを思って泣きたい。でも出てくる涙は私のためだ。5年、5年かあ、私が無駄にした時間。お父さんが死ぬ時をみていなければ、勘違いだと思えれば、忘れることができたなら、この5年間楽しかっただろうな。
「おい、お前何してんだ」
あ、女の人だ。誰だろう、後ろから声がする。振り向きたい、けど腰を捻る力も、首を後ろへ向ける力も残っていない。 私は元気がないのです。どうか何もせず放っておいてほしいな。
「おい! 聞いてんのか!」
声を荒げないで、耳が痛い。草を強く踏みつける音がだんだんと大きくなっている。こっちに来ているのね。誰かな。どんな顔かな。知りたい、みてみたいわけじゃないけど、気を晴らす何かになってほしいな。 考えがとっ散らかりすぎだな、私。
「おい、大丈夫かお前」
え? 私の肩をぐいぐいと引っ張っても動かせなかったその人は回り込んできて、私の顔を覗き込んだ。からの、この発言。どうしたの? 私の顔どこか変?
声を出して聞きたいけれど、まだ喉が詰まっていて苦しい、声が出せないの。
「おい! 聞こえてるか!」
顔をペシペシ叩いてくる。痛い気がする。死んでると思われてるのかな。
筋肉をどこかぐいっと動かして生てますよーって表現しないと。うごけーわたしのからだ。
もちろん力を入れてないので動くはずもなく。どこか一点を見つめる私の瞳にこの人が映ったと思えば心が少し晴れやか。嫌なこと全部飛んでいきそう。
映っては消えて、映っては消えてを繰り返しているのを楽しんでいると、突然体が後ろに倒れ込んでいき少し明るい夜空がみえた。
後頭部に手を添えながらゆっくりと上体を倒してくれたらしい。丁寧だなぁ、ありがとうございます。ところでなにをしようと?
「聞こえてるか? 今から病院に運ぶ。力を抜いてくれよ」
病院? なんで? 動きたくないな。え? 運んでくれる? じゃあ、甘えてもいいかなぁ。
脚がくすぐったい。もつれた脚を慎重に伸ばしてくれているみたい。体が勝手に動くって面白いな。今度は視界じゃなくて、触覚で遊んでみる。
次は左手を持ち上げて、そのまま手を私の頭の横にぽいっと投げたらしい。真上から見ると挙手のポーズみたいになってるんだろうな。次はなにするの?
視界の左端にあの人が映る。私の横に座って、横になろうとしている。添い寝してくれるの?
こんな妄想も虚しく、途端に右手を掴まれ左側に体がぐるんと大きく回る。目が回るよ、ぐぇ。
視界に髪が映る。着地点はこの人の背中かな?服がふかふかだ。あったかいな。
急に視界が上がる。草っ原との距離が遠くなる。これおんぶだ。大人になっておんぶされるとは思ってないよ。
「今から少し走る。すぐだから、もう少しの辛抱だ」
はーい。今からどこに行くんだっけ。おんぶされてそれから? なんだっけ。まあいいや。この人に任してたらどうにでもなりそう。そんなことないだろうけど。
次はなにするの? 楽しみ。
眠たくなってきた。おやすみ。何かするときは起こしてね。
この人の首の前で腕を組んで、安定感をました後私は少し眠りにつきました。
文字数少ないかな?




