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雲の上は、いつも晴れだった。  作者: 田古 みゆう


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秋の章 p.22

「で? 何があったんだ?」


 直球すぎる問いかけに、私はフライドポテトへ伸ばしかけた手を止めて、俯いた。


「話したくないなら、無理には聞かないけど。でも俺は、ふらっとやってきたコンビニで自由な時間を過ごしていたら、突然、目の前で泣かれたんだぞ。少しは、聞く権利あると思うけどな。ってか、なんかあったら電話しろって言っておいたのに」


 青島くんは不貞腐れたように唇を少し尖らせる。どうやら最後の言葉は、別れ際の事を言っているようだ。


 制服姿のままの私を見て、別れた後に何かあったのかと心配させてしまったのかもしれない。


「そ、そうだよね。プライベートな時間を邪魔しちゃってごめんね」

「いや。いいんだ。そうじゃなくて……」


 青島くんは、言いにくそうに言葉を詰まらせる。手元の飲み物をゴクゴクと音を立てて勢いよく飲むと、再び口を開いた。


「俺の言い方が悪かったな。白野が泣いてたから、心配になった。だから、その涙の理由を教えてくれ」

「え?」


 青島くん持ち前のストレートすぎる言葉に、私は思わず顔を上げた。


「あ、いや。ほ、ほんとに無理に聞くつもりは無いんだ。でも、やっぱり、その……気になるんだ。俺なんかじゃ解決出来ないかもしれないけど、話してみないか? あの後、何があった? まさか、誰かに何かされたのか?」


 気遣わしげな視線を向けてくる青島くんに、私はフルフルと頭を振った。


「……あのね。家には、すぐに帰ったの。何も無かったから安心して」

「そ、そうか。良かった。でも、じゃあ、なんでまだ制服のまま、こんなところを彷徨いてたんだ?」

「それは……家でちょっとあって……」

「親と喧嘩か?」


 青島くんは、閃いたとばかりに聞いてきた。


「どんな事で喧嘩したのか知らないけど、家を飛び出すなんて結構な喧嘩だな。俺なんかもたまに親と喧嘩するから、家を飛び出したくなる気持ちは分かるけど、でも、白野は女の子なんだ。今日は、偶然俺がいたから良いようなものの、滅多やたらとこんな時間にこんな所彷徨くもんじゃないぞ」


 青島くんが心配してくれているのは分かる。だが、違うのだ。話の方向が違っている事に気がついた私は、小さく手を上げて、青島くんの注意をひいた。


「あ、あのね。別に親と喧嘩したわけじゃ……」

「え? あ? そうなのか? 俺はてっきり……」


 私の言葉に、明後日の方へ話を向けていた事に気がついた青島くんは、バツが悪そうに頭を掻いた。

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