12章 3人のピンチ! ダークアメジストの強大な力
12章 3人のピンチ! ダークアメジストの強大な力
愛華が目を覚ますと、そこは病院だった。ベッドの側で、お母さんが心配そうに愛華のことを見ていた。
「良かった…目を覚ましたのね…」
愛華が目を覚ましたことに気づき、お母さんはほっとしたような表情になる。愛華は起き上がろうとするが、怪我の痛みで再びベッドに横になる。
「無理しちゃだめよ。今はゆっくり休みなさい」
お母さんが愛華に言った。
「希実は…? 優美さんは…?一緒に夢ちゃんのライブに行ってたんだけど」
愛華はお母さんに聞く。
「分からないわ」
そう言ってお母さんは、首を横に振った。辺りからは、誰かのすすり泣く声が聞こえる。
「ラルゴモールで倒れて、この病院に運ばれて、この病室にいる人は、愛華以外まだ目を覚ましていないらしいの」
お母さんは、愛華に言う。大きな怪我をしていないならば、心の輝きを奪われたせいかもしれないと愛華は考えた。
次の日、痛みも少し収まり愛華はベッドから起き上がる。でも、お母さんに出歩くのは止められたので、ベッドで大人しく過ごす。午後、愛華がベッドの上でぼーっとしていると、誰かが愛華のいる病室に入ってきた。愛華がドアの方を見ると、病室に入ってきたのは希実だった。
「希実…? 大丈夫だったの…?」
愛華は、希実に聞く。希実は頷く。
「良かった」
愛華は、そう言って安堵の息を漏らした。
「優美さんは…?」
愛華は、希実に聞いた。
「分からない。ずっと動かないと体鈍っちゃいそうで、病院の中を散歩していたら愛華の病室を偶然見つけたから、入ったの」
希実の言葉に愛華は不安になる。
「優美さんだって、きっと大丈夫だよ。早く怪我を治して、退院しようよ」
愛華は優美さんが回復していることを願うことしかできなかった。
その頃、病院の外ではフェアーとダークアメジストが再び動き始める。戦士が全員倒れているのをいいことに、町にいる人々から次々と心の輝きを奪い取っていく。
「愛華、希実、外で大変なことが起こっているクク」
どこからかクォーツが出てきて、愛華と希実に言う。
「分かっているよ。でも、この体で戦うのは無理だよ。まず、夢ちゃんと戦う決心だってついていないよ…」
愛華は決断ができない自分が嫌になりそうだった。希実も愛華と同じ気持ちだった。
その頃、優美は病室でベッドに横になっていた。まだ起き上がって出歩くのは無理そうだった。優美のお母さんが今までのようにつきっきりで看病してくれる。お昼には、遥花がお見舞いにもきてくれた。遥花に心配をかけたくなくて、優美は明るく振舞おうとする。しかし、心の中ではまだ会うことができてない愛華ちゃんと希実ちゃんのことで優美の不安は増していった。