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NWKの魔窟  作者: ジェネラル雅
2/11

出撃

ふら「眠すぎる…なんで起きちゃったんだよ…」


黒みつ「とりあえずリビングで待ってろって」


カルロン「面倒だなぁー」


黒みつ「まぁまぁ、

何か起こるって決まったわけではないし」


ミョウ「ゴロゴロしてたい…」


黒みつ「ガタガタ抜かすな」


ミョウ「ヒェッ」


朝食の後、女帝である黒みつがなんとかみんなをなだめ、

そのままリビングへ全員を待機させた。


あのふらくたる(仮)が起きたのだ。()()()()、起こる。


基本的にひきこもり体質のメンバーたちは

ほとんど家から出たがらないが、もちろん例外もある。


かいる「今在庫何本あったっけ」


カルロン「今日の拷問器具は~どれにしようかな~♪」


黒みつ「まだ!決まったわけじゃ!ねぇから!」


戦闘狂二人を落ち着かせようと試みる帝王(笑)。

だが、それを嘲笑うかのように登場した者がいた。


「いや、決まったで」


黒みつ「…ちっ、変態が」


その人物の登場で、戦闘狂二人は目に見えて喜び、

それ以外は揃って肩を落とした。


「まぁそんな落ち込むなって、大した事件じゃあねえからよ」


黒みつ「黙れ変態」


A「うるさいぞー菊野郎」


いゆ~り「出ていけ。」


「え、辛辣すぎん?」


なんの前触れもなく黒みつの隣に現れたのは、

帝国の男メンバーのひとりである『りごじゅ』だ。

もっとも、その名前は全く呼ばれておらず、

なぜか『菊池』で通っているが。


“家”にこそ住んでいないものの立派な帝国民で、

主に情報伝達や受ける依頼の選別などの役割を担っている。


菊池「かなり大きい仕事が入ったな。

とりあえず今回の為に車を手配したで。

お前らの車は…あれだ、派手すぎて潜入向きじゃねぇから。

話が終わったらこっちに持ってくるからな。」


黒みつ「は?アレを使うなと?

はぁ………まぁいいか、内容は?」


菊池「今回のターゲットは巷で流行し始めた“焼肉教”、

過激な宗教じゃなかったんやが、

少し前から金稼ぎと武装化が進んでるらしいわ。

まだ素人が武器を持っただけ程度のうちに

どうにかしてくれってことやな。

教祖を潰しに行くぞ。ちな、俺も同行する。」


A「めんど…」


黒みつ「死ね変態」


菊池「俺への扱いが酷すぎるんよ…」


それだけ言うと、

菊池は再びテレポートを使って去っていった。


黒みつ「…準備するか、遅くても10分ももすりゃ来るだろ」


カルロン「着替えるのめんどくさーい…

このままでいいかな?」


黒みつ「いいわけねぇだろ、さっさと着替えろ」


大半が面倒くさがりの国民で構成されたNWK帝国。

何もない日を一日中パジャマで過ごすことのあるメンバーも少なくはない。

実際一度、冗談で許したら

本当にパジャマで外出するような者までいるのだから手に負えない。


黒みつ「ほら、早く行くぞ」


かいる「よっしゃぁぁぁ!!」


ふら「う゛あ゛あ゛あ゛…」


戦闘狂は嬉々として、

そうでない者たちは落胆しながら玄関に集まり、

各々の武器を取り出すのだった。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




数分後、家の前に完全武装の少女とその他の

8人が並び立った。

銃や剣、ナイフなど明らかに凶器だとわかるものは

少しも隠そうという気を感じられず、

それが当たり前のようにそれぞれの手に握られ、

街中を練り歩けばすぐさま取り押さえられるような

物騒な空間が出来上がっていた。

もっとも、一般人が彼女たちを取り押さえられるかどうかは別だが…。




サソリ「変態、まだ来ないのか」


黒みつ「おいサソリもう少しで来るはずだからさっさと塀の中行け、

いくら俺たちが依頼でやってても武器見える状態で家の外見るな」


ふら「眠い…」


ミョウ「お、来た!!」


武器を持たず、かつ比較的行動する気力があったため

道に出て様子を見ていたミョウバンがそう言うと、

まだかまだかと黒みつに怒られない程度に

ギリギリまで寄せて集まっていたやる気のある者たちが

車が入れるほどのスペースを確保するため、

ぞろぞろと下がってくる。


そこへ入ってきたのは、かなり大きな車だった。

車体は黒く塗られており、

ガラスは外側から中の様子を窺えないほどの暗さになっている。

パッと見ではわからないが、

タイヤもガラスも防弾加工済みという優れものだ。


菊池「この車ならなんとかなるやろ、準備できてるかー」


と、菊池は言うが、側から見れば完全に軍用車であり、

実際装甲は戦場で使われているものとほとんど変わらない。

当然この車もここに来るまでにすれ違った人々から、

とても怪しい目で見られている。


黒みつ「当たり前だろ、遅い」


菊池「準備時間をお前らのためにあげたんや、

うん、そういうこと、ハハハ

…そうだかいる、今回の運転は頼むわ」


かいる「つまり今回私は戦いに出られないと」


菊池「せやな」


かいる「殺す」


A「菊池が運転したらいいんじゃ」


菊池「今回は俺にもやることがあるんだわ」


かいる「殺す」


黒みつ「かいる、大人しく運転席行け。

そろそろ出発してぇから」


カルロン「行くぞーーー!!」


ミョウ「はぁ…」




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




かなりの大型車だが、

潜入用に手配したことや乗車人数も相まって

すこし窮屈になりながら次々と乗り込んでいく。


壁際のふらくたるは窓に頭を預けて居眠りし始め、

Aは黒みつに寄りかかり仮眠をとろうとしている。

ミョウバンはAの足蹴にされているが

もはや気にせずに眠そうに目を擦っている。


助手席に座った菊池は、

ナビに目的地を入力しながら全員に声をかける。


菊池「それじゃ、運転頼んだぞー」


かいる「よし全員乗ったな?出発!!!」


A「!?」


ミョウ「あがっ!」


運転係は戦いに出られない。

そのことへの当てつけのように勢いよく踏まれたアクセルは

車体を大きく揺らしながら発進し、思わずAは身じろぎする。

その流れで足が顎にぶつかったミョウバンは痛みに悶えて跳ね起きた。


黒みつ「公道だから気をつけろよ」


かいる「わかりましたよーだ」


黒みつ「ガキか。それで?今回の依頼の内容は?」


菊池「ちょっと待てよ、今出す」


そう言った菊池がボタンを押すと、

後部座席の天井からモニターが現れ、

詳しい作戦内容を写し始めた。


黒みつ「俺とAとふらで正面で、

サソリといゆ~りとカルロンが裏で騒いで

屋根から菊池とミョウバンが潜入して仕留める…

お前いいとこどりしたいだけじゃねぇか、

なーにがやることあるだ」


菊池「ハハハ…

せ、正門部隊と裏門部隊で教徒の殲滅をしつつ注目を集め、

手薄になったところを俺天井から狙撃して

気絶させて逮捕って寸法やで、ええ戦略やろ?」


黒みつ「死ね変態」


ふら「うるせぇ…」


かいる「ボォォォクの出番はないってことですね、飛ばすぜ!」


一同「やめろ!!」


とても軍用車の中で完全武装の集団の会話とは思えないが、

いつもと変わらないノリで車は目的地へと向かって走っていた。

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