重戒
書かなければいけないと思った。
何か書かなければいけないという欲求が心を埋め尽くしていた。
起床、食事、就寝まで書いていなければ魂底からえも言われぬ焦燥が、自己嫌悪が留め止めもなく溢れてくるのだ。
書くのは安心だ。自己防衛だ。そう本能が叫んでいるのだ。
書かなければ獄の鬼どもが混沌たる業火の地へ引き摺り込んでくる。叫喚の絶えぬ絶望がすぐ後ろまで追ってきているのだ。
手を動かしている時はどうしようもなく心地が良い。世界にたった一人取り残された感覚になる。真っ白の立方体に取り込まれ干渉されない個人的空間を形成してくれるのだ。
執筆を終えると途端にガラガラと空間がけたたましく崩れていく音がする。その瞬間真っ白な虚無が色づいた汚らしい空間に変化するのだ。この切り替わりが何度繰り返しても恐ろしい。
まだ書きたい。まだ書けるんだと、アレに戻ろうと必死に踠くのだ。だが現実は無情である。時間は進み続ける。幾ら自分の世界に引きこもっても時間の流れは一定なのだ。
最も苦しいのは寝所に横になった時だ。これから意識を手放すのがどうしようもなく許容できない。数時間も意識を飛ばして本当に大丈夫なのか。何もしなくても問題ないのかと、ますます不安になるのだ。
ならば夢を観よう。夢の中で書き続け起きた後に書き写せばいいのだと、そう思った。しかし現実はまたもや無情だった。何か書いていたような気はするのに何も思い出せないのだ。更にタチが悪いのは睡眠中も脳を休ませなかった弊害か酷く頭痛がするのだ。
手足が震える。自分はこのままでいいのかと怯えているのだ。このまま怠惰な変哲のない日常でよいのかとそう思うのだ。緩く定めた抱負も近頃の忙しさを理由に疎かにし早くも達成できていない。最近は確かに忙しい。だが自分は甘い人間だ。忙しいと口では言いながら最低限の作業をした後はだらだらと無意の時間を過ごしている。
こんな自分が嫌いだ。持ち前の地頭と要領の良さで大抵のことをこなす自分を見ると吐き気を催すほど殺意が湧く。しかしこんなふうに思おうとこんな自分が好きな自分がいる。
私は識っている。自分が自分を嫌いになると驚くほど脆く簡単に人間は壊れることを。
人間は脆弱だ。治すことは難しいが壊すのは簡単だから。だからこそ人間は拠り所を求める。人肌、快楽、休養か何か知らない。ただそれを得るために奔走する。
拠り所に縋りすぎた者の末路は悲惨である。拠り所を休息ではなくそれ自体を目的にしてしまった。目的がすり替わるその瞬間から人間は崩壊を辿る。人間から獣へ堕ち、欲望の奴隷に成り下がる。拠り所が人を狂わせるのだ。しかし自分はもう拠り所がなければとうに壊れている。いやすでに壊れているのかもしれない。それでも私は書くのを止めない。もう壊れているならその先は同じ。生命を投げ捨てるその日まで恐怖に苛まれながら踠き続けるのだ。
だから自分は




