7章 まさかのビリ? 愛華の始めての定期テスト
7章 まさかのビリ? 愛華の始めての定期テスト
「フェアー、戦士たちにあれだけ追い詰められ、恥ずかしくないのか。もっと手柄をたてろ。後、7700人分を奪うのだ! 4人目の戦士とプリンセスが、復活する前に何とかするのだ」
フェアーは、大魔王に頭を垂れて、謝ることしかできなかった。
「ああ~、どうしよう…」
愛華は、ため息をついて呟く。すると、隣に座っていた希実が、
「愛華、どうしたの?」
と聞いてきた。愛華は、教科書をぼんやりと眺めながら
「1学期の中間テストが1週間後に迫っているっていうのに、数学が全然分からなくて…」
と希実に言う。すると、希実は
「じゃあ、優美さんに勉強教えてもらいに行かない? この前、お泊り会のとき勉強得意だって言ってたし。私も、数学は苦手だし、勉強教えてもらおうかな」
と提案してくる。
「この前、そう言っていたし、大丈夫だよね。早速優美さんのところに行ってみよう」
希実の提案に愛華は賛成し、希実と一緒に早速3年生の教室の方に行く。この前と同じく優美さんは302の教室にいた。愛華たちが呼ぶと優美さんは廊下に出てきた。愛華は早速
「優美さん、今度勉強教えてください」
と優美さんに切り出す。優美さんは、
「いいわよ。もし良かったら、今日は部活もないし放課後どうかしら?」
と、提案してくる。
「今日の放課後、お願いします。あっ、もし良かったら、私の家でやりませんか?」
愛華は勉強会の場所に自分の家を提案した。希実と優美さんはそれに賛成してくれた。そして、放課後愛華の家で勉強会が開かれることとなった。
放課後、愛華は希実と優美さんと合流すると家に3人で向かう。家に着くと、お母さんが2人を迎え入れてくれた。
「いらっしゃい」
希実と優美さんは、
「お邪魔します」
と言って、ぺこりと愛華のお母さんに挨拶をした。そして早速愛華の部屋に入り、勉強を開始する。
「じゃあ、とりあえずどこが分からないか教えてくれる?」
優美さんが、愛華と希実に聞いてくる。
「数学苦手すぎて、どこが分からないのか分からないです…」
愛華がそう言うと、優美さんは少し困惑したような表情になる。
「とりあえず、ワークを解いている様子見ながら教えるね」
しばらく考えて優美さんは言った。
「私は、教科書のこのページのところが分からないんですけど…」
希実は、教えてもらいたいところがちゃんとはっきりしているようだ。そんな状態で、勉強を進める。時間をかけて愛華は、優美さんをかなり困らせたがなんとか理解できた。希実も、疑問が全部解決したようだ。
「優美さん、ありがとうございました」
愛華と希実がお礼を言うと、優美さんは
「いいのよ。また困ったことあったら聞いてちょうだい」
と言って、微笑んだ。
19時になり、夕ご飯を希実と優美さんも一緒に食べて、今日はお開きになった。2人を送ろうと外に出たとき、突然後ろで悲鳴が聞こえた。振り返ると、お母さんがフェアーに襲われていた。心の輝きを奪われ、お母さんはその場に倒れる。
「お母さんを襲うなんて、許せない。希実、優美さん、変身しよう」
2人も頷く。クォーツも部屋から出てきた。
「ルビーパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「トパーズパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「サファイアパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「炎と愛の戦士、シャイニールビー」
「光と希望の戦士、シャイニートパーズ」
「水と誠実の戦士、シャイニーサファイア」
変身したルビーたちに対して、フェアーは攻撃を仕掛ける。
「また出たな。お前たちの息の根を止めてやる!行け! トイフル!」
トイフルも姿を現し、周りにいた他の人々から心の輝きを奪いながらルビーたちの方へと向かってくる。けれど、ルビーの気持ちはフェアーへの怒りの気持ちだけだった。
「お母さんを襲うなんて許せない!」
ルビーは、フェアーの方へと向かっていた。
「ちょっと…、ルビー」
トパーズの静止を聞かず、ルビーは1人フェアーに立ち向かった。
「ルビー・ファイアー」
けれど、フェアーはルビーの攻撃をかわして、
「お前1人に俺を倒せるはずがない。消えろ」
と言って、剣を振りかざしてくる。ルビーがもうだめだと思ったその時、
「サファイア・フリージング」
サファイアの攻撃で、一時的にフェアーの動きが止まった。
「ルビー、今倒すべきなのはトイフルの方でしょ」
サファイアがルビーに言う。
「ごめんなさい。サファイア、ありがとう」
ルビーは、サファイアに言った。
「トパーズ・サンダー」
トパーズは、トイフルに技を放ち弱体化させる。
「ルビー、今よ!」
トパーズの言葉にルビーは頷き、コンパクトに力を込める。
「ルビー・ファイアー」
トイフルを無事に倒され、
「ルビー・パワー」
ルビーの愛の力で、お母さんを含めて心の輝きを奪われた人々は目を覚ました。
1週間後、ついにテストが始まった。優美さんにも教えてもらって、愛華はたくさん勉強したのに結局あまり点数の取れなかったことにしょんぼりとして
「希実! 何点だった? 私、どうしよう…お母さんに怒られちゃう」
と希実に言いながら、頭を抱える。それに対し、
「次、頑張ればいいよ」
と言って、希実は励ましてくれた。けれど、点数はもちろん希実の方が愛華よりも高く、後ろから数えた方が順位の早い成績にもっと勉強を頑張らなきゃと愛華は感じるだった。