閑話 僕の道
『お前の助けがいる。』
この声が頭の中で反響し、自分の平常心を奪っていっているのがわかる。
自分の中の存在に支配されまいと体は迸る熱を逃がし、水を得ようとする。
「大丈夫かい、メレク君」
ルキウスはそういって、水を差し伸べてくる。
「いや、まだ助けを待ってる人がいる。」
ルキウスはそれもそうかと手を叩き、
「でも、君が倒れたら助かる人も助からなくなるよ。」
「じゃあ走りながら飲もうかな。」
これが意外とできない。
暫くして屋根が焼け落ちた小さな家屋を2つ見つけ、瓦礫の下敷きになっているをのを助けた。
「僕の力じゃ瓦礫を増やすだけだった。ありがとうルキウスさん。」
「まぁまぁ、そこらへんは得意不得意だよ。メレク君は敵が来た時の保険にもなるし、多少は無理も効くしね。」
「僕の魔法が保険・・・か。」
聊か安定性に欠ける保険だ。
でも、僕はルキウスさんの期待に応えたい!!
そう決意した瞬間、それは強く
『お前の助けがいる。』
と、僕の正気を奪っていく。
「ルキウスさん、僕一つ気がかりが出来てしまったので、あとは任せます。」
「うん、気を付けて。」
やっぱり、彼は止めてくれなかったよ。
『当然だ。』
本能のまま、叫びのまま前へ進み、彼らを目指す。
『お前に助けがいる。』
『お前が助けがいる。』
『お前お前に助けけがいる。』
『お前ええにたすすけがいる。』
「うるさい、僕は僕の意思で動く。」
『前方』
「は?」
瞬間、爆塵が視界を覆い尽くし、僕の体は吹き飛ばされ、咄嗟に出した二本の腕で受け身を取った。
『俺を使え。』
今使っただろ、腕だけ。
額の汗の量が増える。体温が上がって言っているのを感じる。
「どうやって体の形を保ってるんだ?結構しっかりとぶっ飛ばしたと思うんだけど。」
さっきの爆発はどうやらそこの上裸の男によるものらしい。
「子供相手に何しようってんですかあなたは。」
「子供?危険で獰猛な害獣だろ?」
『話にならん、俺を出せ。此奴を殺す。』
お前は出さない。僕が戦う。それで十分だ。
『どうだか』
腰から下げていた剣を抜き、全身に魔力を巡らせる。もっと速く、もっと熱く、もっと・・・
「おいおい黙んなよ、お前見た目は子供なんだからよ、俺が悪いことしてるみたいじゃねーかよ。」
赤髪の男はそう言うと手を奇形に組み、術式を発動する。
「ま、殺人鬼だけどね。」
『無詠唱だ、やり手だな。』
赤髪はいきなり高く飛び、オーブのようなものを無数に投げてきた。それは着弾しすぐに爆発している。
爆発魔法、こんな使い方をされてるのか、とてもムカつく。
死神、名前は?
『急にどうした、契約に応じる気にでもなったか?』
まぁ、そんなとこだ。
『そのうちお前が俺を扱いきれなくなるかもしれないが、いいんだな?』
そこは、頑張るよ。
爆裂が迫ってきているので、少し奥に移動する。
『契約だ、お前は俺に餌を与える。』
君は、
「君は、僕の為に或る。」
『ざっくりし過ぎだ、良いがな。我が名はタナトス、元死神だ。』
「召喚魔術、終月」
魔法陣が目の前に現れ、魔力を周囲からかき集めていくのを感じる。
僕のも少し入っている。
「んだぁそれよ?それそれ、お前俺の魔法なに吸ってんだよクソめが。」
赤髪はすこしも怯まずに近づいて来た。
「タナトス、餌って言ってたよね。」
『いいのか?』
「うん。」
魔法陣は黒い霧に姿を変え、その黒い霧は徐々に形を織りなしていく。
そして、死の神が姿を現した。
「こうして肉体が顕現するのは実に久しいな。」
「おぉ!これが獲物だったか。あれ?そうだったっけか?」
赤髪はしきりに顔色を変え、首をかしげる。
「楽しそうならいいか。」
そうして昂ぶりをあらわにした。
めちゃめちゃ投稿遅れました。
スランプ気味なので復帰と投稿頻度を意識して参ります。