「オタク イズ デッド」という講演を見て
某アニメ評論家Oさんの講演。
「オタク イズ デッド」を見て、とても感銘を受けました。
彼が言いたいことをめちゃめちゃ端的に要約しますと。
かつての「オタク」という概念には、本人たちの誇りやエリート意識があった。
世間に分かってもらえない趣味であろうとも、「俺たちが好きなものはうわべを浚うだけの大衆には分からないんだ」という自負があった。
オタクたちの中で、そのような共通認識があった。
それが、オタクの心の拠り所であり、「好きなものを好きだ」と言い続けることにプライドを持っていた。
しかし現代では。
オタクというのは自らを大衆に迎合させ、世間に馴染み、そのようなエリート思想や貴族主義は無くなった。
故に、オタクたちの共通認識は無くなり、個人個人が世間の反応に対して、ビクビクしたり軟化させたりしながら対応せざるを得なくなった。
現代のオタクというのは、「好きなものを好きだ」と胸を張る心の拠り所が無くなった。
もう、「そうだよな、俺たちは世間の知らない楽しみを知っているんだよな」という仲間意識は無くなった。
オタク趣味に理解が進み、世間からの風当たりは減ったけど。
その代わり、オタクというコミュニティ自体も解体してしまったんだ。
これからのオタクは、一人一人で世間と折り合いをつけながら、時には世間に「自分の好き」を合わせて行きながら、孤独に生きていくしかない。
僕たちは果たして、それに耐えられるのだろうか。
って感じの内容でした。
実に聞き応えがあり、興味深く、面白い動画だったんですが。
僕が最も心に残ったのは、「好きなものを好きだ」と思い続けることの難しさ、ですよね。
Oさんは「好きなものを好きだ」とたった一人で想い続けることの辛さを説いているようにも思えました。
好きなものを好きだと想い続ける難しさ。
これ、なろうで活動してると、本当に身に染みます。
「俺はこれが良いと想うんだ!」と提示しても、誰からも相手にされない。
それがなろうであり、ネット文化です。
それ抗っていくことは、本当に孤独です。
だからたくさんの書き手は挫折するし。
たくさんの読み手も、人気作のほうを応援したくなる。
みんな「好きなものを好きだ」と信じ続けることが出来ない。
僕は俗物で浅薄な人間なので、とてもじゃないけど自分を"オタク"なんて自称できませんが。
現代のネットやなろうのセンスからすると、少数派であることは間違いないと思います。
だから、この動画でいくらか救われた想いがしました。
みんな同じなんだなと。
現代においては、好きなものを好きだと想い続けることは、かくも困難なんだなと。
しかしそれでも。
僕らはオタクであり続けて。
たった一人でも「これが面白いんだ」と孤独な戦いを続けていこう。
なぜなら、「みんな、僕はこれが面白いと思うんだ」と発信することはとても大事なことで、とても有意義で、そしてとても楽しいことだから。
O氏はそのように締めくくってました。
僕はオタクではありませんが。
その精神は目標とし規範にしたいと思いましたし、きっと、すべてのクリエイターにも必要な考え方なんじゃないかなと感じました。