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雲の上は、いつも晴れだった。  作者: 田古 みゆう


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春の章 p.10

 一体、フリューゲルはどこへ行ってしまったのだろう。


 フリューゲルの行方を気にする私の横で、青島くんは、先ほどのことを思い出したのか、話が止まらなくなっていた。


「でも、本当に無事で良かったよ。あんなにたくさんの木材が落ちていたのに、頭に当たらなかったなんて、奇跡かもな。神様が白野を護ってくれたのかも」

「神様?」

「あっ……いや、何でもない。神様なんているわけないよな。何言ってるんだ、俺は」


 私の問いかけに、青島くんは慌てたように笑う。


 そんな彼に、私は言いたかった。神様は、いるよって。


 でも、そんなことを言っても、信じてはもらえないんだろうな。それに、私を護ってくださったのは、たぶん、神様じゃない。


 だって、私は神様と面識がないもの。そんな者を助けてくれる程、神様がお暇だとは思えない。


 倒れる直前に見た白い羽。あれはきっと、神様ではなく司祭様だ。司祭様が私を助けてくださったのだろう。


 司祭様が下界へいらしているとしたら、フリューゲルは、たぶん司祭様と一緒だ。


 久しぶりに会えたのに、いろんな話ができなかったことが心残りではあるけれど、これからは、話したいときにはいつでも話せると言っていたし、フリューゲルには、またすぐにでも会えるだろう。


 そう思い、自分の気持ちを無理やり安心させたとき、青島くんが不思議そうに聞いてきた。


「それにしても、白野は、なんであんな木材が積んである車の傍に居たんだ? 危ないだろ」

「えっと、……花を、見てたの」

「花?」

「そう。あの空き地に、ベルみたいな形をした白い花がたくさん咲いてるの」

「それって、風が吹いたら、鈴の音がしそうなやつか?」


 私は少し驚いて、彼の顔を見た。


「そう、そうなの! もしかして、あの花のこと知ってるの?」

「いや、……あの空き地に花が咲いてたなんて、知らなかったよ」

「じゃあ、なんで……?」

「ベル型の白い花って言ったら、()()()()かなぁと思って」


 青島くんは、私の問いかけに当然のように答えた。


「すずらん?」

「でも、他にも、ドウダンツツジとか、スノーホワイトとか……あとは……そうだなぁ、ホワイトエン……」


 なんだこの人は? どうやら、植物の名前をいろいろ言っているみたいだけれど、何故こんなに詳しいのだろう。植物博士なのか?


「あ、あのっ!」


 私は、思わず大きな声を出してしまった。私の声に、青島くんはキョトンとした顔をしている。


「あ、あの。もしかして、植物に詳しいの?」

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