五話 疑惑
『皆さん、会議の時間です。体調が優れないようであろうと、必ずホールにお集まり下さい。来なかった場合は…分かっているようですね。』
どこからか僕たちを監視しているような事を匂わす会議のアナウンスが流れる。
耳障りだ。だってこれは、死を告げるアナウンスなのだから。
仕方がなくホールに足を進める。
もうみんな行ってしまったのか、はたまた僕が速すぎただけなのかはわからないが、前に姿は無かった。
ホールにはたくさんの人影があった。ヒトカゲは居ないよ()
傘「来たか。」
先に来ていたのは4人。フラン君、ヘカテ、小傘君、姉さん。
僕よりホールが遠い位置にあるフラン君とヘカテが先に来ていた事に複雑な思いを抱えながら、自分の場所に座る。
そこに、慌てた様子でかぐやが来た。
華「ごめんみんな!遅れちゃったー!」
遅れたと言っても、たかが数分の遅刻だ。それをリアルが許すかは知らないけど。
そう思考を巡らしていたところに、最後の参加者がぜーはーと息を切らしてやってきた。
燐「はー…はー…ヤバい死ぬかと思った()」
つい最後だと鼻で笑ってやろうと思ったが、るーみゃが死んだ事はみんな知らない。食堂からかぐやの声が聞こえたのは事実だが、変に疑われないようにするために口をつぐんだ。
『おはよう諸君、実に良い朝だったね。』
フ「唐突のキャラ崩壊」
サ「笑笑」
僕からしたら決していい朝とは言えなかった。が、コクリと頷いておく。
『さて、全員集まったようですし会議を始めましょう。』
そうリアルが発言した。もう大丈夫だろうと、冗談を交えて話す。
「おはようお燐、今日はお燐が最後みたいだね?」
僕が出来る事ではないと分かっていながらも、クスッと嘲笑うようにしてお燐を見る。
燐「殺す」
なんとも物騒な発言も、このリアル人狼では本当に見える。僕はネタだと理解しているが。
「きゃーやだこっわーい()」
フ「きっしょ」
フラン君とお燐に玩具のように見事に弄ばれてると感じた。反撃してやろうかと思ったその時、リアルの声が耳に入る。
『はいはい、雑談はそこらでお終いにして下さい。会議を始めますよ。』
不思議とリアルがお母さんのように見えて来た。こんなお母さん絶対嫌だなぁ()
…よし、これから会議だ。気を引き締めていかなきゃ。
『それでは、会議スタート!』
フ「占い結果…ヘカテー、黒。グレーを占うより対抗とか、占いか霊能を占うべきだと判断したからヘカテー占い。」
ヘ「占い結果魔理沙白。理由は大体フランと同じで、霊能を占った。」
ナイス黒出し。そこの場面はかぐやかヘカテに黒出す場面だもんね。
ついでに言うとヘカテに黒出してくれたから殴り愛する必要もない、殴り愛負けたとしても人狼は吊られない。考えたな、フラン君…
華「…霊能結果、永琳白。」
「同じく霊能結果えーりん白。」
燐「ふむ…占いに黒が出るか。」
サ「永琳ちゃん白出ちゃったかー…ヘカちゃん吊って占い決めたいけど、縄数無いんだよねー…」
ヘカテを吊りたいが…そう上手くはいかないよな。
傘「ここはヘカテを吊りたい所だが、フランが黒出して縄減らそうとした狂人だった時のために吊るのもありか?」
「個人的にヘカテ吊りたいなぁ…まぁ一番吊りたいのはもちろんかぐやだけど。」
華「そうやって無理矢理対抗を吊ろうとしてるノアも怪しいよ?まるで真を殺したい人狼のよう・・・」
対抗を殴らなきゃ、少し不自然に見えると思い、殴ったが…
「なんで僕が人狼だと決め打った?狂人の可能性もあるでしょ。というか、対抗を殴って吊ろうとするのは当たり前では?偽確定なんだから。」
僕からした矛盾をぶつけていく。本当はこんな醜い事をしたくないけど…
そこに、お燐の静止が入る。
燐「ちょっと待った、片白霊能は殴られてもこっちからしたら判別不可能なんで、俺は一回片黒のヘカテー吊りたい。」
ヘ「わっちが真だったら縄数足りないぞ?」
ヘカテは諦めて潔く死にましょう。
フ「逆に考えてみろみんな、ヘカテーが偽だったら縄数足りるぞ。俺を信じなきゃ偽が吊れない。」
ヘ「わっちを信じなきゃ真が吊られる。」
フ「お願いだから、偽のヘカテーを吊ってくれ。」
ヘ「お願いだから、偽のフランを吊ってくれ。」
二人の声が重なった。僕の吊り先を言う。
「僕はヘカテを吊る。みんなは?」
そう問いを投げる。その返答は________
傘「…フラン。」
サ「…ヘカちゃん、かな。」
悲しそうに、殺す人を告げられた。無理もない。
燐「ヘカテーを吊る。まだ悩んでるが…。」
上手い事演技をするお燐。内心ヘカテー一択だろ^^とか絶対思ってる。
華「…僕はフランを吊りたい。怪しいノアに白出してるから…。」
フラン君が怪しまれているが、もうこれは勝ち確だ。今日適当にフラン君とお燐以外の誰かを噛んで、PPをする。でも…本当にこれでいいのかな。
『会議終了時間です。皆さん、お手元の端末から投票して下さい。』
リアルがそう短く告げると、みんなは端末に視線を向ける。それは、気まずい雰囲気から目をそらすようにも見えた。
僕はヘカテに投票した。フラン君が上手くやってくれて助かった。お燐に限って裏切るような真似はしないだろうし…さぁ、終わりだ。
『投票結果が出ました。端末の結果をご覧下さい。』
to be continued.