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ナイア〜その男、シナリオの改変者〜  作者: 未練
夢見の演奏編 1〜13話
5/14

第4話 魔物の襲来



「起きて下さいっ!起きてぇーっ!」



・・・この声はセレナか、まだ寝かせてくれ。



・・・・やめてくれっ、俺はまだ寝た・・・



「はっ!」



強く揺らされてようやく目を覚めた。 セレナは焦った表情で俺を見ている。



「やっと目が覚めたのねっ、急いで逃げなきゃ危ないっ!」



セレナは避難を仰ぐ。



気配と様子で分かった、魔物がついに現れた。

しかもおびただしい数。



俺はすぐさま立ち上がり 全体を見渡す。だがそこは地獄絵図が広がっていた。



鎌を持った鬼のような顔に白い衣をまとった魔物が、群れをなして人を襲っている。


ホールには悲鳴の旋律が奏でられていた。



「これだ、エリーの見た魔物の記憶は」



俺のスキルは、エリーさんが見たもの理解したものの記憶しかない。



つまり、眠らされる記憶がなかったのは、本人が魔物に眠らされたという認識がなかったのだ。



「かなりまずい状況だ」



綺麗に整ったホールは破壊痕だらけの無惨な姿へと変わり 人は逃げ場を失い 誰かの背中に隠れている。



ホール内には腕っ節に自信があるのか 素手で戦おうとするものがいたが 、魔物にあっさり倒される。



次々と人が切り倒され、死体は切れ目から徐々に灰となり消えていく。



来場者は見た事のない魔物に混乱していた。



「一体どこから湧き出てきた」



このホールの周りには警備の者がいた。中には魔物の気配は一切なかった。なのに突然群れをなして現れた。



さすがに俺も頭を悩ませた。



その間 数体が俺とセレナに目を付けて近いてくる、そして囲まれた。



エリーさんは後ろへ後退しているが、捕まるのも時間の問題。そして、俺達は油断の出来ない状況下にいる。



「・・・わ、私たち殺されちゃうの」

セレナは恐怖のあまり涙をこぼす。



危機に陥ってはいるが、俺を助けようとしてくれた彼女を殺させる訳にはいかない。



「大丈夫必ず助ける。俺の側から離れるなよっ!」



こくりと頷きセレナは横につく。



良かったよ・・・複数対に対する効果的な技があって。



「魔よ、空気と混ざり閃光の鱗粉となれ」



地面に魔法陣を展開し 魔物の周りには鱗粉を舞い広がる。



燐魔爆発(スケェイル ノヴァ)



声の発声により鱗粉の光は閃光に達し 、爆炎があげる。



ドガーーーーーーーーーーーーーーン!!



これは修得した魔法の中でもとびきりの威力を持つ爆撃魔法だ。



建造物内だから多少威力を弱めたが、直撃した魔物は塵となり、近くにいたものはうめき声上げなら地面に這いつくばる。



「ば、化け物をいとも容易く・・・あなた一体?」



この世には魔法と言うものが存在してはいるが、使えるものは限られており、大体の者は魔術師や聖騎士そして勇者として重宝されている。



セレナはあまり魔法を見たことがないのか、 とても驚いた様子だった。



「俺のことはどうでもいい。それより早く逃げるぞっ!」



炎のおかげで魔物と分断できた、逃がすなら今しかない。



俺はセレナの手を引き出口に向かった。



そこは多くの人で埋め尽くされ身動きが取れなく、誰しもが生き残ろうと他人を蹴落としあっている。



「おい、早くどけよっ!」


「私は名家の者だ お前ら私の盾となれっ!」


「ふざけんなっ!」



口論が激しく響き渡る。やがて喧嘩を始めた。



貴族は自分が大好きだ。自分のためなら他人を蹴落とし何だってやる。


こんな時に見たくもないものを見せられるとは。


仕方ない。



「扉まで飛ぶよ」



俺はそう言ってセレナを抱っこして 人の群れを避けた。



扉にはなぜ故か鍵がかかっているが問題ない。



「《強制解除》」

魔法付与を含むあらゆるものの制限を解除する 魔術師ならではの魔法だが、俺は熟知している。



扉は難無く開いた。


奴らは人を閉じ込めて 狩り殺すために 扉に魔法付与を施したのだろう。


けど、残念だったな。



「いつまで揉めてる、早く出るんだっ!」



俺の掛け声により、貴族達はすぐさま喧嘩をやめて脱出した。

あれだけ揉めてたのに、この切り替えの速度は、さすがは貴族といったところか・・・。



もちろん 礼を言うやつ1人もいなかった。



「セレナ、お前も早く逃げるんだっ!」


「そんなっ、私1人だけ逃げるなんてできません。あなたも一緒に・・・」



予想外の返事で 正直 驚いだが 俺が逃げる訳にはいかない。



「お前には危険すぎる。だから早く家に帰るんだっ!」



納得のいかない様な顔をするがどうこう出来る問題では無いのは彼女自身がよく知っている。



「・・・分かりました。せめて最後に1つ聞きたいことがあります」


「何だ?」


「・・・あなたの名前は?」



正直 名前なんて言うつもりはなかったが 答えることにした。



「俺の名はナイア。ナイアーロゼリック」


「ナイアー どうかご無事で!」



そう告げるとセレナは急いで避難した。

俺は遠のいてく足を聞きながら、扉を閉じた。



「悪いが、お前達は誰一人として逃がす訳にはいかない」



俺は階段を降り、魔物達のいる前例へと向かった。


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