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雲の上は、いつも晴れだった。  作者: 田古 みゆう


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冬の章 p.11

 私たちの繋がりについては、この後しっかりと話してもらおう。どんな話になるのか気になるけれど、それよりも今は、双子の片割れがこうして戻ってきてくれた、そのことが私の心を軽くさせていた。


「大丈夫なら良いの。でも、何かあったら遠慮なく相談して。私だって、つばさちゃんの力になりたいんだから」

「私だって?」


 緑の言葉の意味するところが分からなくて、そう聞き返すと、緑はニヤリと笑った。


「だって、ヒロくんには相談してるんでしょ?」


 そんな緑の言葉に、思わず目を見開く。青島くんに話を聞いてもらったのなんて、あの日くらいだ。そのあとは日常会話くらいしか言葉は交わしていない。


「なんで? 青島くんが何か言っていたの?」

「ううん。ヒロくんは何も。でも、つばさちゃんが元気なくなってから、ヒロくんがつばさちゃんの事を心配そうに見つめることが多くなったから、もしかして、ヒロくんは何か知っているのかなぁって思っただけ」

「青島くんが? 私を? 全然気がつかなかった」


 驚きとともにポツリとこぼれた私の言葉に、緑は苦笑いを見せる。


「あはは。やっぱり気がついていなかったんだ、ヒロくんのこと」

「うん。全然。私自分のことばかりで……。そっか、私、緑ちゃんにも青島くんにも心配をかけていたんだね。本当にごめんね」


 再度、深々と頭を下げると、緑は、ポンと私の肩を叩いた。


「やめてよ。心配するのなんて友達として当然でしょ。ねぇ、それよりも、本当のところ、どうなの? ヒロくんだけは、つばさちゃんの悩みを何か知ってたりする?」


 興味津々というふうに少し身を乗り出して聞いてくる緑に、今度は私が苦笑した。


「悩みっていうか……。うん。まぁ、話を聞いてもらったことはあるよ」


 私の答えに、緑はニシシと、含み笑いを漏らす。


「やっぱりねぇ。二人は、いつの間にか悩みを打ち明けるような仲になっていたのねぇ」


 緑の意味深な言い方に、私の心臓がドクンと大きく撥ねる。一度暴れ出すと、それは、ドキドキドキドキと、緑にまで聞こえそうなほどに激しく音を立てだした。


「ちょ、ちょっと。緑ちゃん。仲って何よ。私たちは別にそんなんじゃ……。あの時だって、偶然会って、それで、あの、青島くんが話を聞いてくれただけで……」

「わぉ! つばさちゃん、顔が真っ赤だよ。これは、もしかして、ヒロくん、脈ありだったりする?」


 緑ちゃんの声に、私の鼓動はさらに早くなる。

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