4話
玄関には何もなく、下駄箱にも一足も靴がない。
廊下を歩いて部屋を開けていく。
トイレだろうか?誰も使った形跡がない。憂はそこまで綺麗好きだっただろうか?
お風呂も入っていないのだろうか。水垢の一つもない。まるで誰も住んでいなかったのように。
冷蔵庫もない。キッチンにも、何も置いてない。
奏「たなちゃん先生…部屋間違えたわけじゃないよね?」
たな「えぇ…」
最後に一番奥の部屋を開ける。
どこにも家具一つない。
奏「いくら綺麗好きとかでもここまでは無いよね…?」
たな「でも、引っ越したとか話は聞いたことないけど…」
奏「そもそも、フロントのおばちゃんが何も言ってなかったし…」
たな「実家に帰るって言ってたのよね…?」
奏「うん…だけど帰るのにここまでする必要ある?そもそもおばちゃんに気づかれずいなくなることってできるの?」
たな「どうなんだろう?おばちゃんに聞いてみる?」
奏「何かしら変なことがあればおばちゃんが言ってくれるんじゃ…」
その時、奏の形態に着信が入る。非通知設定だ。
奏「たなちゃん先生ちょっと待って、電話に出るね」
『そ……う……じ………に……』全ての音がプツプツ聞こえてちゃんと聞き取れない。
奏「もしもし?電波が悪いみたいなので聞こえ辛いんですが…」
『た………も…………』
奏「あれ、切れちゃった。なんの電話だったんだろう?」
たな「電話誰からだったの?」
奏「何かよく聞こえなくて、プツプツ音が切れちゃうんだもん」
たな「そうなんだ…ここは電波いいみたいだけど?」
奏「だから向こうの電波が悪いんじゃないのかな?」
たな「声に聞き覚えは?」
奏「女性っぽい声だったけどかなり声は籠っちゃってて、誰かはわからなかった」
たな「うーん、なんだったんだろうね?」
奏「わかりません。おばちゃんのところに行きましょう?」
たな「あ、今度は私に電話、ちょっと待ってて」
たなが電話に出るとまた聞き辛い音だったので外に出る。
たな「お母さんからだった。いつもの生存確認だった」
奏「そうか、外に出れば通じることもあるのか」ここで一つ賢くなったと感じた奏であった。




