10章 奪われた宝石の力、誘拐された戦士
10章 奪われた宝石の力、誘拐された戦士
「ジュエリー王国の4人目の戦士は、まだ復活していない。ということは、目覚める前なら抵抗力もほとんどないから、息の根を止めるのは簡単なはずだ。それを狙ってこい!」
大魔王の司令を受けて、フェアーは再び地球に出撃した。
朝、愛華が学校に着くといつもよりも校門の辺りが騒がしかった。校門の前に多くの人が集まっている。愛華は、その中から希実を見つけて話しかける。
「何が起きているの?」
すると、希実は、
「知らないの? 村嶋夢ちゃんが松見中学校に転入してくるらしいよ」
と愛華に言う。
「ええー、本当に?」
愛華は目を輝かせて、希実の話に飛びつく。そのとき、1台の車が校門の前に止まった。車のドアが開き、本物の村嶋夢ちゃんが出てくる。愛華と希実はサインや握手を求めようとしたが、一斉に他の生徒たちが押しかけていて近づくことができなかった。その日1日、学校内は大騒ぎだった。
昼休み、愛華は教室で希実とお弁当を食べる。早めに食べて、2人で夢ちゃんに会いに行く予定だった。お弁当を食べ終わり、夢ちゃんのいるという203の教室に向かうと教室内はやけに静かだった。愛華と希実が教室のドアの小さな隙間から覗くと、たくさんの生徒がフェアーによって心の輝きを奪われ、夢ちゃんがフェアーに捕らえられているのが見えた。
「希実、私は優美さんとクォーツを呼んでくるから先に変身してできる限り止めて」
愛華はひそひそ声で希実に言って、302の教室にまず向かった。教室で優美さんは遥花先輩と楽しそうに話していた。愛華が呼ぶと、優美さんは廊下に出てきてくれた。
「優美さん、大変なんです。すぐに203の教室に一緒に来てください」
優美さんは、愛華の言葉に何かを察して一緒に来てくれた。優美さんと一緒に203の教室に向かう途中、愛華は自分の教室に寄って鞄の中で眠っているクォーツを起こして一緒に連れていく。203の教室に着くと、変身した希実が必死にフェアーに抵抗していた。
「トパーズ、お待たせ!」
愛華は、トパーズに一声かけて優美さんと共に変身する。
「ルビーパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「サファイアパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「炎と愛の戦士、シャイニールビー」
「水と誠実の戦士、シャイニーサファイア」
夢ちゃんを助けるための作戦をルビーは考えようとする。ルビーたちとクォーツに対し、フェアーは
「来たな。戦士たちよ。だが俺はまだ覚醒してない宝石の力を持っている奴を見つけたのだ。」
と言う。夢ちゃんは、フェアーに首を絞められて苦しそうにしている。
「やめて!」
ルビーは夢ちゃんを助けようとするが、夢ちゃんを傷つける訳にはいかない。ルビーは、技を発動できずにいた。
「どうした? 手が出せないか? なら、こっちから攻撃だ」
フェアーの攻撃で、ルビーたちは倒れた。再びルビーたちが立ち上がったとき、夢ちゃんとフェアーはいなくなっていた。
「サファイア・パワー」
とりあえず、サファイアの力で心の輝きを奪われた人々を目覚めさせることしか、ルビーたちにはできなかった。
変身を解除し、愛華たちはクォーツに夢ちゃんについて聞く。
「村嶋夢は、Shining Guardiansのまだ覚醒していない最後に戦士、シャイニーアメジストクク。まだ戦士として覚醒するそぶりは見えなかったから、居所に注目していただけだったクク。とりあえず、アメジストにいつか変身するかもしれないから夢の命を守らなければならないクク」
クォーツは愛華たちにそう言った。
「夢ちゃんを助けるにはどうしたらいいの?」
愛華は、クォーツに聞いた。
「私にも分からないクク。ドンケル王国がどのようにアメジストを使うか分からないからそこが不安クク」
「とりあえず、私たちにできることを考えてみるよ」
愛華、希実、優美の3人は、夢ちゃんを助けるためにドンケル王国と戦うことを決意した。